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現在、全国14都道府県で活躍する空と飛ぶ救急車・ドクターヘリがついに今年の12月にも沖縄の空に登場する予定で、今、事業所の選定作業に入っています。

ところが、すでに県内では浦添と名護の2ヶ所の民間病院が先行してヘリを飛ばしています。導入決定の嬉しい知らせは、一方でこの2つの病院の明暗を分けました。棚原記者のリポートです。

3月26日の県議会。知事の選挙公約であったドクターヘリの予算が通過した。

ドクターヘリの運航予算は年間およそ1億6000万円。これを国と県で2分の1ずつ負担することになっていて、今回予算がついたのは12月からの4か月分、およそ5600万円。

これにより、県は現在、ドクターヘリ事業を委託する事業所選定の大詰めを迎えています。

ドクターヘリの委託には大前提があります。それは、救急治療が十分に行える体制が整っている「救命救急センター」であること。県内でこの条件を満たしているのは、県立南部医療センターと浦添総合病院。そして県立中部病院の3ヶ所だけです。

この中で浦添総合病院は、2005年から県内初の民間による救急医療用ヘリを飛ばしていて、体制が十分に整っていることやこれまでの実績から、選定されることはほぼ決定しています。

浦添総合病院・井上徹英院長「(これまで)自前で頑張ってきました。何度も苦しい思いをしてきましたから、大感激しています」

一方、このような情勢の陰で苦渋の表情を浮かべる一人の医者がいました。

北部地区医師会病院・小濱正博救急部長「これだけのニーズがある地域というのは、日本全国ないですから」

北部地区医師会病院・救急部長、小濱正博医師。医師会病院は去年6月から民間のドクターヘリ「MESH」をスタート。先月には、病院からわずか2分余りの場所にヘリポートも完成し、救急体制を強化。ヘリ存続への7万人余りの署名も集まりました。

小濱医師「このヘリ事業というものが社会的に必要とされている事業なんです、公共性をもった。それは、すでに7万何千という署名に現れてきているわけなんです」

しかし今回、条件である「救命救急センター」でないことから、選定の対象にさえなりませんでした。

今後は、国や県により地域性を考慮した予算の補助を求めていき、来年度には「MESH」への補助を取り付けたいとしていますが、これについて県は、財政難を背景に動く気配を見せていません。

小濱医師「これは採算性が合わないから辞めます、ということが許されるのか。最初はこの医師会病院の一事業としてとらえられがちだった。我々は社会に対する責任を負っているわけです。同義的にも辞めるわけにはいかない。みんなが命がけで取り組むべき仕事になってますからね」

ドクターヘリの委託を受ける側にも問題点が浮上しています。

浦添総合病院の「U-PITS」が委託された場合、これまで行ってきた民間病院ならではの先駆的な医療サービスが制限される可能性が出てきたのです。

一つは沖縄県に近い離島で、鹿児島県でありながらカバーすることもあった沖永良部島など、離島のサービスの停止。

もう一つは「下り搬送」。これは、離島からヘリで搬送した患者が一定の治療を終えた後、患者の体力を考慮して、再びヘリを使って島へ送り届けるもので、患者本位のサービスとして注目されていますが、これも難しい状況が待っています。

さらにドクターヘリの場合、細かい出動要請の規定があり、電話一本で駆けつけていた「U-PITS」とは違い、スムーズに患者への利便性が図れるのか心配する声もあります。

井上院長「今とそんなに変わらない活動ができると思ってます。(今回導入の元になったのは)ドクターヘリ法案ではなく、救急医療用ヘリコプター法案なんです。この中では地域の実状に合わせて整備するということが謳われてますので、私どもはそれに沿って(旧来の運用が)できると思います。お金をもらうためにやっているんじゃなく、役に立つためにやっているわけですから。公的なお金をもらったら効果的な活動ができないなら、我々は辞退します。自前でやります」

ドクターヘリが導入されたからといって、いきなり救命率がボンと跳ね上がるものではありませんが、離島や過疎地に暮らす人々の安心感というのは格段に大きくなることは間違いありません。

そして、12月に県内初のドクターヘリ事業がスタートすれば、その活動の中からきっと沖縄にあったドクターヘリにするために見直さなければならないことが出てくるはずです。