戦後70年企画「遠ざかる記憶、近づく足音」です。沖縄戦について語るある女性ガイドの思いに迫りました。県外出身の彼女が沖縄戦に強い関心を抱いたのにはある戦争体験者との出会いがありました。

大田光さん「私はまず一番大事なのは、戦争を知ることだと思ってる、昔起きた戦争が何だったのかあとは起こったらどういう状態になるのか、これを知ることですなのでみなさんのきょう一日はその戦争を知る一日なんですね。」

学生たちに戦争について語る、大田光さん。沖縄平和ネットワークに所属し、戦跡や慰霊碑などを巡りながら、沖縄戦の悲惨さを伝えています。

大田光さん「お母さんは一つ一つの頭蓋骨を見て、これはおでこの形が違う、これは歯並びが違うって一つ一つの頭蓋骨を確かめながら自分の息子のを探し出したって。お兄ちゃんもお姉ちゃんも亡くなってあんただけは生きて帰ってくれると思っていたのにって。家族を戦争で失うってどういうことなのか、人の心にどれだけの傷を与えるのかってその部分ぜひちょっと考えてみてほしいなと思います。」

大田さんは大阪出身の25歳。県外出身の彼女が沖縄戦に強い関心を持ったのは大学の卒業論文作成のために沖縄を訪れた際に聞いた元ひめゆり学徒の講話がきっかけでした。

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宮城喜久子さん「戦争というものがどんなに恐ろしいものか、戦場がどんなに厳しいものなのか全く知らないんです。教師も生徒も。」

元ひめゆり学徒の宮城喜久子さん。16歳の時に動員され、目の前で次々と友人を失いました。血まみれの友人たちを前に、助けることもできず戦火から逃げ惑って知った戦争の悲惨さ。その経験を語ることで、真実を知ることの意味を、語り部として伝えてきました。

宮城喜久子さん「平和を作るための戦争と言って教科書にも書かれていました。傷つけて殺すのが戦争だと、実際に行ってみてやっとわかったんです。真実を知ること、無知であることの怖さをみなさん知ってください。」

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大田光さん「喜久子さんのお話はすごい、すごいストレートに心に刺さる言葉がたくさんあったのでもっとちゃんと聞かなきゃなと思いました。」

その人生を、平和の尊さを伝えるために捧げてきた宮城さん。しかし去年12月、戦後70年を迎えるのを前に、病気のため亡くなりました。悲しみに堪えきれなかったという大田さん。告別式に参加しその思いをFacebookに書き込んでいました。

「ただただ涙が止まらんかった。そしたらその場にいた別の体験者の方に「あんたの番だよ、あんたがあの人の分まで伝えるんだよ、頼んだよ」と言われて、この人達の分も伝えていかなあかんねんな、と強く感じました。」

大田さん「こんにちは、きょうもあっち借りましょうね、勉強しましょうね。」

宮城さんの講話をきっかけに沖縄戦について学び始めた大田さん。現在は、戦場に少年兵として動員された県立第一中学校の学徒らの証言を集め、その一人ひとりの足跡をたどっています。

大田さん「きょうはこの前話を聞いた方の文字起こしをしていますね。ものすごい時間かかります笑」

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元第一中学学生・岸本政一さん(85)「(Qここでどんな話をするんですか)弁当食べたかとかお腹空いてる?とかさ。」

大田さん「食べ物ばっかり。いや、岸本さん、ちゃんとお話も聞くじゃないですか!。」

岸本さん「大学時代から僕が手塩にかけて育てた子だから、自慢してるんだよ。」

大田光さん「むしろ知らないからこそ、知らないといけないと思うんですよねもちろん私も体験していないし、体験者ではないけど知りません、わかりませんの話しではないと思っているし自分が、気になる、聞きたいと思って聞いてはいるけど聞いた責任もあると思うし。」

大田光さん「実際生の声を聞いている人としては言っていかなきゃなと。」

戦争体験者が少なくなる中で直接証言を聞き、受け取ったその思いを次へとつないでいくことを決めた大田さん。この日も修学旅行生に対して、宮城さん達から聞いた証言をもとに、生徒たちに語りかけました。

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大田光さん「みなさんは真実を教わっていますか?私たちは真実を知らないまま戦場に出されたって。真実を知らないことがこんなに恐ろしい結果を招くとは知らなかったって。なので前起こった戦争の実態というものをぜひ皆さんに事実として向き合ってほしいと思います。多分私きょういろんな話してさ、みんなとしては聞きたくない話もあると思う重たい話もあると思う、聞いていて気分が沈んだりとか、重たい話ばっかりだなと思うかもしれないでもこれは戦場の実態です。」

大田さんは生徒たちに語り続けました。

ガイドを受けた学生「過去の事例をしっかり見てから物事を決めないといけないなって改めて感じました。」「熱意が伝わってきたんですね、自分たちに戦争はしちゃいけないということを何度も言っていたので、それは心に響きました。」

大田光さん「体験者が少なくなってきていることに関して言えば、70年という長い月日だと思いますけどでも70年だからと言って、特別と言うよりは、思いはずっと変わってないです。誰かに伝えて誰かと話して、初めて平和学習ってできていくものではないかと思うから、もちろん私は体験者ではないけど、自分が話すことの意味はあるんじゃないかと思いますね。」

戦後70年が経ち、戦争体験者も少なくなっていく中、その思いを受け継ぐ若き語り部の活動は、続いていきます。また、大田さんは、戦争を繰り返さないためには私たちがしっかり世の中を見ていかなければならないと次の世代を担う年代の責任を強く語っていました。