今朝は、雷や雨すごかったですね、身の危険すら感じました。災害は本当にいつ起こるか分かりません。
山城アナウンサー「自分たちの『困った』経験を、日ごろ学んだことで解決しようとモノづくりに没頭する学生たちを取材してきました!」
山城アナウンサー「沖縄高専にきました。ここにあるものを開発した学生がいるそうなんですが、あ、いました。何やら作業していますね。皆さん、こんにちは~!何を被っているんですか!?」
神谷君、大城君、高橋君、教室で会議中。
沖縄高専4年 神谷智喜くん(18)「コメットっていいます」「災害時にスマートフォンが使えなくなっても情報通信を可能にするヘルメットです」
白のヘルメットに赤とカラフルなボタンが目を引く「コメット」沖縄高専4年生の神谷智喜くん、大城和彦くん、高橋蓮くんの3人が、去年開発しました。

実は、このコメット、今年3月に国内と海外の中高生が科学に関する「アイディア」を発表する大会で理系学生の夢だという『文部科学大臣賞』を受賞したんです!
沖縄高専 大城和彦くん「赤ボタンは、この送るヘルメットのアドレスを指定して、青と黄色のボタンで送りたい定型文(を選ぶ)助けて欲しいとか、何人救助者がいるみたいなことを選択して最終的に黒のボタンで送信確定」
最大の特徴が、通信インフラが途絶えた状況でも使えることです。
例えば、携帯電話などの電波を送受信する基地局が機能しなくなった時、被災者がコメットを装着することでコメット自体が通信の中継基地を担い、助けが必要か建物が倒壊しているかなど、被災者の今の情報がバケツリレー式に伝わっていくという仕組みです」

実際に正門前とグラウンドでの通信実験を見せてもらうことに!「アドレス選択」→「送る文言を選ぶ」→「送信」コメット受信「ピピッ」
building collapses(建物倒壊)、fire outbreak(火災)など、メッセージは事前に20単語登録できます。
なぜ、コメットが誕生したのでしょうか?
沖縄高専 神谷智喜くん「2023年の夏に沖縄を襲撃した台風6号で停電が激しかったことがきっかけです」
おととし、一週間にわたり沖縄に深刻な影響を与えた台風6号。県内の電力使用総戸数の3分の1に当たる約21万戸が停電しました。当時、3人が暮らしていた学生寮も。

沖縄高専 神谷智喜くん「基地局が崩壊してしまって、スマートフォンが使えなくなって」
この問題を、自分たちが学んできたことで解決したい。発起人である神谷くんのアイデアを同じ学科の高橋くんと大城くんに伝えたところ。
沖縄高専 高橋蓮くん「災害時に結構役立つアイデアかなと思いました」
沖縄高専 大城和彦くん「(沖縄は)台風のたびに停電したり、電波が通じなくなったりとかっていうのがたくさんあると思うので、すごい関心を持ちました」
意見を集約した3人。すぐに向かったのが「先生!」3人が所属する研究室の、中平教授の元です。

沖縄高専 中平先生「去年のちょうど今頃に、当時3年生だった学生3人が私の研究室にやってきまして、彼らといろいろ話をしてスマートフォンが使えないときでも通信ができるようになるというアイデアと、防災ヘルメットが必要だよねということを掛け合わせて「コメット」を作ることになりました」
教授からアドバイスをもらい、3人は17歳の夏をコメット作りに捧げます。
沖縄高専 大城和彦くん「基本的にプログラミングなどはいつもやってるのですぐできるんですけど、実際にこういうふうに実物を設計して組み立てるところが難しかった」
沖縄高専 高橋蓮くん「組み立て配線とか、ハンダ付けに結構時間かかって、カバーやっぱ3Dプリンターの知識がなかったので、まずネットで調べて少しずつ理解しながら協力しながら」
沖縄高専 神谷智喜くん「試行錯誤の日々でした」

沖縄高専 中平先生「夏休み全部潰してですね、朝から晩まで何かもう没頭して開発していた」
失敗と改善を繰り返すこと30日、ついにその時が。
沖縄高専 神谷智喜くん「やっと出来たなって結構脱力感が大きかったですね」
沖縄高専 大城和彦くん「思い描いたものが実際に形になってて、本当に夏休み1ヶ月頑張ってよかった」
これからは、地域の防災に役立てたいと話します。
沖縄高専 大城和彦くん「地域の小学校や名護市役所と一緒に連携して、実際に防災訓練などでも使っていけたらいいなという計画を立てています」
本部町出身 高橋蓮くん「北部だと那覇市とかの都心に比べて災害時にやっぱ孤立しやすい地域かなって思ってて、そういう地域にやっぱコメントが広がれば北部の人たちの不安が減って生活しやすい環境になるかな」

沖縄高専 神谷智喜くん「これからはスマートフォンのアプリと連携して、全身モジュールを動かしていくという計画で進めています」
今年7月にはシンガポールでの発表がきまっていて、世界中から熱い視線が向けられるかも!?しれません!
山城アナウンサー「中村さん、コメットのこの部分、どこかで見たことあると思いませんか?世代かもしれません!」
山城アナウンサー「ポケベルから着想を得たそうで、沖縄気象台の方々などにアドバイスをもらいながら小さな子でも操作できるようにしたい、となるべく簡単にボタンを5つにしたといいます」
山城アナウンサー「そして、コメットがどれだけすごいのか、ということをQAB技術局の比嘉局長に聞いたところ『アイデアを思いついたとしても自分たちで形にすることは容易ではない。17歳でここまでクオリティの高いものをつくるのはすごいこと』だと、元SEの視点で語っていました」

ここまで情熱を捧げたものが、科学アイデアコンテストで1位に!やりぬく努力がすごいですよね。
山城アナウンサー「コメットを様々なコンテストに出品していて、その副賞でアメリカのシリコンバレーへ招待されたり、7月にはシンガポールでコメットについて発表するなど3人の視野がどんどん広まっています」
そして3人のあくなき探求心は尽きることなく、今は、コメットをより良く改善して新しい商品の開発に取り組んでいるということで、今後の活躍にも注目です。