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まずはこちらのVTRをご覧ください。2007年6月、名護市の大浦湾でQABが撮影した2頭のジュゴン。当初は、カップルともみられましたが、あとになって、親子だったことがわかりました。こちらの大きい個体が今月18日、今帰仁運天漁港で見つかった個体Bです。個体Bの死について、そして沖縄のジュゴンの危機的な状況について考えます。

ブルーシートの中から姿を見せたのは、国の天然記念物ジュゴン。ところが…今月18日、死んでいるのが見つかったのです。

緊急リポ「ジュゴンの死 何を問いかけるか」

今帰仁漁業協同組合の玉城仁さんは「一応、ここですね。ちょっと今、濁っているんですけど、水深がだいたい当時の状況で1m弱の水深の所で浮いている状態だったんです」「波でちょっと、陸側に寄ったり、また、潮に引かれて沖に出たりを繰り返している状態でこのまま放置しておくと、ちょっとまずいんじゃないかなということで…」

発見した際のことを話すのは、今帰仁漁協の玉城仁(たましろじん)さん。漁師からの連絡で現場に駆け付けました。今帰仁漁業協同組合の玉城仁さんは「〝ジュゴンのようなものが浮いている〟ということで職員の方で確認をしたところ、ジュゴンの可能性が高いという判断で近くに漁をされている方がいたので、その方にお願いをしてジュゴンを陸揚げお手伝いをしてもらいました」「実際、ジュゴンというものを見たことがなかったのでやっぱ、こういう形で見たことが非常に残念ではありますね」

体中に残されていた無数の傷。顔の皮は剥がれ、目は真っ赤に。まるで血の涙を流しているようでした。

死んだのはメスの個体B。Bは、古宇利島沖をすみかにしていました。

ヘリリポ「キャンプシュワブ沖の上空です。親子連れでしょうか、2頭のジュゴンが仲良くゆったりと泳いでいるのが確認できます」

Bは17年ほど前に、子どもを産んだとみられ、子育てをしている様子が度々確認されていました。生息が確認されている3頭のうち、最も目撃されているのが名護市嘉陽を餌場としていた個体Aです。

こちらは、QABが独自に入手したAの水中映像。沖縄防衛局が環境アセスメントの際に撮影したものと見られています。さらにBの子どもであるCはというと。2008年5月以降、親離れしたとみられていて、母親がいる古宇利島を離れ、東海岸の名護市嘉陽や辺野古などで目撃されていました。

現場にかけつけたジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎さんは…。

緊急リポ「ジュゴンの死 何を問いかけるか」

ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎さんは「繁殖につながるようなメスだという事もありましたから、その死体を見た時はですね、かなり、んー残念な思いでした」「病気が死因かもしれないし寿命が死因かもしれなし逆に傷のつかないような、例えばほかの網にかかってしまったとかね、そういうことも考えられるし何とも死因については分からないですよね」

実はBの子どものCも2015年、辺野古の海に大型のトンブロックが投入され埋め立てに向けた工事が始まるとその7月以降、姿を消しました。さらにAも、去年9月以降、行方がわからなくなっています。

細川さんは、ジュゴンの保護にもっと本腰を入れて取り組まなければならないと指摘します。

ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎さん「人間活動の影響を受けないような保護区を設定するとかね。そういう、例えば、人間とジュゴンとのゾーニングここはジュゴンの海域、これは人間の海域みたいな形で住み分けをするようなことも具体的に検討する段階に入ったと思いますけど」