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少子高齢化などで、全国の医療機関では看護師の不足が慢性化していますが、そんななか、沖縄に移り住みたいという本土の看護師が県内の病院で働く制度が好評を得ています。どんな看護師さんたちが奮闘しているのでしょうか?取材しました。

渡辺沙織さん「(熱)高いねー、お薬入れる?」

宜野湾市の海邦病院でお年寄りのケアに当たる看護師、渡辺沙織さん(26)。1年前、それまで4年間勤めた名古屋の病院をやめて沖縄に移り住みました。

渡辺さん「うーん、癒しですかね。癒しを求めて。とりあえずこっちの人がいいですね。人と景色」

いま県内ではこうした移住ナースが急増しています。

「はい、ナースパワー沖縄の金城でございます。」

ナースパワー人材センター。看護師専門の職業紹介所で、全国の事務所やホームページで登録した看護師に、各地の病院の求人情報を紹介しています。20年の歴史を持つ業界のパイオニアですが、去年、沖縄に新たに事務所を開設しました。

ナースパワー沖縄・吉田 淳所長「沖縄に来たいという看護師さんが多くなってきた」

まずは気軽にチャレンジしてもらおうと、去年から半年間の期限が付いた「沖縄応援ナース」制度をスタートさせ、実際に去年1年間だけで130人以上の看護師が沖縄への移住を果たしているのです。

吉田所長「本土とはちがう『島』というところでの医療に携わりたい。沖縄の方々の人柄とか、時間の流れ方とか、そういう風土にほれ込んでこられる方もいらっしゃいますね」

海邦病院では現在4人の看護師がナースパワーの紹介で働いていて、5月までにはさらに15人の沖縄応援ナースの派遣が決まっています。看護師の確保を、県外にも頼らざるをえないのには理由があります。

海邦病院・兼城悦子副看護部長「経営に力を貸していただかないとやっていけない状況にあるので」

実は去年4月の診療報酬改定で、これまで最も手厚い看護とされてきた看護師1人が10人の患者を診る「10:1看護」から1人で7人を診る「7:1看護」という、更に手厚い看護師の配置体系が新設されたのです。

質の高い医療が提供できる上、診療報酬も高くなるため、現在、多くの病院が看護師の確保に奮闘していて、慢性的な看護師不足に拍車をかけているのです。

渡辺さん「最初は泣きそうでした。コミュニケーションがとれないと思って」

当初は方言の壁にぶつかった渡辺さんでしたが、そこは地元のスタッフが温かく支えてくれたと言います。

兼城副看護部長「すごく明るくて元気がありますね。今では4階病棟のなくてはならない存在になったのかな。本土の(経験した)厳しさを求めてきているので、こちらの地元の看護師の刺激になっている部分もある」

患者の家族「非常に元気があっていい方ですよ。てきぱきとしていてね。心強いですよ。本当は看護師さんの人数も充実した方が患者の側としては助かりますね」

渡辺さん「楽しいですよ。一言で言ったら。こっちのオジー、オバーなんかとしゃべったりすることなんかが楽しいですね」

糸満市に住む佐藤友子さん(25歳)も沖縄応援ナースの1人です。

佐藤さん「沖縄好きっていうのも、住んでみて、沖縄のいろんなことを知ってから、好きって言いたいなと思って」

旅行で沖縄にほれ込み、4年間勤めた三重県の病院をやめて、先月から南部の病院で働き始めたばかりです。

佐藤さん「あったかい人柄のイメージがあったので、沖縄で看護師をやるもの楽しそうだなっていうのもありました。ゆっくり患者さんと接するような看護のほうが、自分にあってるなと思って」

佐藤さんが訪れたのは、地元の三線教室。本土時代からずっと習いたかったという、三線の初めての稽古にやってきたのです。

沖縄応援ナースは半年間の期限付き移住ですが、延長したり、そのまま県内の病院に就職してしまう人も増えてきたといいます。

吉田所長「新たなチャレンジを見つけ出す、行き先でもあると思うんですよね」

佐藤さん「まだ、ちょっと分からないですけど、たぶん、半年では帰らないかなと思いますね」

全国の医療現場にまで広がっている沖縄移住ブームが、折からの看護士不足とうまく結びついた本当に理想的なケースですよね。中には離島への希望者もいて、過疎地の医療従事者不足の救世主としても期待されています。