辺野古の新基地建設で軟弱地盤を改良するための設計変更の申請が県に認められなかった措置として防衛局が不承認の取り消しを求めていて「行政権の乱用だと」と反論しています。

専門家は国の強硬姿勢を批判し「民主主義のあり方が問われる」と指摘しています。

沖縄国際大学・前泊博盛教授「国はもう問答無用に強行する形で基地を建設していく。これが本当にこの国の民主主義のあり方なのかということを(国民に)問われ続けるような、そういう内容になっていくと思います」

辺野古新基地建設をめぐっては防衛局が12月7日に「行政権の著しい乱用で違法」だと反論して辺野古を推進する立場である内閣の国土交通大臣に一般私人を救済する行政不服審査制度を使って不承認の取り消しを申し立てています。

辺野古の不承認めぐる県と国の対立 専門家「民主主義のあり方問われる」

Q(沖縄県が)政府の一員である国交相は公正に審査出来ないという指摘をしていますが? 斉藤鉄夫国土交通大臣「今後、沖縄防衛局及び沖縄県双方から提出される書面の内容を検討し、法令の規程に基づき適切に対処してきたい」

防衛局は設計変更について承認されるべきだと主張していて県が適正に審査を行わず標準処理期間を守らず著しく遅延させたことを「埋め立ての阻止を目的としたもの」だと指摘しています。

「最も重要な地点の試験が実施されていない」という県の主張に対して国は「試験をしなくても不確定性の考慮は十分で適切に安全性を確認できている」と反論していて双方の主張は真っ向から対立しています。

沖縄国際大学・前泊博盛教授「(辺野古新基地建設)については絶対許さないとして一丁目一番地の政策に掲げている玉城県政からすれば絶対に譲れないわけですから、それに対して国も絶対譲らないということであれば、平行線のままです」

辺野古の不承認めぐる県と国の対立 専門家「民主主義のあり方問われる」

辺野古をめぐって平行線のままの県と国の争いは今後、新たな法廷闘争へと発展する見込みです。



記者解説 辺野古めぐり県と国対立

ここからは取材にあたっている町記者です。県と国の対立が今後、新たな法廷闘争へ発展する見込みとありました。

町記者「まずは、県の不承認処分をめぐるこれまでの経緯を簡単に振り返りたいと思います」

町記者「去年4月、沖縄防衛局が軟弱地盤の改良工事のために「設計変更」を県に申請しました。そして、先月、玉城知事が「設計変更」を不承認処分とすることを発表しました」「その1週間後となる、今週火曜日、沖縄防衛局が国土交通大臣に行政不服審査制度を用いて「審査請求」を申し立てました」

そもそもこの「審査請求」とはどういう制度なんでしょうか?

辺野古の不承認めぐる県と国の対立 専門家「民主主義のあり方問われる」

町記者「行政不服審査法には「行政庁の違法または不当な処分に関し(略)国民が不服申し立てをすることができる」と表記されています」「ポイントとなるのは、「国民の権利利益の救済」が目的となっていることです」「国民の救済を目的とした制度を国の機関である「沖縄防衛局」が用いることに問題があると琉球大学で行政法を教えている徳田教授は指摘しています」

Q.沖縄防衛局が行政不服審査制度を用いることの問題とは? A.辺野古新基地を推進する身内の国交相に審査制度を用いるのは、「公正さを欠く制度の乱用」と言わざる得ない。

Q.本来あるべき解決への方向性とは? A.司法の場で十分な調査結果及び正確な情報を明らかにして、公正に判断されるべきである。

国がそもそも軟弱地盤の存在を認知していたにも関わらず司法の場でそのことを明らかにせず隠していた、県が求めている調査の結果や情報を明らかにしなかった、という背景があり、争いの解決のためには「結託関係のない公正な第三者の存在が必要不可欠である」と徳田教授は指摘しています。

玉城知事も先日の会見で、「内閣の一員である国交相に公平公正な判断は事実上不可能である」と厳しく批判していました。

さて、今後、この問題がどうなっていくんでしょうか?

町記者「審査請求を受けた国交相は、辺野古を推進している立場なので県の不承認を取り消す裁決を行うことが想定されます」「しかし、国は軟弱地盤が広がる大浦湾側の工事については承認が得られていないことから、工事に着手することは出来ません」「その上で、県に対して「承認せよ」と是正指示が行われるのかまたは、県が別の理由で再び不承認とするか、いくつか方向性はありますが、最終的には、国が県の代わりに設計変更を「承認」するという行政代執行の可能性さえ見えてきます」

いずれにしても、そうしたやりとりの中で新たな法廷闘争へと発展する見通しです。

町記者「まとめますと、沖縄防衛局が身内である国交相に国民救済のための行政不服審査制度を用いて審査請求を行ったという問題、加えて、司法の場で議論がされる前に、身内同士で問題の解決をしようとしているという問題があります」

辺野古の不承認めぐる県と国の対立 専門家「民主主義のあり方問われる」

つまりは、地方自治体の判断も、司法の判断も必要ないと。

町記者「政府は自分たちのやりたいこと、今回で言えば「米軍のために軍事基地を造る」ということを押し通せる形になります」

しかも、そのために私たちの税金がおよそ1兆円近く投入され、工事の期間は少なくとも12年以上が見込まれています。

町記者「こうした状況を鑑みると普天間基地の1日も早い危険性を除去するために「辺野古が唯一の解決策」と本当に言えるのか?改めて考えていかなければならないと思います」