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新しく知事になる仲井真弘多さんは普天間基地の3年以内の閉鎖を公約に掲げ、その実現に自信を見せています。この公約をアメリカ政府はどう見ているのか、ケビン・メアアメリカ総領事に聞きました。

仲井真弘多さん「3年以内にめどつけますと申し上げたのは、まずそれが大変重要な私からのメッセージですから」

稲嶺知事「これは仲井真さん自身がそうおっしゃっている。仲井真さん自身の強烈なやはり政治力、あるいはその辺の自信と信念をお持ちなんでですね」

普天間基地の3年以内の閉鎖に「リーズナブル(無理の無い)な要求だ」と強い自信を見せ当選した仲井真弘多さん。

久間防衛庁長官「それは難しいと思いますね。米軍が使ってるわけですから、事実上出来ません。3年以内に閉鎖するなんて事は」

きのう久間防衛庁長官はきっぱり拒否。仲井真さんは当選の挨拶で面談する前に、大臣の拒否に遭います。

アメリカ大使館で安全保障部長を歴任し、在日アメリカ軍再編にも直接関わってきたケビン・メア総領事。

ケビン・メア沖縄米国総領事「(Q:3年以内に普天間基地を閉鎖させるということは実現可能だと思いますか?)可能性が非常に低いと思います。不可能だと言えると思います。負担を軽減するだけが目的だったら基地を閉鎖できる。でもそうではない。日米安全保障能力、抑止能力を向上することも目的なので、ただ基地を閉鎖することは不可能です」

基地機能の維持にとどまらず、抑止能力を向上させると踏み込むメア総領事。そして暫定へリポート建設案についても明確に拒否します。

ケビン・メア沖縄米国総領事「(Q:キャンプシュワブの陸上部に暫定へリポートを造って、そこに先に移設しておくという方法についてはどうなんですか?)それも検討しました。暫定へリポートとして500メートルぐらいの滑走路を造って、キャンプ・シュワブ、辺野古崎であとで伸ばすという話も出ましたが、現実的では不可能である。なぜかというと普天間の機能を継続しないとならない。建設してる間にその滑走路を使うことはできない」

ただ、暫定へリポート案にずっと否定的だった久間長官が、きのうはこう発言。

久間防衛庁長官「それは色々考えてもいい」

ケビン・メア沖縄米国総領事「(Q:久間長官が色々考えてみてもいいと言う発言だった。何かアメリカ側からいいサインか何かがあったのかなと、ちょっと思ったんですが)いや、我々の、アメリカ側の立場は変わっていません。私ははっきり『無理です』と答えました。米国の立場は変わりません。日本政府も変わってないと思います」

更に、辺野古沿岸案で、軍用機が住宅地の上空を飛ぶことにつながる進入灯の設置についても

ケビン・メア沖縄米国総領事「(Q:このV字型案なら住宅地の上空を飛ばないで済むということを提示されて、それなら仕方ないかと合意した。それがあとから、両方向からも緊急の場合は進入できると言うことになると、約束が反故にされ不安)それは誰の約束?米側のではない。できるだけ(住宅地の上空を)避けるという用意があります。でも、一回もその上で飛ばないという約束はできないとはっきり示しました。日本政府と地元の話し合いに参加してませんので、何が誰が何を言ってるか、我々もよくわかりません」

住宅地上空を全く飛ばない約束はできないと日本側に伝えたというメア総領事。そして、来月にも辺野古沿岸案の建設計画、『マスタープラン』が発表されると自ら明かし、修正協議には応じない姿勢を強調します。

ケビン・メア沖縄米国総領事「私の目から見ると普天間の移設のプロセスがかなり順調に進んでいると思います。マスタープランもほぼ完成。(Q:来月にもそれは発表になる可能性は十分にありますか?)多分そうなると思います。具体的な日にちとかはまだ決まってないと思いますが、もうすぐ出ると思います」

マスタープランには滑走路の長さや位置はもちろん、具体的な工期まで記される可能性があります。

ケビン・メア沖縄米国総領事「我々はこれから全く交渉する余地が無いという立場です。合意した計画をそのままで実行するということ」

交渉の余地もない公約を掲げた県知事を、県民が選んだということになるのか。新知事誕生の前から沖縄には日米両政府の大きな壁が立ちはだかっています。

普天間基地を3年以内に閉鎖するという公約に一票を託した県民は多いと思いますが、メア総領事の姿勢からはその実現の見通しが非常に暗く、また日本政府もアメリカ政府とほとんど変わらない姿勢で、憤りさえ覚えます。辺野古沿岸案に関する政府との協議会が来月中旬にも開かれ、今後、思い壁を押し開ける作業が待ち受けていますが、公約は『できませんでした』では県民は納得しません。仲井真さんの手腕に注目します。