琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」のコーナーです。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。
湊 和雄さん「宜しくお願いします。今回のテーマは「季節は1ヵ月遅れ?」です」
湊 和雄さん「今年の春は暑いと寒いを繰り返していますね。何回、寒の戻りを感じたことでしょう。自然界もこの不順な気候に戸惑っているようです。近年は温暖化の影響か、例年よりも早めに展開する生物の世界でしたが、今春は遅く感じるものがほとんどです」
なるほど~。一体どんな映像なんでしょうか、VTRご覧ください。
湊 和雄さん「新緑の山並みも一段と進み、あまりグラデーションは感じられなくなりました。それでも若葉に覆われた状態です。今年は、結構遅くまで新緑が楽しめます」
滴るような緑が気持ち良いですね~!
湊 和雄さん「そんな森の中で今目立つのは、センダンの花です」
薄紫色の花と青空の組み合わせは、映えますね~

湊 和雄さん「そこにやって来たのはアオスジアゲハ。正に春らしさを感じる光景です」
チョウが超・気持ち良さそう!
湊 和雄さん「センダンの花はアップで見ると、こんな形状。遠目には薄紫色ですが中心にはこんな濃い紫色の部分もあります。これはアカメガシワの雄花。地味な花ですが、昆虫たちに人気があります」
と、いう事は美味しいのでは!?
湊 和雄さん「アカメガシワの雄花の蜜を吸っているのは、イシガケチョウ」

夢中で吸っている、やっぱり美味しいんですね!
湊 和雄さん「ここまでは、春らしいシーンを紹介してきましたが、今年は季節の進行が遅めです」
湊 和雄さん「このマメ科植物のイルカンダも遅めの開花で、未だかなりの花が見られます」
湊 和雄さん「例年ならば3月から開花して、そろそろ終わりなのですが」

湊 和雄さん「これは野生ランの1種キンギンソウ。これも今年は遅めの開花でした。やっと花らしい状態になってきました」
え、これランなんですか?
湊 和雄さん「ランと名前に付いていないのと、ひとつの花がとても小さいのでランのイメージが薄いのです」
体長2〜3mmのアリと比べても、花の小さいのが判りますね!
湊 和雄さん「大きく拡大してみると、小さいながらランの花の形をしているのが判ります。金銀というのは白い花が次第に黄色になるのが由来ですが、今年は未だ白い状態のままです」

白いのも可憐で綺麗ですね。
湊 和雄さん「これも野生ランの仲間、ナンゴクネジバナ。こちらは、公園の芝生など身近な環境でも見られます。花が螺旋状に着くのでネジバナなんです。これも今年は例年より数週間遅い開花でした」
きれいですね~
湊 和雄さん「遅いのは植物だけではありません。昆虫も遅い出現の種類が多いですね。今春既に紹介しているオキナワトラフハナムグリも、先週未だ見られました」
「近年は、3月後半から4月初旬に見られる年が多かったのですが、今年は遅めに感じます。昆虫はやはり植物に依存している存在なので、季節も連動しているのでしょう」

「そして、ヤンバルクイナも繁殖が遅れているようです。本来そろそろ、子育てに入る時期なので、このように地上で自分のためだけに餌を採っているのはちょっと不思議です。雛が孵ると、自分のことは二の次で盛んに雛に餌を運ぶのですが」
モリモリ食べてますね!
湊 和雄さん「さらに雄と雌が交代で卵を温めている状態なら、片方が単独での餌採りも解りますが、これはペアです。これから巣を造って産卵なのでしょうか?遅いですね」
湊 和雄さん「ヤンバルクイナは昆虫やミミズ、カタツムリが主な餌です。植物>昆虫>鳥と遅いのが連動しているのかもしれません」
今回も貴重な映像ありがとうございました以上、リュウキュウの自然でした。