「特集」です。深刻な職員不足が続く渡名喜村の役場に今回、民間企業の従業員3人が出向しました。キャ)離島の抱える課題解決を支援する企業の取り組みと、実際に妻と生まれたばかりの子どもと3人で移住した職員を取材しました。
「人事異動通知書 翁長良樹渡名喜村職員に現任する総務課企画係に補す宜しくお願いします」
先月1日、渡名喜村長から辞令交付書を受け取った一人の男性。沖縄銀行から村に出向した、翁長良樹(おなが・よしき)さんです。
翁長さん「がんばっていこうという気持ちにはなっているところではございます」
今回、翁長さんのほかに沖縄銀行から2人の職員が渡名喜村へ出向して来ました。辞令交付式が終わると息つく間もなく、これから、翁長さんが担う業務を先輩の職員から引継ぎます。翁長さんは、総務課企画係に配属が決まり、業務は主に移住・定住希望者の相談や公園の草刈りの委託の業務など住民の生活に直結するような職務を行います。
銀行から離島自治体の職員に出向する背景には、人材不足に直面する離島の状況があります。渡名喜村は、那覇市の泊港からフェリーでおよそ2時間、人口は270人(4月末時点)あまりで赤瓦やふくぎ並木といった沖縄の原風景が残る数少ない地域です。

村の職員を巡っては、昨年度、定年や休職などによる退職者が相次いだ一方で、今年度の新採用はゼロ。欠員による深刻な職員不足が続いています。こうした状況の中で、沖縄銀行では、人材の支援や業務のデジタル化など各自治体が抱える実情に合わせて課題解決を支援しようと沖縄本島周辺の10の離島村と包括協定を締結。2022年から離島に職員派遣をしていて今回、渡名喜村への派遣も決めました。
山城頭取「渡名喜村においては退職者を含めてに役場の方に人員不足が顕著に表れているということを私どもも新聞報道等を通じてわかったわけなんです。われわれとしては、そこに職員を派遣するのが私たちの使命だろうと。役場の職員の絶対数が足りないというところに対して彼らが今からどれだけ貢献するかというのがすごく期待しております。金融機関が入ることでデータベース化することによって人の行動、どういった人を離島に呼び込めるかデータベース化ができると思っています」
入所からおよそ3週間、仕事や村の環境に少しずつ慣れた来た翁長さんのもとを訪ねました。
デスクで電話対応に追われ素早く書類作成…先輩から教わる表情も真剣です。昼休みになると役場の外に出る翁長さん。一体、どこに向かうのでしょうか?
翁長さん「(これまで昼食は)銀行の食堂に行くか近くの飲食店に行くかなかなか新鮮でいいですね」
向かった先は自宅。毎日、昼食は自宅へ戻り妻や生まれて来たばかりの娘と一緒にご飯を食べます。
翁長さん「お昼に会えるのがうれしいです。すごくいい気分転換になります」

Q.お昼に旦那さんが帰って来るってどうですか?
妻・亜由美さん「正直最初は大変だこれは毎日、ご飯を作らなきゃいけないと思っていました」
今回、夫と一緒に渡名喜村へ移住をした妻・亜由美(あゆみ)さん。離島生活は今しかできないと感じています。
妻・亜由美さん「家族が小さいときに一緒がいいなと思いと私も今育休を取っていて、こうやってゆっくり離島での生活というのは今しかないと思って、島の生活を楽しんでみたいなという思いで行くことを決めて」
村にはコンビニやスーパーはありません。時には、近所の人から新鮮な野菜をもらうこともあります。
翁長さん「(村の人たちが)すごく歓迎して頂いているような雰囲気で私たちとしてもすごく溶け込みやすいと雰囲気で皆さん接してくれて」

翁長さんは渡名喜村で、おもに空き家の活用に力を入れていきたい考えています。渡名喜村は、人口減少から空き家が増加し、その活用が問題となっています。
翁長さん「色んな振興策を考えた時にやっぱりいつも出て来るというのが空き家の活用なんです。人がいないと何も出来ないのですけど、人を受け入れるところがない、現状 渡名喜村では住宅が少ないので」
村では3年ほど前からすぐ使用出来る空き家、リフォームが必要な空き家などを調査してこの活用について検討しています。
翁長さん「宿泊施設についても借りて貸すというよりは定期的に泊りにコンドミニアムみなたいイメージですよね」
翁長さんは空き家の活用が村の人口減少や観光振興などに繋がっていくと考えています。
翁長さん「空き家を活用しようというのが色んな課題のクリティカルパスになっている」
新垣さん「翁長さんが4月から来られてとても心強い特に行政にない視点もたくさん持っていると思いますので一緒にみんなで出来そうだなと感じはしています」

職場の働き方に変化が見られる状況に村長は‥‥、
渡名喜村・比嘉朗村長「彼らが来て頂いて庁舎内が明るくなっている。ここにはない知識 そういうノウハウをすべて彼らから吸収が出来れば考えでおります」
翁長さん「経営を見るというところは銀行員としてさせて頂いたので空き家を活用して宿泊所をつくる。それを持続可能な形でビジネスにしていく何か対策をしておくことが長期的に渡名喜村のためになるのではないかと考えているのでこれは(渡名喜村に)いるうちにやりたい」
職員の欠員の深刻な状況が続く渡名喜村ですが、地域の活性化に向けて翁長さんの挑戦が続きます。