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毎日の通勤や外出など、車は私たちの生活に欠かすことができない移動手段になっています。ただ、交通事故がネックですよね。

県内では、今年に入って先月末までに2283件の交通事故が起きていて前の年の同じ時期と比べて158件増えています。実は、半数以上の1275件が「交差点」および「交差点付近」で事故が起きていたことがわかりました。

なぜ、こんなに事故が多発するのか?現場を取材しながら要因について調べてみました。

国道58号の幹線道路にあって、沖縄市方面にもつながる「北谷交差点」です。直進と左折ができるレーンと直進だけのレーンが2つ、さらに、対向車を横切って右折するレーンのあわせて4つの車線があります。反対車線も合わせると合計で8つの車線にもなります。

県内で去年最も多くの事故が起きたのが、この「北谷交差点」でした。なぜ、事故が多いのか…JAFに聞いてみると、『道の形状』がひとつの要因にあげられるといいます。

JAF沖縄支部 推進課事業係・平良克哉さん「那覇から名護向きの車線も名護から那覇向き両方向カーブになっているので交差点の道路の信号が少し見えにくい状況かなと思います」

県内「危険な交差点」浜比嘉島と北谷交差点

去年10件の事故が起きていて、いずれもけがをした人は軽傷で済んでいました。なかでも右折する車両と反対車線からやってくる車両が衝突するいわゆる「右直事故」が最も多く4件にのぼります。

渋滞が起きやすい「朝の通勤」や「夕方の帰宅」時間帯に集中していました。カーブになっていることで右折する車両から対向車のスピードがわかりにくいために交差点に入るタイミングが難しいといいます。

JAF沖縄支部 推進課事業係・平良克哉さん「安全運転という意識を持ってゆとりある行動をすることで事故は防げるのかな」

事故が多かった「北谷交差点」以上に気になる交差点があります。うるま市にある「浜比嘉島」です。そんな浜比嘉島の出入口にある「T字路交差点」が島の人を悩ませる問題の場所となっていました。

「相次ぐ死亡事故」

7カ月前、T字路交差点にあるコンクリートの擁壁に車が突っ込みました。運転していた10代から20代とみられる男性が死亡しました。4カ月前にも同じような事故が起きていて車を運転していた23歳の男性が死亡しました。壁に突っ込んだ車は大破してしまっていました。

県内「危険な交差点」浜比嘉島と北谷交差点

この場所では、去年9月から今年7月まで11カ月の間に4件の死亡事故が起きました。いずれも単独事故で、壁に正面から衝突していました。また、4つの事故のうち3つは暗い夜の時間帯に起きたものでした。

「T字路交差点」にはどんな危険が潜んでいるんでしょうか?現場を取材しました。

問題の交差点は平安座島(へんざじま)から浜比嘉島に続く全長1430メートルの「浜比嘉大橋」を渡り切った先にあります。相次ぐ死亡事故を受けて、現場には幾重にも対策が施されていました。

県内「危険な交差点」浜比嘉島と北谷交差点

今年1月には交差点がT字路になっていることを知らせる「反射板」と壁にぶつかった時の衝撃をやわらげる「ドラムクッション」が設置されました。また、5月には、交差点の前に「速度を落とすよう」促す路面標示とゼブラ状の「滑り止め塗装」、さらに、夜に光る「回転灯」も導入されました。

JAFは事故が頻発した主な要因について「T字路交差点だと気づくのが遅れて運転操作が間に合わなかった」と分析しています。

JAF沖縄支部・推進課事業係 平良克哉さん「景色に見とれてしまって運転の意識が薄れてしまうと思います。今、設置している障害物があると景色を楽しむ思考から運転しているという動作をすることで意識が戻って前方の安全を確認してハンドルを切ったりブレーキ操作をしたりということでいいのかなと思います」

県内「危険な交差点」浜比嘉島と北谷交差点

事故を防ぐための対策だけでなく、どうしたらドライバーに安全運転を促がせるか試行錯誤が始まっていました。

常住智史記者「事故の多いT字路交差点でスピードを抑制してもらおうと10月から実証実験を始めました」

県と県警による実証実験の目的は『スピードを出し過ぎないようにすること』です。そのため、交差点の近くには「バリケード」や「看板」が置かれています。

実際に現場を運転してみると、ドライバーはT字路に近づくに連れて、ブレーキを踏んだり、ハンドルを切ったりしてスピードを落として交差点に入る動きが確認できました。

今度は、事故が多発した『夜間』だと違いが出るのか検証です。法定速度40キロで車を走らせてみました。

常住智史記者「今浜比嘉大橋を渡っています。街灯が右側にしかなくて対向車がいないと暗いです」

歩道がある側の一方にしか街灯がついていないため夜でも見通しがいいとは言いにくい状況です。交差点に向かって下る坂もそこそこ勾配があってスピードを一定に保つことが難しく感じる時もありました。

県内「危険な交差点」浜比嘉島と北谷交差点

常住智史記者「まもなくT字路ですがこの先に反射板があるのですけどまだこの距離では見えません。ようやく見えてきましたおそらく(反射板から)20メートルぐらいでしょうか」

ライトを下向きの「ロービーム」で走行した時には反射板をおよそ20m手前で確認することができましたがスピードが出過ぎていたら、反射板などに衝突したり、急ハンドルで対行車線にはみ出したりしてしまう恐れも考えられます。

次に、「ハイビーム」で走行してみました。

常住智史記者「まもなくT字路交差点を迎えるのですが、もうすでに反射板を確認することができます」

橋の下り坂にさしかかる時に反射板を確認できただけでなくバリケードや看板にも早く気づくことができました。同じ地点から比べると「ロービーム」と「ハイビーム」で、遠くにある標識や障害物など見え方に大きな違いがありました。

『余裕を持った運転』が安全運転につながります。

県内「危険な交差点」浜比嘉島と北谷交差点

JAF沖縄支部・推進課事業係 平良克哉さん「焦る気持ちやイライラする気持ちを持ったまま運転してしまうと安全確認が疎かになってしまいますので」「安全運転という意識を持ってゆとりある行動をすることで事故は防げるのかなと思います」

スピードを出し過ぎず、十分な車間距離を保つなど事故は起きない『だろう』ではなく、とっさの事態が起きる『かもしれない』という意識でハンドルを握ることが改めて求められています。