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北谷町の両替所で発生した強盗事件から10日。容疑者とされるアメリカ兵などの身柄は未だに日本側にはありません。この事件から見えた「日米地位協定の壁」について考えます。

今月15日、アメリカ軍の憲兵隊に連行されて沖縄警察署に入った男。北谷町の両替所で起きた強盗事件の容疑者として、アメリカ軍に身柄を拘束されています。犯行は12日午後4時ごろ、外国人らしき男2人が押し入り、従業員を刃物で脅し、現金およそ690万円を奪い、逃走したのです。男2人は英語を話していたことからアメリカ軍関係者の可能性が浮上していました。

北谷強盗事件に見日米地位協定の壁

街の人「米軍の方、みんながみんなそうではないと思うんですけど、実際にそういう事件が起きてしまうと、すごく怖いなと感じてしまう」「怖いというより、もっと厳しくやってたほうがいい」「(日米地位)協定もっと厳しくやった方がいいですよ」

こちらの映像は、QABが入手した現場近くの防犯カメラの映像。そこには犯行直前の2人組の姿が映っていました。警察が発表している男2人の特徴は、身長165cmから170cm。黒色のパーカーにマスク。一人がピンク色のナップザックを所持していたというもの。服装や、持ち物は、防犯カメラの映像と重なります。

そして事件から3日後。事態が動きます。

アメリカ軍の憲兵隊は、嘉手納基地所属の陸軍兵と軍属の男2人の身柄を拘束し、沖縄署に連行してきたのです。2人は沖縄県警の事情聴取に対し、容疑を認めていると言います。しかし身柄はまだアメリカ軍に。そこには60年前に結んだ日米地位協定という壁が立ちはだかっていました。

コザ法律事務所・新垣勉弁護士「県警が逮捕状を取って身柄の引き渡しを受けて捜査をすることができない大きな理由は日米地位協定の中に、米兵が犯罪を犯した場合でも基地内にいる場合には身柄の引き渡しを拒絶できるという、条項がある。そのため、米兵は日本側に身柄を引き渡されることがないという状況が起きるわけです」

北谷強盗事件に見日米地位協定の壁

こう話すのは、これまでアメリカ軍に絡む事件や事故を数多く請け負ってきた新垣勉弁護士。

コザ法律事務所・新垣勉弁護士「日本が本当に国民のことを考えるのであれば、もう60年も経ったんですから、日米地位協定を見直しましょうと言うことで、アメリカ側と交渉をするというのが対等な主権国家であれば、当然あるべき姿だと思うんですけれども、日本側は、なかなかそれをしようとしない」「米軍基地が集中しているこの沖縄ではその矛盾が際立って、大きいんだと思います」

容疑が固まり次第、強盗などの疑いで書類送検する方針の沖縄県警。しかし日米地位協定に基づき、2人の身柄が日本側に引き渡されるのは起訴後になります。