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国に取り消された辺野古の埋め立て承認撤回の効力の回復を求め県が7月に起こした裁判。10月23日、福岡高等裁判所那覇支部は県の主張を却下しました。

この裁判は、県による辺野古の埋め立て承認撤回を沖縄防衛局の請求に基き国交省が取り消したことは違法だとして県が国を相手に起こしたものです。

辺野古・国の違法関与取り消し訴訟 県が敗訴

9月に開かれた第1回口頭弁論で玉城知事は「国の政策目的を推進する立場にある国交大臣が承認撤回を取り消す裁決に関与するのは違法だ」と国を批判。国は裁決に違法性はないと反論していました。

23日の判決で福岡高等裁判所の大久保正道裁判長は「国による県の承認撤回を取り消した採決は地方公共団体に対する”国の関与”にはあたらず、県の訴えは不適法だ」として県の請求を退けました。

これを受け、先ほど会見した玉城知事は「国・地方双方の主張を踏まえて審理が充実していくことが期待されているものと思われ、このような内容の判決となったことは誠に残念であります。私としては今回の判決内容は納得できるものではなく、判決内容を精査した上で、上告について決定したいと考えております」と述べました。

ここからは石橋記者とお伝えします。どういった位置づけの裁判だったのか?

辺野古・国の違法関与取り消し訴訟 県が敗訴

石橋記者「この裁判は県が行った埋め立て承認撤回の正当性を訴える裁判と言えます。埋め立て承認撤回を巡っては4月に国交省が撤回を取り消しその対抗措置として県は国と地方の争いを仲裁する第三者機関「国地方係争処理委員会」に申し立てていました。しかし、県の申し立ては”審査の対象にはならない”として申し立てを却下されたため、提訴したものでした。

裁判の争点は何だったんでしょう?

石橋記者「県が論点にあげていたのが「行政不服審査制度」です。”一般私人”の救済を目的としたこの制度を国の機関である沖縄防衛局が利用できるのか。国の機関を果たして”一般私人”と言えるのかどうかということです。この点について県は”国交省”が同じ国の機関である”防衛局”を救済するのは”身内”に手を差し伸べるもので、中立性や公平性を欠いているとして違法な”国の関与”だと主張していたんです」

一方で、国の主張は…?

石橋記者「身内だからと言って裁決の公平性を損ねないと反論しています。さらに、そもそも”裁判の対象外”とも主張していました。結局、裁判所はきょうの判決で国の訴えを認めた形で、県の請求自体が適切ではない。不適法なんだと判断しました。さらに、裁判所は同じ国の機関である国交省が撤回を取り消す決定を下したことが直ちに違法といえるほど立場や権限を乱用したとは言えないとも付け加えています」

これ県は納得できるんですか?

石橋記者「そうですね。行政不服審査法は、行政に対し、一般私人が不服申し立てができるための法律としていますので、国の機関が一般私人と言えるという今回の判決には色々理屈をこねて、国の意向に沿っていると思う人もいるのではないでしょうか」

今後は…?

石橋記者「辺野古の埋め立てを阻止したい県としては承認撤回の正当性についての争いは絶対に譲れない立場です。来月には国を訴えたもう一つの裁判が控えています。有効な打開策が見いだせない中、次の裁判に挑むことになりそうです。県としては、辺野古にかかる全てにおいてあらゆる場面で、辺野古の工事の違法性。県の主張を、県内外に伝えることで世論を味方につける闘いが続きます」