19日告示された与那国町長選挙についてお伝えします。任期満了にともなう選挙には新人で前町議の2人と、現職の3人が立候補しました。
隣り合う台湾有事での有事を念頭にした防衛力強化や有事の住民避難の問題などへのスタンスが注目されますが、一方で医療体制や人口の減少、産業振興など離島地域特有の課題も抱えています。立候補した3人の主張を詳しくお伝えします。
与那国町長選挙には届け出順に、新人で前町議会議員の上地常夫さん、同じく新人で前町議の田里千代基さん、現職の糸数健一さんの3人が立候補しています。19日スタートした選挙戦。各候補は、町民への訴えを行いました。

上地常夫 候補「私は今のままではいけないと思って、思い切って町長に立候補いたしました」「絶対この島を変えることに自信を持っている」
田里千代基 候補「町長の立場でなければ町長の権限を駆使しなければ住民は守れない」「現政権を継続させることは最悪の事態です」「島が沈没するかもしれません」
糸数健一 候補「政治家は勇気も胆力も必要です。積極的なトップセールスマンとしての行動力も必要です」「今後ともそれをやってまいります」
今回の選挙では、各候補者とも町立診療所の存続など医療・介護体制の問題や、農業や漁業、観光業など経済振興などで論戦を展開しています。各候補は、どのように考えているのでしょうか。
上地常夫候補「定住させる条件は医療、福祉、教育だと思っている。しっかりやることで人口減少に歯止めはかかると思う」「第一次産業が元気がないと島がすたれていく。農家の皆さん、漁家の皆さんとしっかり話し合って今どういう支援が必要なのか、しっかり意見を聞いて効果的な支援をしたい」

田里千代基候補「八重山を中心として沖縄県益、国益にもつながるツールになる。台湾と交通を結ぶことで台湾の経済を一体化させる。島ちゃび(離島苦)の問題解決の提言もできる」「医療、福祉は人が住むために最低限度のライン。崩壊しつつあるのはいかがなものか」「現政権の大失敗、どう再生させるか」
糸数健一候補「一番やりたいことは第一次産業。何とか荒れ果てた田畑を元に戻したい。再生したい。私は自分で(農業を)やってきたものですから現在の与那国町の農家が苦しいかが身に染みてわかっている。生産性を高めることをしないといけない。農家所得アップにつなげる。漁師のみなさんもそう」
政府は、いわゆる「南西シフト」の一環として、2016年、与那国島に陸上自衛隊の駐屯地を置きました。近年、台湾有事も念頭にしたミサイル部隊の配備計画や有事の住民避難計画も浮上しています。各候補はこの現状をどのように見ているのでしょうか。
上地常夫候補「国民保護の計画は粛々と進めるべき。(部隊配備を)どこまでやるのかというクエスチョンがある。ミサイル部隊が入ってくるというところまで町民に説明がされている。それ以上は説明は聞くが、本当に町民が望んでいるのか望んでいないのか町民の意見を聞きながら防衛省と会話していきたい」
田里千代基候補「国境の島ゆえに(陸自の)沿岸監視部隊まではいいだろうという。住民のニーズ・理解があった。島が激変する状況になって、市民が不安になっているという現状。住民避難、疎開は無意味。それより平和外交・地域外交を進める」

糸数健一候補「宮古、石垣、八重山の竹富町、与那国町とそれぞれ避難までも確定して当町も担当職員が一生懸命やっている。与那国町が一歩先んじて、モデル的な計画が作られている」
塚崎記者「外部からは防衛問題へのスタンスばかりが注目される国境の島、与那国町のリーダー。医療や人口減少など離島固有の問題解決に向けた議論が、今回の選挙でどのようになされるのか。私たちも丁寧に見つめていかなければなりません」