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先月、あるイベントが開かれました。これは30代を対象にした合同就職面接会。自分にあった仕事を見つけようと、予想を大幅に上回る700人が参加。これまでほとんど表に出なかった30代の失業者の存在を浮きぼりにしました。

参加者「自分の分野、力を生かせる分野の仕事があれば」「転職を考えていて、IT関係の仕事をしたい」

生活のため、家族のためと、焦りながらも、自分の能力を生かせる仕事を求め、挑戦し続けている人たちがいます。そんな彼らの仕事探しを取材しました。

失業率7.7%(2006年現在)の沖縄県。なかでも30代の失業率は、去年8.2%と全国のほぼ2倍になっています。しかも注目すべき点が…。全国では景気の回復とともに改善しているのに、県内では悪化しているのがわかります。

県雇用労政課・溜 政仁さん「30代前半の方々は、大学や高校を卒業するときにちょうど就職氷河期と呼ばれている時期にあたっていた人たちで、20代のときに就職できなくて今まできている。30代後半の方々は、学校を卒業したときの就職率は比較的良かったんが、そのあとすぐにバブルが崩壊した時期にあたった人たちで、リストラとかの対象になりやすかったんじゃないかということが考えられます」

就職面接会に来ていた石川貴之さん。この日は食品メーカーの面接に出かけるところでした。

石川さんは工業高校を卒業後、電機メーカーに入り、13年間修理と営業を担当しました。しかしリストラ、それに伴って増える仕事の負担が増え、心身ともに疲れ果て、おととし退職しました。

石川貴之さん「色々将来的に長くやっていけるかなとか、そういうこと考えてやめたのかな。厳しいですね、思った以上に。やはり年齢的な面でひっかかるっていうのも多いですし。これは良いかなと思っても、バイト・パートとして、時給計算でしか雇わないとか。結構正社員で受け入れるところも少ないものですから、そういう面ではやっぱり壁になりますね」

家族3人を養うため、現在は遊技場で働いています。月給はおよそ19万円。一度は辞めてしまったけれど、経験や資格を生かせる技術系の仕事をしたい。それなら今より給料が下がっても構わないと考えています。

石川貴之さん「(給料が)それよりちょっと下がっても、やりたい仕事に就きたいなあっていうのはあります。家庭を持っている人は家族を守っていく、養わなければならないということで、仕事に対する取り組み方とか、真剣さが違うと思うので、そういうのを考えて、年齢が過ぎていても、まずは面接してみて考えてくれる、企業がそういう部分があったらありがたいと思います」

一方、30代を前に転職に成功した男性がいます。城間直哉さんは4度の転職を経て、去年、石油やガスの配送を行う会社に入りました。毎日50件以上の得意先を回り、200キロもあるガスボンベを交換するのが仕事です。重労働ですが、資格を生かせる仕事に誇りを感じています。

城間直哉さん「やりがいはありますね。誰もができない仕事というのが自慢というか、自信になっているというか。たまになんですけど、お客様から『暑いでしょ』、『大変でしょ』とお茶をもらったりして、コミュニケーションがとれるところが、本当に頑張ろうという気になります」

こちらの会社では、過去5年間に採用した社員の9割以上が20代後半から40代の中途採用者です。不利だとされる年齢や転職暦も、いわゆ3Kとされる職場では経験として評価されるのです。

りゅうせきロジコム中部物流センター・惣慶 忠センター長「伝わってきますね、一生懸命さが見てわかるんですよ」

りゅうせきロジコム管理・企画担当・花城清真部長「色々な勤め先で経験してきて、やはり厳しいというのを認識してもらっていた方が、我々としては長く勤めてもらえると期待を持って採用しています」

こうした中、国や県などは30代を対象にした就職支援にのりだしました。その名も「はたらきざかりの仕事探し応援プロジェクト」。この世代を対象に就職面接会を開くほか、情報提供を充実させたいとしています。

県雇用労政課・溜 政仁さん「基本的に30代というのは仕事にも当然就いていて、家庭も持って、社会の核としての位置づけになるのかと思っています。そういう方々がまだ仕事に就いていないことになりますと、家庭も持てないということになるので、社会的にも問題になる」

30代の失業者は県内で1万人いるといわれています。しかし、新卒者にばかり目が向いていたため、対応は遅れていて、彼らがどんな支援を求めているのかもわからない状況です。最後に今回取材した2人にこんな質問をしてみました…。

『あなたにとって仕事とは?』

石川貴之さん「子どもがもう少し大きくなって、聞かれたときに、胸張って言えるような仕事がしたい」

城間直哉さん「人生の3分の1は仕事ですので、楽しくやりたい。仕事とは生きがいでもありますし、自分の勉強、スキルアップ」