高校バスケの集大成、ウインターカップへの出場権をかけた県予選の決勝があさって、沖縄サントリーアリーナで行われます。男子の決勝は、沖縄水産対興南。両チームともに譲れない思いがあります

3年連続で決勝の舞台へと進んできた興南。DFからの速攻を持ち味としていて練習中もコートでは常に選手たちが走り回っています。

それに加えナイジェリアからの留学生身長201cmのフォロルンショ イヤヌオルワ サムエルと203cmのオモメジ イフェオルワ オルワペルミがいて県内屈指の高さを誇ります。
2人の留学生を始め、力のある下級生も多いチームですが、ここにきて3年生の思いの強さを感じていると井上監督は話します。
興南 井上公男監督「3年生が残ってくれているので、その思いの丈でチームに火がついている。勢いが上がってきている」
高校生活最後の大会にかける3年生たち。去年の県予選決勝でもコートに立った新城嘉笑(あらしろ・かえ)は、ケガの影響で今大会一度もベンチ入りしていませんでしたが決勝を前に調子をあげています。
興南 新城嘉笑選手「決勝は試合に出て勝たせたい。去年は自分は試合に出させてもらってシュートもあまり決められずに悔しい思いをしたので、今年は試合に出て優勝したいです」
また、キャプテンの知念龍輝も長くケガに苦しんできました。1月の小橋川杯決勝で右足首の靱帯を断裂。さらに県高校総体の直前に今度は左足のくるぶしを骨折。思うようにプレーができず、チームも優勝を逃し、悔しい思いをしてきました。
興南 知念龍輝主将「キャプテンとして、リーダーシップだけで引っ張るのは難しくて、プレー面で引っ張れないのはかなりきつい時期ではあった。リハビリをしてウインターカップには間に合わせることができたので思う存分力を発揮して頑張りたい」
3年生一人ひとりの思いも強まっているなか、チームとしても次の一戦は譲れない理由があります。
興南 平良陽選手「2年連続でアリーナ(決勝)には出ているんですけど、負けてしまっているので最後の最後で勝ち切れるような試合をしたい」
今回で3年連続での決勝進出となる興南ですが、去年・おととしといずれも準優勝。今の3年生たちは2年連続で先輩たちが敗れる姿を見てきました。
興南 古謝玲也選手「先輩たちの悔しい姿を見てしまっているので、先輩たちのためにも自分たちの代で優勝したいと思います」
興南 知念龍輝主将「3年目なので3度目の正直で優勝を目指して頑張っていきたいと思います」
さらに決勝の相手は沖縄水産。去年10月の新人大会こそ勝利しましたが、今年に入り主要大会で2連敗。「3度目の正直」の思いも重なる決勝戦です。

興南 平良陽選手「(今年)全部の大会の県決勝で沖水に敗れてしまっているので、インターハイ県予選・小橋川杯のリベンジを果たせるように頑張りたい」
興南 古謝玲也選手「絶対勝って東京に行けるように頑張ります」

対する沖縄水産は、実に55年ぶりの決勝進出。持ち味はオールコートで走り回る3年生たちのスピード、そこに身長185cmのブリティン琉貴、U18日本代表メンバーにも選ばれた196cmのマクミラン・アレックスら2年生の高さが加わり戦術の幅が広がっています。

チームを指揮するのは小禄や豊見城高校を全国大会に導いてきた嘉陽宗紀監督。3年前の8月に監督に就任した際、この体育館には今とは全く違った光景が広がっていたといいます。
沖縄水産 嘉陽宗紀監督「体育館に来てもずっとがらんと空いていて、バスケ部が何人かいて、7人で練習をした時もボールが足りなくて」
当時の部員はわずか7人、道具すらままならない状況。それでも翌年の春、今の3年生たちが入部してきます。
沖縄水産 高吉伊吹希主将「嘉陽先生の下でバスケットがしたいと中学校の頃に思って入学を決意した」
沖縄水産 金城都馬選手「身長が低くてもチーム力が高い、それを求めているのが嘉陽先生だったので(嘉陽先生が沖水に赴任してきてから)沖水を選んだ」
バスケがうまくなりたいと、嘉陽監督のもとに集まった選手たち。名将が指揮を執る練習は決して甘いものではありませんでした。
沖縄水産 砂川翔太郎選手「先生の指示通りに動けなかったりして、毎回怒られて何回も泣いてしまいました」
沖縄水産 金城都馬選手「日々きつい、つらい、練習が嫌になりそうだったんですけど、今振り返ってみたら一瞬だなと思って」
厳しい練習を乗り越えた先に「結果」が待っていました。沖縄水産は1月の小橋川杯で初優勝。県高校総体では57年ぶりの優勝を果たしました」

沖縄水産 高吉伊吹希主将「きついこともあったんですけど、それを乗り越えた先に勝つことでさらに嬉しさが増したり、きつい練習を乗り越えるために仲間と声をかけあったりして絆も生まれたので本当に良かったと思います」
部員数も現在は53人。長い間結果が出ていなかった沖水を選んできてくれた選手たち、特に今の3年生たちに対して嘉陽監督にも特別な思いがあります。
沖縄水産 嘉陽宗紀監督「私は感謝しかないですね、よく私の指導についてきてくれたなと、バスケットも厳しいことも要求したし、難しいことも要求したし、3年ちょっとですけど、ここまでなるとは思っていなかった生徒たちが、このステージに引き上げてくれて感謝しています。それを今度は僕の方が後押しをして支えてあげたいと思っています」
嘉陽監督が沖水に赴任し、初めて入学時から指導した選手たちが最高学年となって迎える決勝戦。3年間の集大成として初のWC出場を目指します。
沖縄水産 新城来斗選手「きつい練習もあったんですけど、最後は笑って終われるようにしていきたいです」
沖縄水産 高吉伊吹希主将「ずっと3年間嘉陽先生の下でやってきて、その集大成としてアリーナで決勝ができるというのは誇らしく思いますし、存分に楽しみたいと思います」
決勝はあさって19日に沖縄サントリーアリーナで行われます。全国の大舞台・ウインターカップへの切符をつかむのはどのチームでしょうか!
QABのウェブサイトでは女子決勝・男子決勝の模様をライブ配信します。ぜひご覧ください。