2006年10月10日 18時00分

Qリポート 2年に一度、奥間が燃えた日

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旧暦の9月15日、県内各地で綱引きが行われました。規模で群を抜いているのはやはり那覇の大綱引きですが、実はこの那覇の大綱は国頭村奥間の綱引きと、切っても切れない関係にあるんです。戦後長くと耐えていた那覇の大綱を復活させたのは、奥間の人たちだったんです。今日は奥間の綱引きをたっぷりごらん頂きます!

「那覇大綱引き」。江戸時代にはけが人が相次ぎ、琉球王府がしばらく禁止令を出したほどの、那覇の華でした。しかし、この歓声は戦後26年も途絶えていました。そしてこの綱引きを復活させたのは、大綱の製作技術が沖縄一といわれた「奥間の綱」だったのです。

国頭村奥間。かつては県内有数の田所で藁が豊富でしたが、今は金武町屋嘉から取り寄せています。

奥間の綱引きは夜九時から。綱は当日の早朝から、集落総出で作ります。

「国頭サバクイ ヨイシー ヨイシ!」

藁を継ぎ足して、あっという間に綱が出来上がっていきます。会場で縄作りに精を出すのは北軍。一方の南軍は子供たちに体験学習をさせるほどの余裕です。

南軍隊長・大田孝佳さん「これも作戦の一つ。半分以上出来上がってますからね。相手(北軍)はあせってるんじゃないですか?」

奥間の集落を南北に分けた両軍、この日は口も聞かないというほどライバル心をむき出しにします。

奥間の綱引きの名物、提灯の準備も南北別々に行います。豊年を祈って様々な文字や絵を入れ、作品も競い合います。提灯はもちろん、鉢巻作り、食事作りに女性も大忙し。

こちらは4回連続で勝っている南軍の昼食。豚に冬瓜、昆布とおいしそうです。なんでも、肉の数の多さまで勝負のうちなんだとか。

こちらは北軍。綱作りは遅れているのに、早々と食事に入っています。

北軍隊長・親川登さん「こっちは余裕なんです。焦る必要ないって。(昼食は)内容が違います。こっちは琉美豚ですから!」

5回連続で北軍の隊長を勤める親川さん。3週間仕事そっちのけで準備に当たる大変な仕事ですが、南軍に4連敗を喫しているので辞めるにやめられないとか。

勝敗は綱作りにかかっています。奥間の綱の特徴は、山から取ってきたこのやまかずらを縄に編みこむこと。このため奥間の綱は絶対に切れず、また重いことで有名です。実は20年前まで那覇で引かれていた大綱は、こうして作られたものだったのです。

当時のことに詳しい方を訪ねました。那覇の綱作りにあたった宮城さんは、那覇市に協力を依頼されたとき、とても誇らしかったと振り返ります。

宮城政夫さん「ここで藁を製作してね。今はないですけど、円をつくってここで3名で編むんです」

奥間で作られた綱は、こうして大型トレーラーで那覇に向かいました。奥間の若者たちは早朝那覇に入って、待ち受ける那覇の人たちと一緒に最後の仕上げをしたそうです。しかし、平成に入って那覇が独自で綱を作る力をつけたので、17年間綱を運んだ奥間は役割を終えました。その綱が、いまやギネスに乗るまでに成長したのです。

宮城さん「(Q:綱引きは奥間の自慢?)はーもう、自慢も自慢ですね。国頭村の20の部落で1ヵ所しかないですから」

奥間のノロの家に子供たちが集まってきました。獅子に入ったり、みこしに乗る子どもたちを神様に紹介するのです。奥間には獅子舞のほかクワージシ(子獅子)といって、みるくやオニ、獅子の蚤を取るサーミンクェーと言う異形のサルがいるのが特徴です。

南北、それぞれ60メートルがいよいよ完成。準備万端、夜を迎えます。

奥間のエイサーは、女性たちだけで踊ります。奥間は民俗芸能の宝庫。その精神は子どもたちにも引き継がれています。

南北両軍の隊長と区長からお神酒が獅子に渡されます。杯が立つと縁起のいいしるしです。

いよいよ勝負が近づいてきました。ガーエーと言って、お互いの戦意を高揚させる応援合戦です。昔は相手の提灯を燃やすまで、激しくぶつかったと言うことです。

南軍隊長「勝ちますので!」北軍隊長「北軍の勝ちだよ!」

盛り上がりも最高潮!二年に一度の大勝負が始まります!!

北軍隊長「まあ、しゃーない。どっちが勝ってもいい村にできるから。このまとまりだからね。いい村にできる。どっちが勝ったって一緒!」

たった5分の勝負のためにかけられた奥間の人々の膨大なエネルギー。その熱気こそが、集落に豊年を呼び込むのかもしれません。参加した人はまだ余熱の残る綱を大事そうに家に持ち帰っていました。

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