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台北で開かれた日台漁業委員会に参加していた県と県漁業協同組合。9日の会議後、会見で組合長らは口々に「今後トラブルが起きるのは避けられない」と怒りをあらわにしました。

上原亀一・八重山漁業協同組合組合長は「本当にトラブルを起こさないためにどうすればいいか、お互い知恵を働かせて協議をしましょうとお願いをしてきたんですが、なかなか理解をしていただけなくて」と話しまた。

中島勝治・与那国町漁業協同組合組合長も「ルールがなければ必ずトラブルが起きる。だからルールを作ろうと言ったんですが、向こうは全く拒否、話にもなりませんでした」と話していました。

日台漁業協定の発効を前に、日本は台湾との間に操業のルール作りを求めましたが、台湾側は一切応じなかったということです。操業ルールがないまま協定は10日に発効されることになり、県と県漁業協同組合は台湾漁船とのトラブルの可能性もあるとして、9日に県内36の漁業組合に対し、万一の際の通報体制を通達しました。

記者解説 操業ルールは?あす協定発効

地元の漁業者にとっては確かに怒り心頭です。ここからは、記者解説でお伝えします。スタジオには野島記者に入ってもらいました。

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野島記者「まずこちらが、日台漁業協定で決まった『法令適用除外水域』と言いまして、日本と台湾両国で取り締まりをせず自由に操業することになった水域です。日本が主張しているのがこちら(地理的中間線)ですから、日本側が台湾側の求めに大きく譲歩したのがわかります」

野島記者「そして今回新たに台湾漁船の操業が認められた水域や、こちらの特別協力水域なんですが、県内でも有数のマグロ漁場となっていて、現在、その最盛期を迎えています。特にこの県内の漁業者から反発が強まっている『特別協力水域』。こちらは日本側が取り締まりを行えるのですが、台湾側の操業を認めるという極めてあいまいな水域となってます。ですが、協定ではルール作りが行われない限りは、操業は認めないとなっていて、明日以降はこの海域でも、取り締まりが実施されるということです」

与那国漁協・中島勝治組合長「こちらはルールができるまで、1ミリたりとも縄が入ってくれば、断固として水産庁、海上保安庁の取り締まりの船が断固とした態度で取り締まってもらうと」

野島記者「おとといの日本と台湾の会合に参加した県内の漁業者は、これらの水域についてルールができるまで操業を自粛するよう台湾側に求めましたが、台湾側は『操業しながらルール作りをすればよい』と譲りませんでした。結局両者の主張は平行線だったわけです」

なるほど、そうだとすると、この辺りではトラブルが起こる可能性もあるんですね。漁業者にとっては不安ですよね。さらに台湾側は別の主張も始めているということですが。

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野島記者「これは八重山漁協を例にマグロはえ縄漁を簡単に表した図なんですが、台湾側はこの伸びている漁具が日本側に伸びていても取り締まらないよう求めるこちらのバッファーゾーンという緩衝水域の設定も求めてきたんですが、日本側はこれを拒否しています」

野島記者「台湾での会合に参加した八重山漁協の上原組合長によると、台湾側は協定を締結した4月10日が協定の発効日だとして、すでに操業を始めているとの認識を示しましたが、日本側は『協定は明日から発効』と考えているなど、すでに入り口から認識のずれが生じていて、話し合いにならなかったと話していました。あまりの水掛け論に上原組合長は、会合の途中で席を立ったということです」

野島記者「今回の協定は沖縄県を頭越しにしたもので、中国との関係が微妙な中、台湾との良好な関係を維持しようと国が台湾側に大きく譲歩した形になっています。台湾との話し合いは年内にも再び開かれる予定ですが、漁業者にとっては生活、そして安全が揺るがされる、不安な状況になっています」

野島記者でした。協定の発効はいよいよ明日、あすもこの問題についてお伝えします。