東京パラリンピック出場に期待がかかる車いすマラソン、喜納翼選手。

喜納翼選手「東京パラを目指すとか金メダルを目指すとかあまり言わないということですよね」

周りからの期待の一方で当の本人は東京パラへの思いを口にしません。その思いとは。

車いすマラソンでの東京パラリンピック出場に期待がかかるのがこちら、喜納翼選手です。1年延期となった大舞台への思いを聞こうと取材したんですがそこには意外?とも言える思いがありました。

まだ日も昇らぬ午前5時半。夏の暑さと交通量の多い時間帯を避けるため、ロードでの練習は朝が早い。

朝は得意なんですか?喜納翼選手「朝はめっちゃ苦手ですすごいたくさんアラームをセットしています笑」

車いすマラソンでの東京パラリンピック出場に期待がかかる喜納翼選手。2013年に競技をスタートすると2016年には大分国際で初優勝。その後も数々の大会で結果を残し、去年は世界選手権で日本勢最高の5位さらに大分国際で日本記録を更新。今年に入っても東京マラソンで大会新記録を出し初優勝を果たすなど、いまや日本を代表する選手となっています。そんな喜納選手に、これまでの競技人生の浮き沈みをグラフで表してもらいました。

喜納選手が目指すものとは?

2015年に底辺まで落ちていますけども、これはどうしたんですか?喜納翼選手「2015年に褥瘡(じょくそう※床ずれ)を発症しちゃって3~4か月くらいレーサーに乗れなかった時期があった。その時はきつかったですね」

これはやる気が落ちたとかではなく、やりたかったけどできなかったと。喜納翼選手「ですね」

ただそこを終えると2016年からはずっと高い位置を保っていますけどこれはどういった思いが? 喜納翼選手「2016年が初マラソンだったんですね、大分国際がそこからマラソンの楽しさを知ってそこからは気分的にはハイな状態がずっと続いています」

喜納翼選手「ここから先を上げていきたいですね」そんな上り調子の中で迎えるはずだった東京パラリンピックは、1年延期に。大舞台への思いを聞くと、意外とも言える答えが。

本来であれば2020年の9月末というのは東京パラリンピックが終わっている時期だと思うんですけど、これが1年延びたというのは率直にどう感じているんですか? 喜納翼選手「まぁ仕方ないことかなというのがまずひとつと、純粋にトレーニングにがっつり打ち込める期間ができたのでプラスだったかなと思います」

車いすマラソンでのパラリンピック出場に期待がかかる喜納翼選手。コロナ禍で大会などが相次いで中止パラリンピックも1年延期となる中でも黙々とトレーニングに励んできました。

喜納選手が目指すものとは?

コーチ・下地隆之さん「1カ月ちょっと競技場もしまっていたのでその間は屋内でこういったローラートレーニングやウェイトトレーニングを長期間やっている感じです」

チームメイト・安村妃良梨さん「私はコロナの影響で久々に一緒に練習ができているんですけどすごいなって思います。会う度に見る度に成長というか筋肉ついてんなぁって思ったりするので笑」

喜納翼選「漕いでいる回数を数えながら漕いでいます。あれです眠るとき羊を数えるのと同じ感覚で…そうしたら早く終わるような気がするんですよ」

そんな言葉通りの練習がこちら。そこには本当に寝ているかのようにトレーニングに励む喜納選手の姿が…

あれは決して寝てたわけではない? 喜納翼選手「寝てないです、あれはちゃんと真面目に考えて練習していました」

無心で取り組んできたトレーニングの成果もあり半年ぶりに臨んだ大会ではトラック競技で3冠を達成。しかもその日は、本来であれば東京パラリンピックでマラソン競技が予定されていた日でした。

コーチ・下地隆之さん「また来年1年間、そこにピークを持っていけるように調整できるという確信が持てた」

周りからの期待も高まる夢の大舞台。喜納選手自身も競技を始めて間もない頃その舞台への思いを口にしていました。

喜納翼選手(2015年12月)「欲を言えば、2020年があるのでそこを目指して少しずつトレーニングを積み重ねていきたいなと思っています」

しかし競技歴を重ねるにつれて「東京パラへの思い」を口にすることは減っていきました。

喜納翼選手「当時はそういうふうに思っていましたし、頑張っていこうという励みになっていたんですけどいざマラソンを走り出すと走ることが楽しくて大会での結果どうこう以前にマラソンを楽しみたいという気持ちのほうが大きくなっていって」「自分のタイムを少しずつ伸ばしていくことを毎回目標にして走っているので、東京パラを目指すとか金メダルを目指すとかあまり言わないということですよね。それって結局他の選手と比べてのタイムだったり、他の選手がいての順位だったりにこだわっていくということだと思うんですけど、あまり他の選手と比べてとか他の選手の後ろについて走るとか、そういうことをこれまであまり考えたことがなかったので他の選手に左右されない走りがしたいです」

喜納選手が目指すものとは?

そうなると翼さんの中で、最終的な目標、ゴールはどこになるんですか? 喜納翼選手「ないですね 多分最終的なゴールが見えた時に陸上を終える時だと思います 引退する時だと思います」

飽くなき向上心を持ち自分との闘いに集中している喜納翼選手。決して上を見すぎず、ただひたすらに前だけを見て走り続けます。