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新たな基地機能の押し付けです。米軍再編で日米両政府が強調した県民の基地負担軽減は方便だったのでしょうか?県民を守るためでもあるといわれても納得できるものではありません。

アメリカ軍が嘉手納基地に迎撃ミサイル『パトリオット』を配備することについて防衛施設庁の北原長官から説明を受けた稲嶺知事は、『誠に遺憾だ』と述べ、配備に反対する意思を伝えました。昨夜来県した防衛施設庁の北原長官は、けさ県庁に稲嶺知事を訪ね、パトリオットの配備について説明。嘉手納基地と嘉手納弾薬庫に配備し、一部、年内に運用を開始することを伝えました。

これに対し稲嶺知事は、『誠に遺憾だ』と、配備に反対する意思を伝えました。

防衛施設庁北原巌男長官「このPAC-3というのは純粋にこれはわが国の防御用のシステムであるということを申し上げました」

稲嶺知事「全く負担の軽減が具体的に実施されない中でですね、配備が先行するということは、これは地元の理解を得られるということは無いということで、誠に遺憾であるということを申し上げました。」

ところで県庁には市民団体およそ30人がつめかけ、ミサイルの配備を伝える北原長官に抗議しました。

「パトリオットの配備を止めたり、辺野古の会場基地建設を止めるのがあなたたち県職員の仕事でしょ」

市民団体のメンバーらは稲嶺知事との面談を終えた北原長官を取り囲み、現場は騒然としました。

防衛庁などの発表によりますと、パトリオットは嘉手納基地と嘉手納弾薬庫に24基配備され、その要員としてアメリカテキサス州の陸軍基地から600人の兵士とその家族合わせて1500人が、新たに嘉手納基地に移駐します。時期については来月1日以降、兵士が数百人単位で沖縄入りし、9月からはミサイルや発射台などの装備品が、およそ1ヵ月かけて配備され、年内には一部運用を始める計画です。また、ミサイルは弾道ミサイルを迎撃する最新鋭のPAC-3だけでなく、侵入した航空機を撃ち落すPAC-2も配備される予定です。

北原長官はこの後、嘉手納町役場に宮城篤実町長を訪ね、パトリオットミサイル配備の日程を説明して理解を求めました。

宮城篤実町長「嘉手納基地は攻撃用の戦闘機が配備されておりまして、攻撃のための出撃拠点ともなり、さらに防御的な装置も加わる。結局は我々地域住民のために配備されるわけでないわけですから」「反対と言うことです」

嘉手納町内へのミサイル配備が正式に伝えられたことで、町民に不安が広がっています。

町民女性「不安、不安ですね」町民男性「武器を置くのは基本的には反対」町民女性「不安ですね。いつ爆発するかも分からないし、飛行機自体も子どもが怖がったりする」「反対ですね」

また北原長官は午後には沖縄市長にも会い、パトリオットミサイルの配備を説明しました。これに対して東門市長は、配備は承知できないとして反対の考えを伝えました。

ところで、このパトリオットの配備に対して昨夜、労働組合や市民団体による抗議集会が北谷町で行われました。

集会は、平和運動センターや嘉手納爆音訴訟の原告団などが主催し、急遽、平日に行われたにもかかわらずおよそ500人が集まりました。

ここからは謝花記者に聞きます。謝花さん、また決定事項を伝えるだけという形となり、みないっせいに反発していますね。

そうですね、これまで報道などを受けて関係市町村が何度問いただしても、政府は『まだ決まっていない』と答えていましたから、決まってから説明するという政府の姿勢事態への憤りもありますね。

このパトリオット、『無いと危ない』という考えと、『あるとよけい危ない』という考えで分かれていますが、実際どうなんですか。

はい。このあたりの疑問を北原長官に聞きました。

防衛施設庁・北原巌男長官記者会見

「パトリオットの配備が嘉手納基地を守るためのであって沖縄を守るためのものではないという指摘があるんですが」

北原長官「もちろん米軍の施設区域を守ることも当然でございますが、それはまた沖縄県民のみなさんの安全を守るのも当然でございます」

「逆にこの周辺諸国と日本、沖縄との緊張を高めて、例えば沖縄が標的になっていくのではないかという不安もあるんですが」

北原長官「在日米軍の抑止力を確固たるものにするといったことで、これは沖縄県民の皆さんにとって」「わが国にとっても安全に寄与するものであると」

このほか、自衛隊が国内の6ヵ所に持つ旧式の物も、今年度からこの最新鋭のパトリオット・PAC-3に変えていくなどと、どんどん説明する様子を見て、かえって不安が増す思いでした。基地問題に詳しい琉球大学の我部教授は、周辺の国に誤ったメッセージを送るのではと懸念を示します。

琉球大学・我部政明教授「多くの場合の戦争といいますか、安全保障にはジレンマがあって、防衛力の増強をするとですね、自分を守るために軍事力の増強をしたにもかかわらず、逆に戦争のほうに傾いていったと、いう事ってよく言われています。」「このことが戦争の準備として見えるかもしれない。というのは自分たちはまず守りを固めてから攻撃に転じようとしているのではないかと思うわけです。」「どちらも望んでいない戦争に突き進んでしまう可能性があると言うことですね。」

備えあればと言いますが、備えたために憂いを呼び込んだという例は歴史の中にいくらでもありますね。

そうですね。『抑止力の強化』という掛け声の下に軍事力が強化されている、この日米関係の行く末には、やはり不安を抱かざるを得ません。