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台風もそうですが、短い時間で局所的に大雨が降ることで道路が冠水することがあります。車を運転している時に遭遇してどうしたらいいのか迷った人も多いのではないでしょうか…

そんな、冠水道路に潜むリスクや遭遇した時の対処法について冠水道路で車を走らせた実験から考えます。

冠水した道路の危険性

水しぶきをあげながら冠水した道を走っていた車が、突然動かなくなってしまいました。梅雨が明けて夏を迎えましたが、近年、この時期に災害を起こすようなゲリラ豪雨に見舞われる事態が目立つようになっています。いつ発生するか分からない大雨、決して他人事ではありません。

濱元記者「大雨や台風の影響で、目の前の道路がこのように冠水していたら、皆さんはどうするでしょうか、話を聞いていきます」

女性「通らないですね。動かなくなったら怖いから」

女性「前の車が行っていたら(行く)行けてるかなと思ったら行きますけど、でも、タイヤの半分とかまで(水が)きてたら路肩に寄せて動かないかなと思います」

走り抜けるべきか引き返すべきか、難しい判断を迫られます。冠水した道路を走行することのリスクを知っておく必要があります。

冠水した道路の危険性

深さ60センチの冠水を想定した道をセダンタイプの車が時速10キロで走るというJAFの実験です。道の長さは平坦な部分が30メートルで、入り口は下り坂、出口は上り坂となっています。

車は水の中を走り抜けることができずに、上り坂に差し掛かったところで動かなくなってしまいました。いったい何が原因で止まってしまったのでしょうか、

外気を取り入れてエンジンを冷やすエアインテークという部分を通して内部に水が入り、ウォーターハンマーという現象がおこったため、部品が破損してしまい、エンジンが止まってしまったのです。

JAF沖縄支部ロードサービス隊福田哲朗さん「エンジンルームの中に水が入ることによって、コンピューターが付いていますので、そのコンピューターに水が入って、誤作動を起こして止まるというケースはあります」

冠水した道路の危険性

今度はセダンタイプよりもエンジンが高い位置にあるSUVタイプの車を使った実験です。

時速10キロなら深さ60センチのコースを走り切っていますが、時速30キロだと、10メートルほど走って止まってしまいました。

車のスピードが速いほど、その分巻き上げる水の量が多くなり、エンジンルームに水が入りやすくなります。

また、水深がバンパーほどの深さでも、水の中で立ち往生してしまう危険性があるといいます。

JAF沖縄支部ロードサービス隊福田哲朗さん「やっぱりどうしてもバンパーがあることによって止まっている水に入って、かきあげるという現象が起こってしまいます。その時にこのバンパーの上に付いているグリルっていう場所から水が中に入っていってしまって(止まってしまう)」

沖縄総合事務局によりますと大雨で冠水する危険性があるとしている国道は、北部から南部まで11カ所で、看板をたてて注意を呼びかけています。それ以外の場所でも、周りより標高が低く、くぼんだ形になっていると冠水する恐れがあります。線状降水帯によって大雨が降った6月29日にはJAF沖縄支部に冠水によるエンジントラブルで助けを求める要請が14件ありました。また、29日から7月1日の間に、警察に寄せられた冠水に関する110番通報は45件にのぼったということです。

冠水した道を走ることのリスクは、エンジンが止まることにとどまりません。

冠水した道路の危険性

JAF沖縄支部ロードサービス隊福田哲朗さん「水が上がってきていますので、ドアが開かないということが起こります。他には車が走行中に止まってしまうと後から、止まっているのがわからずに追突されてしまう危険性が非常に高くなります。

水の中で動かなくなった車の中に閉じ込められてしまうことも起こりえます。最悪の事態を切り抜ける方法のひとつに、車の窓を割って脱出というものがあります。

小銭やヘッドレスト、傘などの身近なものは車の装備品を使っても窓を割ることは困難です。

そこで、JAFでは脱出用ハンマーを備えておくことを呼びかけています。女性の力でも窓を割ることができるもので、ホームセンターなどで購入することができます。

JAF沖縄支部ロードサービス隊福田哲朗さん「ガラスを割るためのハンマーが付いていたり、シートベルトを切るためのカッターが付いているというこちらの商品(脱出用ハンマー)がありますので、この道具を運転席の近くに置いていただくと、脱出は容易にできると思います。

冠水した道路の危険性

脱出のもう一つの方法は、車内の水位が上がるまで待つというものです。車のドアは外の水圧との差が大きいとドアに強い圧力がかかり、開きにくくなります。そのため、車内の水位と外の水位が同じくらいになり、圧力の差が小さくなったタイミングで、一気に力を込めてドアをあけるという方法です。

JAF沖縄支部ロードサービス隊福田哲朗さん「自分も他の人が走れるから、大丈夫。自分は大丈夫という意識は、持たない方がいいと思います」

JAFでは、冠水した道路が目の前にあった場合、迂回することを考えてほしいとしています。

車の運転では一瞬の判断が、一生の後悔につながることもあります。急がば回れのこころで、自分と同乗者の大切な命を守っていきましょう。