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50年先、100年先の沖縄を見ていく「IMAGINEおきなわ」です。今回は昨今のペット事情を考えます。コロナ禍に起きたペットブームの裏側で犬や猫をむやみに繁殖させる悪質なブリーダーが社会問題になっています。犬の質を高めるため純血種にこだわりドッグショーにかける男性がいます。

おととし11月、劣悪な環境で38匹の猫が虐待された事件がありました。猫を飼っていた女性「動物愛護法とか知らなくて、とにかくこの子たちを助けなきゃ命をつなげないと(という気持ち)しかなかった」

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

多頭飼育や不衛生な環境で犬や猫を繁殖させるいわゆる「悪質ブリーダー」の排除などを目的に2019年に動物愛護管理法が改正されました。1人が飼育できる頭数を犬は20匹・猫は30匹と定めています。さらに出産は生涯で6回まで、交配時の年齢も原則として6歳以下としています。

県動物愛護センターによりますと、県内では年に1件ほどの業者が廃業勧告を受けているといいます。

ブルズライカム比嘉憲さん「多頭数と計画的繁殖をしていないのかなとそこで飼育管理がずさんになって劣悪な環境(という話)も聞くので」「営利目的を優先にしてしまうとそこに行きつくのかなと」

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

ブルドッグとフレンチブルドッグ専門のショードッグブリーダーとして北中城村で10匹の犬を飼育する比嘉憲(ひが・けん)さん。一部のブリーダーによるむやみな繁殖によってかつては雑種と呼ばれた様々なミックス犬が利益のためだけに生まれていく昨今のペット事情に思いがありました。

ブルズライカム比嘉憲さん「雑種・ミックス犬の方が純血種より値段が高く売られている」「そうなると純血種を守っている方もそこに行くのかなとミックスの方に行ってしまうのかなと思う。私はドッグショーがメインなので分からない」

この日、沖縄市の広場に多くの犬たちが集まりました。県内はもちろん遠くは北海道や東北など、全国各地からはるばるやってきたおよそ130匹です。

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

その目的は「ドッグショー」性格や見た目の美しさを競うだけではなくそれぞれの犬種に定められた理想の姿にいかに近いかを審査する沖縄で年に一度開かれる犬の品評会です。「純粋犬種を守り後世に伝え犬の質を高めること」を最大の使命としています。

参加する人「ブリーダーさんがお披露目する」「健全なワンちゃんを競う戦い」

参加する人「うちの子たちが活躍してくれるとうれしいので良いものを良いと認めてもらえたら」「みんな勝ちたくて来ていると思う」

審査基準はおもに6項目。

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

①タイプ(犬種ごとの特色)②クオリティー(犬種ごとの充実度や洗練度)③サウンドネス(精神的・肉体的な健全性)④バランス(全体の調和)⑤コンディション(健康・精神の状態)⑥キャラクター(魅力やマナー)

その犬種にふさわしい骨格・体型をしているか?おびえたり攻撃的ではないか?など立ち姿や性格も審査の対象に。さらに歩き方にも何か光り輝くものはあるか?マナーの良さが感じられるか?といった飼い主のしつけも数十秒のうちに細かく判断されます。審査員を威嚇したりうなり声をあげたりしたら即失格です。

犬種でグループに分けられその中で最も優秀な一頭を選出します。さらにその中から大会で最も優れた一匹が最優秀犬「ベストインショー」に認定されるのです。

飼い犬をドッグショーに出場させるため比嘉さんが全国を転戦するようになったのは8年ほど前。この日はドッグトレーナーの平安山さんとともに7匹が審査に挑みます。

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

ブルズライカム比嘉憲さん「ショーをやる場合は全部ひげはカットですね」

それぞれの犬が持つ毛をより鮮やかに見せるためメイクを施していきます。

ブルズライカム比嘉憲さん「これはコレステロール」「皮膚に化粧が塗りやすいように」

白いファンデーションの上にはおもに乳幼児に使うパウダーを全体になじませます。

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

まずは11匹の中から特に優れたフレンチブルドッグを決める審査。比嘉さんの4匹が出場します。一瞬の審査によりまもなく2歳を迎えるアンズが見事入賞!しかし、喜びに浸る間もなくすぐに作戦会議へ。

ブルズライカム比嘉憲さん「僕、隠れていた方が良いのかな」

ドッグトレーナー平安山良孝さん「もし(比嘉さんを)どうしても探す時には前で見える方がいい」「後ろにいると(振り返ってしまう)」

次の審査に向けて比嘉さんの表情が引き締まります。

この審査にはトイプードルやチワワなどペットとしてもおなじみのあわせて14犬種が参加。そしてアンズが登場。姿を目で追って前に進めるように比嘉さんも駆け足でサポート、堂々とした歩きを見せました。果たして結果は?

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

惜しくも上位3匹に与えられる入賞はなりませんでした。

「出陳番号115フレンチブルドッグ」この日最後の審査となるベビークラスに挑むのは、生後4カ月のオリーブ。

まだまだ遊びたい盛りの子犬とあって苦労しながら歩きやマナーなどを教えてきた女の子。しっかり歩いてくれるでしょうか?比嘉さんに寄り添いながら堂々と歩き切ったオリーブ。そして。

会場アナウンス「ベストベビーインショーセカンドフレンチブルドッグに決定しました」

#IMAGINEおきなわ vol.54 ドッグショーにかける

見事、第2位に輝きました!純血種にこだわりながらその犬らしさを追求する比嘉さん。ドッグショーとともにこれからも命と向き合い続けます。

ブルズライカム比嘉憲さん「ドッグショーは楽しみのひとつ」「いろんな先生方とかショードッグの仲間たちから私の犬の評価をもらって次につながるように改善していきたい」「これからもいい犬づくり家族の一員として迎え入れてもらえる子犬づくりをしたいと思っている」