※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
 

障がい者スポーツの1つに「ブラインドサッカー」というものがあります。県内にもチームがあり、競技を知ってもらおうと活動が続けられています。障がい者スポーツを広めていくには様々な課題があり、沖縄特有の〝壁〟というものも存在します。課題解決を目指す取り組みを取材しました。

グラウンドに立っている人たちはみんなアイマスクで目を覆っています。見えない状態で全速力のドリブル!そして力いっぱい足を振り切ったシュート!視覚に障害がある人と健常者が同じフィールドでプレーするブラインドサッカーという競技です。

ブラインドサッカーは4人のフィールドプレイヤーと視覚に障がいのないゴールキーパーがコートの中に立ちます。ボールが転がるときに鳴るシャカシャカという「音」と相手のゴール裏に立ちゴールの位置や距離をアドバイスするガイドの「声」が頼りです。音と声、そして仲間を信じてプレーする5人制のサッカーでパラリンピックの種目にもなっています。

琉球Agachi 宮城明彦さん「ドリブルして抜けた時とかですかね。抜けてシュートまでいった時がとてもすっきりして気持ちいです。仲間を大事にするのと声掛けするのと、チームを信用すること」

ブラインドサッカーと県障がい者サッカー連盟

琉球Agachi 本永恵一郎さん「ガイドの声を聞いてゴールしたり、ゴールキーパーの声で守ったり、味方の声の先にパスしたり、声出してパスもらったり楽しい」

県内にもブラインドサッカーのチームがあります。4年前にできた琉球Agachiには現在15人のメンバーがいます。2週間に1回、土曜日に南風原町で練習を行っています。県外の大会にも出場するなど活動は活発です。

チームの代表を務めるのが屋良景斗さんです。自身も周辺が見えづらくなる網膜色素変性症という病気で生まれつき視覚に障害があります。学生時代に東京でブラインドサッカーに出会いました。

琉球Agachi 屋良景斗代表「(東京で)視覚障がいの方もそうでない方もブラインドサッカー通してすごい仲良くしている光景をよく目にしていて、すごくそれがよかったんですけど、沖縄来てからブラインドサッカーって何?みたいな、ギャップを感じて、全然知らないというのがきっかけ」

ブラインドサッカーと県障がい者サッカー連盟

仲間と協力してゴールを目指せる競技の楽しさを知り沖縄でもチームを立ち上げようと決意したといいます。

琉球Agachi 屋良景斗代表「皆さんお疲れさまです。天気に恵まれてよかったです。あとメンバーもまた人数揃ったので有意義な練習できるのかなと思います」

この日の練習は新型コロナの影響などでおよそ4週間ぶりに行われました。ランニングやストレッチで体を温めた後、実際にボールを使ってゲーム形式の練習などおよそ2時間半みっちり汗を流しました。

琉球Agachi 屋良景斗代表「足元にだんだんボールがついてくるようになったときやシュート入ったときはめちゃくちゃ気持ちいですね」

この日は体験会が行われ4人が参加しました。

参加者「シュートをする時が一番楽しかったです」「視界が真っ暗で怖いなとか、できるかなとか不安な気持ちで一杯でしたけど、教えてくれる人も優しかったし、音も出してくれたり手を叩いて、そういうサポートがあってやることができました」「人がどこにいるかとかゴールがどの辺にあるのかとか、全部聞いて判断しないといけないというのが難しい」

見えない状態でうまくプレーできるのかサッカー経験のある記者が体験してみました。

琉球Agachi 屋良景斗代表「真ん中に入りました」

記者「何とか当たったんですけど、空振りするんじゃないかなというのもありつつ、距離感がつかめないので、どこでどう当たっているんだろう?というのが難しかったですね」

琉球Agachi 屋良景斗代表「正直どこに打っているかというのは僕らもわからないです」

見えない中プレーすることに怖さもあるなか、ボールの音やガイドの声を聴き分けなければならず、両方を聞く難しさを痛感しました。

ブラインドサッカーと県障がい者サッカー連盟

琉球Agachi 屋良景斗代表「視覚障がいの方もそうでない方もアイマスクをして選手としてプレーできるというのが、一番の魅力ですかね。なのでみんなが同じ条件でフィールドで見えない中でプレーするのが、ある意味、共感できるというか、すごくわかり合えるというのが特徴魅力としてあると思います」

ブラインドサッカーの普及を目指す彼らの活動をサポートしようと県障がい者サッカー連盟ができました。

県障がい者サッカー連盟 金城充代表「障がい者ってなると人数も少なく、やりたいけど活動の場所がない。でも沖縄で生まれた。だからできないのか。でもこの子は東京で生まれたらできる。そこは不公平。そこっておかしいよね。何かをやることに関して、大会に出ると旅費が出るというのは負担。不公平さがあるので多分そこが一番の問題ではあるのかなと思いますね」

県障がい者サッカー連盟の金城充代表は沖縄が島しょ県であるが故の地理的な課題を指摘します。新型コロナで活動が制限されるなかでも、競技人口を増やすには、まず知ってもらうことが何よりも大切だといいます。

県障がい者サッカー連盟 金城充代表「日本で一番の障がい者サッカーフェスティバルをやりたいというのは元々あるんですけど、いろいろな代表選手とか呼んでそこで本当にすごいプレーを見せることで興味がもっとわいていくんじゃないかなとは思うので」

琉球Agachi 屋良景斗代表「(ブラインドサッカーを)沖縄の人にも知ってもらって試合とかみんなに見てもらえたらいいなというのは思っています。」

競技人口の増加は視覚障がいをどれだけ理解できているか社会のバロメーターともいえます。沖縄での障がい者サッカーの発展を目指した取り組みが一歩一歩進んでいます。

  ブラインドサッカーと県障がい者サッカー連盟