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沖縄返還をめぐる日米の密約を暴いた、元毎日新聞記者の西山太吉さんがおととい、心不全のため福岡県北九州市の高齢者施設で亡くなりました。91歳でした。

西山さんは、毎日新聞政治部記者だった1972年、沖縄返還に向けた日米の密約に関する機密文書を外務省の女性事務官に漏洩を働きかけたとして、国家公務員法違反で逮捕、起訴されました。

東京地裁は1974年、無罪判決を言い渡しましたが、高等裁判所で有罪となり、最高裁で1978年に有罪が確定しました。

西山さんは東京地裁の判決後に毎日新聞社を退社し、2005年に誤った判決で名誉を傷つけられたとして国に対し謝罪と損害賠償を求めて提訴しましたが、2008年に敗訴しました。

西山さんが報じた密約は沖縄返還に際し軍用地の原状回復補償費を日本政府が肩代わりするというもので、政府は密約の存在をかたくなに否定していました。

西山さんは2000年代に入り、アメリカの国立公文書館で相次いで密約の公文書が発見されたことから、積極的に講演や著書で政府批判の活動を行っていました。

沖縄にもたびたび訪れ、講演会や辺野古の座り込みの現場へも足を運んでいました。告別式はあす、北九州市内で家族や近親者で執り行われます。