秋を告げる風物詩としておなじみの「中秋の名月」。十五夜が映し出す一期一会の情景に出会いました。伊志嶺カメラマンが映像美にこだわって撮影したリポートです。

「守礼門と月を職場の機関誌に載せようかと思って。今日の月は特別の月みたいですよね」

先週21日、今年の「中秋の名月」は、8年ぶりに満月と重なりました。

見え隠れする月に大人も子どもも一喜一憂。十五夜が映し出す、一期一会の光景を巡りました。

秋の風物詩 十五夜 満月に映し出された一期一会の情景

沖縄の十五夜の1日は、早朝から始まります。お供え用のフチャギです。

首里知念製菓2代目・知念政秀さん「1年に1回しかやらないから、忘れる」

俵型の餅に小豆をまぶした伝統的な行事菓子のフチャギは、豊作を願い、仏壇やヒヌカンに供えられます。こちらは、創業90年の和菓子店。老舗の看板を守る3代目の知念秀和さん。昔ながらの製法にこだわって、小豆と餅粉、塩だけで作ります。

秋の風物詩 十五夜 満月に映し出された一期一会の情景

首里知念製菓3代目・知念秀和さん「砂糖を入れると、やっぱり日持ちがするんですよ。もちろんお餅も固くなりにくくなったりというのもあるんですけど、そうすると本来フチャギっていうお菓子自体がちょっとずつ変わっていくんです。自分は日持ちはしなくてもいいので、昔に近いフチャギを作っています。(Q:お餅熱くないですか?)熱いですよ。熱いですけど、我慢しないといけないんですよ。熱いうちにしかくっつかないんです」

伝統のフチャギ。年に一度、十五夜の日に出会える美味しさです。

秋の風物詩 十五夜 満月に映し出された一期一会の情景

十五夜の風物詩は、ほかにもあります。旧暦8月15日に行われる十五夜まつりです。

太陽が傾き始めた夕方、厄払いと五穀豊穣・子孫繁栄を祈って獅子舞が奉納されました。およそ400年の歴史をもつ内間の獅子舞は、雌の獅子による勇敢な舞が特徴です。

内間獅子舞・棒術保存会 城間拓海副会長「疫病を払うためにこの獅子舞を始めたらしいんです。そのあとに疫病がなくなったっていう言い伝えがあります」

にらみをきかせ、災いをはねのけるような力強い舞を、観客は息をのんで見守ります。

秋の風物詩 十五夜 満月に映し出された一期一会の情景

城間副会長「こういう時だからこそ、やっぱり獅子舞を舞って、ご先祖様にもウートートーしながら、早くみんなが出歩けるような社会になってほしい」

十五夜の主役、月の出まで1時間を切りました。東海岸をのぞむ高台にはひとり、またひとりとやってきます。しかし、月の出の時刻を過ぎても、上空には厚い雲が覆ったまま…

秋の風物詩 十五夜 満月に映し出された一期一会の情景

見物客「ウォーキングをしていて、最近の月はとても明るかったんですね。だから、もう満月はどんなに大きくて、明るいかなと思って期待してきたんですけどね」「大丈夫、大丈夫。ほらほらほら、見えてきた」「子:月、出てるよ。母親:ちょっとだけね、お顔みせてくれたね」「月も雲間の無きは嫌にて候(村田珠光)。雲があって、晴れたり出てくるののほうがまだムードがあっていいじゃないかってね。そういう楽しいのを待つみたいな、いい思い出になるじゃないの」

十五夜に映し出された一期一会の光景。雲に隠れているときさえも、人の心を弾ませる月の魅力に出会いました。

秋の風物詩 十五夜 満月に映し出された一期一会の情景