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楽園の海、案内は水中カメラマンの長田勇さんです。よろしくお願いします。では今回のテーマは「サンゴ観察会」です。

長田「今回は、沖縄の海には欠かせない存在の、サンゴを紹介したいと思います」

長田「沖縄の海の特徴といえば、透き通るような透明度と綺麗なサンゴ礁。サンゴがある所には魚が集まり、活気があります。一般的に知られているのは、テーブルサンゴや枝サンゴといったミドリイシという種類のサンゴ。テーブルの大きさは、最大で直径2mにもなります。太陽の光を浴びながら、光合成をして育ちます。皆さん、食卓にあるようなツルツルとした表面だと思っているかもしれませんが…」

楽園の海 サンゴ観察会

アップで見てみると、凸凹していて、枝がいっぱいですね。

長田「その枝にはポリプがあり、触手も出ています。自ら触手を使ってプランクトンを捕まえる事もできます」

サンゴって、石に見えますけど、動物なんですよね。

長田「植物だと思ってる方も多いですよね。こちらは、同じミドリイシの仲間の枝サンゴ。水色の魚デバスズメダイは、サンゴの隙間が大好き。大きな魚に食べられそうになると、逃げ込む場所として利用してます。今の時期、今年生まれた赤ちゃんがいっぱいいるので、かなり賑やかです。テーブルも枝も生息域が一緒なので、このように重なり合うことも」

ここのテーブルサンゴは枝サンゴに飲み込まれているように見えますね。

楽園の海 サンゴ観察会

長田「これは別のサンゴのテーブルと枝の接点ですが『隔膜糸』という糸のような物を伸ばして、相手の組織を消化しています。このように相手を攻撃して、陣地を広げていくんです」

平和に見えるサンゴの世界にも喧嘩があるんですね…。

長田「動物らしい一面ですよね。ヨスジフエダイが群れている下にはユビエダハマサンゴの畑。さらにその上には、柔らかいサンゴ、ヤナギカタトサカの姿があります」

ミドリイシは硬そうでしたけど、このサンゴはユラユラ揺れてますね~。

長田「アップで見ると、硬いサンゴと一緒でポリプもあるし、触手もあります。こちらは、ちょっと変わった形のサンゴ、ミズタマサンゴ。プヨプヨしたサンゴです」

楽園の海 サンゴ観察会

上に乗っているのは、エビですか?

長田「このサンゴを見つけると、このバブルコーラルシュリンプにも、高確率で出会うことができます」

楽園の海 サンゴ観察会

長田「こちらの水底に並んでいる石のようなものは、クサビライシという名前のサンゴです。ダイバーの方でも、サンゴと思っている方は少ないと思います。硬いサンゴなんですが、固定されている訳ではありません。共肉(きょうにく)と呼ばれる部分を使って、水底を移動できるサンゴなんです。かなりゆっくりと移動するため、移動シーンを目撃することは、ほぼありません」

長田「最後は、可愛らしいサンゴを紹介したいと思います。砂地に生息するスツボサンゴ。私の指と比べても小さなサンゴだとわかりますね。直径1cmほどのサンゴなんですが、他のサンゴには無い特徴が、このサンゴにはあります。前を向いてもらいましょう!」

おお~!サンゴに脚が!

楽園の海 サンゴ観察会

長田「なんと!このサンゴを背負って生活している生き物がいます。スツボサンゴツノヤドカリ。サンゴ自体は、以前から見られていたんですが、ヤドカリが住み着いているのが発見され、新種登録されたのが2017年。ごく最近の出来事です。珍しいヤドカリが背負ってくれたお陰で、脚光を浴びる事となったサンゴなんです」

一緒に生活してるのはなぜですか?

長田「サンゴにとっては、うねりなどの影響でひっくり返っても、ヤドカリが元に戻してくれるし、ヤドカリが魚に食べられそうになった時は、サンゴの中に入れば助かります」

お互いに助け合ってるんですね。

長田「奄美大島の南部ではたくさん見られますが、他の地域ではまだ見つかってないそうです。ぜひ、ダイバーのみなさん、潜った際は、探して見て下さい」

縄張り争いしていたり助け合って生活してたり、サンゴのいろいろな面を見ることができました。

長田「面白いですよね。様々なサンゴが、これからもどんどん増えてくれる事を望んでます」

以上、楽園の海でした。