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シリーズコロナと闘う。きょうは在来種アグーです。コロナで経営危機に直面するなかアイディアで乗り越えようと努力する農家を追いました。

沖縄の食文化には欠かせない”豚”。

県内では多くの行事や祭祀などでも料理やお供え物として使われるほど古くから親しまれ鳴き声以外は全て食するとも言われています。

しかしそんな慣れ親しんだ”豚”の生産、出荷に異変が起きました。

玉城知事「残念ながら豚コレラの患畜が確認されました」

今年1月、県内の養豚場で飼養されている豚がCSF豚熱に感染したことが判明。さらに1か月後の2月には世界中で新型コロナウイルスが流行し、県内でも渡航自粛や外出制限などが打ち出されたのです。

そんな新型コロナの影響で県内外への出荷が閉ざされ窮地に陥った生産者がいます。農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表

シリーズ 新型コロナと闘う 今帰仁アグーを救え

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「3月ぐらいから(コロナの影響で)東京の方の(出荷先)お店がストップし、4月に入ってから沖縄のお店、ホテルさん東京の百貨店さんも全部閉まったんですね」

今帰仁村で在来豚「今帰仁アグー」の保存に力を入れる高田勝さん。コロナの影響で取り引き先への出荷が停止され収入源が閉ざされてしまいました。

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「僕たちの豚に関しては、特殊な所にしか売ってない豚だった。単価も高いということもあってそこが全部、注文が全てストップ。いつまで続くかわからない(非常事態宣言が)全部解除されるようになっても直ぐお客さんが戻ってくるとも限らない」

そう悩む高田さんに一つのアイデアが。

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「友人の勧めもあったり息子たちの勧めもあってクラウドファンディングを立ち上げてということに。今回皆さんに助けてもらおうかと思って」

シリーズ 新型コロナと闘う 今帰仁アグーを救え

高田さんはインターネットで個人や団体から資金を集めるクラウドファンディングを先月から始めたのです。それは毎月、150万円にもなるというエサ代を支援してもらおうという苦肉の策でした。

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「遺伝子組み換えの飼料を一切入れていないんですよ。お米でエネルギーを考えたりとか大豆かすを使わずにアルファアルファだとか他の豆の仲間だとか後沖縄の元々たくさん獲れるようなマグロの粕だったりとかそういうのでタンパク質を計算してますので、どうしても単価はずっと高いですね」

高田さんが育てる「アグー」と一般の「豚」にはこんな違いが。

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「一般の豚が(出荷時期)6ヶ月で110キログラムになるのに対して(今帰仁アグーは)大体14から18か月くらい飼って90~100キログラムの間ぐらいですね、枝肉重量も55キログラムとか60キログラムとか歩留りが悪い形になりますね」

シリーズ 新型コロナと闘う 今帰仁アグーを救え

この豚舎で一番美しいと高田さんがいうのがこちら。背中はくぼみ下腹が垂れ下がっています。

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「これ雌なんですよね、右と左の乳頭1、2、3、4、5、6、7、7つ。右も左も7つきれいにあるのわかります」

ここでアグーのワンポイント講座

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「これが雌の特徴で在来種の純系に近いほど雑種じゃなければ右が7つ左が6つばらつきが無いんですよ。きれいに右と左が平行になります。雄は一番最後の乳頭がこうやってくっつくんです。2番目が欠落しやすい特徴。それと並んでて最後にここがくっつくそれが雄の特徴です。起きたかな、眠かったよなごめんな、お母さんのところ行きなさい」

高田さんが大切に育てる「今帰仁アグー」。クラウドファンディングにはきょう現在で目標額を大きく上回る638万8000円が集まっています。今回多くの支援が寄せられたことに手ごたえを感じた高田さんは次の目標を定めていました。

シリーズ 新型コロナと闘う 今帰仁アグーを救え

農業生産法人今帰仁アグー高田勝代表「応援してくれる人がいるということを大前提にして自分たちもその責任を持って使命感を持ってこれを維持していくってことをやりながら自分たちの物だけでなくて農村が疲弊しないようにということで。村と商工会と上手く手を組んで、家庭に届けられる仕組みっていうのを少し作り上げたいというのが本当のところです」

高田さんはクラウドファンディングで得たノウハウを他の農家と共有し、今帰仁の農家のために役立てたいと新たな夢を抱いています。