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北部訓練場の危機が米政府の文書で明らかに

一方で、問題も明らかになりました。これは、北部訓練場など、沖縄の海兵隊施設内の自然や文化資源の管理方針をまとめた計画書。

去年9月、アメリカ国防総省が、アメリカの環境NGOに対して全文を開示していました。しかし、今年5月、それを知らない伊波洋一参院議員が在沖海兵隊司令部に同じ文書を開示請求したところ、不都合な部分を黒塗りにして提供されていたことが分かりました。違いを見比べてみます。

“北部訓練場は、実戦同様に海兵隊を訓練するため、ジャングルの環境を維持しなければならない”

黒塗りの文書では、ここから先は読み取れません。しかし、全文が開示された文書で読み進めると。

“様々なエリアで、植生で覆われた部分を減らし、トレール(小径)上の浸食が増えていくような使用が集中し、増加していった”

北部訓練場内のダメージを報告した記述が隠されていたことが分かります。さらに、北部訓練場の返還後を予測した記述も隠されていました。

“この土地の返還で、より小さな土地で同じ量の訓練をすることになり、悪影響が増加する可能性が出てくるだろう”

黒塗りの文書を開示された伊波洋一参院議員は、「日本の環境管理基準が適用される海兵隊施設で、基準を守れていないことがわかる部分は教えたくなかったのではないか」とコメントしました。

一方、去年、アメリカの環境NGOから全文を入手した吉川秀樹さんは、この問題は北部訓練場と隣接する地域の世界自然遺産登録にも影を落とすと指摘しました。

吉川秀樹さん「情報をきっちり開示するということがとても必要で、それを前提にしてしか、自然遺産にも登録できないと思います。これをきっかけにしていろんな情報公開を米軍のほうに求めていく、そういった情報を求めていく態度がとても必要になっていくと思います」