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沖縄の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」のコーナーです。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。

湊 和雄さん「宜しくお願いします。」

今回のテーマは「ヘツカリンドウと昆虫たち」です。

湊 和雄さん「ちょうど1年前にも少しだけ紹介したヘツカリンドウ。12〜2月に開花します。バリエーションに富んだ花は、不思議な形で興味深い植物です。そこにやって来る昆虫たちを紹介します。」

リュウキュウの自然「ヘツカリンドウと昆虫たち」

2023年1月20日放送 リュウキュウの自然 「冬に咲く花と昆虫」

怖い昆虫じゃありませんように!!VTRご覧ください。

湊 和雄さん「真冬に開花するヘツカリンドウは、リンドウの中でもセンブリの仲間です。とても美しい花を着け、寂しい真冬に彩を与えています。一番の特徴は、花にとてもバリエーションの見られること。花弁の色が変化に富んでいます。見てゆきましょう。」

この花はほとんど、花弁が濃い紫色をしていますね。

湊 和雄さん「こちらの花は逆にほとんどを白い部分が占めています。」

こちらは、紫色の模様が赤に近い赤紫色なのが印象的ですね。

リュウキュウの自然「ヘツカリンドウと昆虫たち」

湊 和雄さん「バリエーションに富む花の色や模様ですが、どの花にも共通しているのは、各花弁の中央にある黄緑色の丸い部分。とても艶があり、盛り上がっているようにも見えます。実は、これは蜜を分泌する「蜜腺」と呼ばれている器官です。なので、こんなにアリが集まっているのです。最初は、この花に5匹のアリがいました。ところが、徐々にアリの数が増えていきます。8匹。」

「さらに10匹にもなりました。」「最終的に15匹にも増えました。こんなに一つの花にたくさんのアリが集まっているのは初めてみました。」「さらに拡大してみても、アリたちは一心不乱に蜜を舐めています。」

余程美味しいのでしょうね!

湊 和雄さん「しかし、不思議なことに、アリのやって来ていたのは、この花だけでした。美味しい蜜が分泌されるのは短い時間だけなのかもしれませんね。」「しかし、アリは花弁の蜜腺ばかりに集まり、雄蕊や雌蕊には近づきません。これでは受粉して種を作ることが出来ませんね。と思っていたところにホソヒラタアブが飛来しました。最初は雌蕊にとまりましたが、その後雄蕊の花粉を食べました。」

リュウキュウの自然「ヘツカリンドウと昆虫たち」

これなら受粉に貢献しますね!?

湊 和雄さん「しかし、その後は蜜腺に移動しました。そしてまた雄蕊に移動して、花粉ばかりを食べていました。先端が平たい不思議な形の口をしていますね。また、別のハナアブが飛んでいます。こちらはナカグロコシボソアブ。腹部の付け根が細く括れているのが和名の由来です。」

このくびれ!素晴らしい!羨ましい!

湊 和雄さん「脚でちょっと雄蕊の先端に触れた後、雌蕊にとまりました。これなら受粉できそうです。雌蕊にとまった後は、ひたすら雄蕊の花粉ばかり食べていました。」

無心に食べてますね~

湊 和雄さん「食べているのに違いありませんが、このタイプの口は齧るのでも、吸うのでもなく舐めるための口です。」

リュウキュウの自然「ヘツカリンドウと昆虫たち」

めちゃくちゃアップじゃないですか!

湊 和雄さん「植物の花の多くは、色や模様、匂い、蜜などで昆虫を誘い、受粉してもらうために進化した器官です。そのために蜜腺は雄蕊や雌蕊の近くにあるのが普通ですが、ヘツカリンドウは離れたところに位置します。この利点は何なのでしょう?謎です。また、花の色彩パターンがバラエティに富んでいる理由もまた不思議です。」

今回も貴重な映像ありがとうございました以上、リュウキュウの自然でした。