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人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」の汚染問題。

市民団体がことし実施した血液検査で、全国平均よりも高い値が検出されたことを受けて今月25日、そのメンバーらが上京し、国に対して直接、解決に向けて取り組むよう訴えましたが、具体的な回答は出ませんでした。

PFAS汚染から市民の命を守る連絡会 伊波義安共同代表「この問題の根本は米軍基地内の立ち入り調査なんですよ、立ち入り調査をして、原因を究明して、浄化させる。誰に対していつどのような要請をしたんですか。これに対してどのような回答があったんですか」

2022年6月から7月にかけて「PFAS汚染から市民の命を守る連絡会」が実施したPFASの血中濃度検査で、全国平均よりも高い値が検出されました。

これを受けて先週の金曜日(25日)連絡会のメンバ―らが上京し、防衛省、環境省、厚生労働省に対して直接、汚染源特定のための基地内への立ち入り調査や法律による規制、環境基準値の策定に向けて取り組むことなどを求めました。

PFAS汚染問題 市民の訴えで県が調査乗り出すも国は動かず

PFAS汚染から市民の命を守る連絡会 伊波義安共同代表「もう5、6回私たち市民団体が防衛省に要請してるんですが、これに対してノーコメント。ですから、きょう私は防衛省から直接、代表がいらっしゃるから、沖縄ではごまかされてもこの防衛省ではごまかさないだろうと思って、夕べから大きな期待をしてきているんですよ。こんないい加減な回答で国民の命が守れるのですか?答えてくださいよ」

しかし、国からは具体的な回答はありませんでした。

防衛省の担当者(※立ち入り調査について)「ご指摘の調査結果も含め、現時点でPFOS等の血中濃度と在日米軍施設とのの因果関係について確たることを申し上げるのは困難であることをご理解願います」

厚労省の担当者「(国の目標値などについて)今後、検討していく中で値がどうなるのか分かりませんけれども、高くなることもあれば低くなる両方ということが考えられる、というのが現時点での我々としてはそう理解しています」

そのほか、環境省の担当者は、「調査結果をふまえて検討していきたい」と述べるにとどめました。

また、その日の午後には、海外メディアが集う外国特派員協会でQABが制作したドキュメンタリー番組「命ぬ水」の上映会が行われた後、連絡会のメンバーらが沖縄の実情を訴えました。

PFAS汚染問題 市民の訴えで県が調査乗り出すも国は動かず

PFAS汚染から市民の命を守る連絡会 桜井国俊共同代表「問題は日米地位協定です。沖縄県民の健康を守るための第一歩は汚染源の特定ですが、米側の許可なしには立ち入り調査が出来ないのです」

PFAS汚染から市民の命を守る連絡会 玉那覇淑子共同代表「PFAS汚染源を特定するための基地内立ち入り調査、健康調査、環境調査等々、日本政府に対して再三再四要請をしてきましたが、政府は何一つ答えてくれておりません」

海外メディアからは、PFASによる汚染問題を「環境汚染」と「日米間における基地問題」としての2つの側面があると感じた、という受け止めがありました。

会見に参加していた人「日本政府は米軍、あるいはアメリカ政府ともめたくない。何が怖いの。防衛省は何を守っているんですか?沖縄の人たちの水を守れないで」

会場に足を運んでいた沖縄戦を描いたドキュメンタリー『沖縄 うりずんの雨』で知られる映画監督は・・・

ジャン・ユンカーマンさん「(日米)同盟なのに平等じゃないという矛盾がものすごく大きい。大きいけどそれが沖縄の住民に一番負担が重くかかってる。立ち入り調査もそうだし、基地の周りとか島全体的に調査しないといけないと思う」

一方、同日(25日)、普天間基地を抱える宜野湾市でも動きがありました。

普天間基地に隣接する小学校の土壌からPFASが検出された問題で宜野湾市議会が国に対して、PFASに関する土壌の基準を求める意見書を全会一致で可決したのです。

こうした動きの中で、玉城知事はおととい(28日)、宜野湾市の松川市長との面談で、来年度に水質と土壌の全県的な調査を行う意向を明らかにしました。

PFAS汚染問題 市民の訴えで県が調査乗り出すも国は動かず

玉城知事「令和5年度には、水環境と土壌におけるPFOSの全県的な調査もしてみたいと考えています。その調査結果も示しながら、各国の状況の検討と、値はどのようになっているのか、具体的に(国に)要請をしていく必要であろうとと考えています」

水質調査については、2020年に国が暫定目標値を定めてから初めての実施となり、行政による土壌調査の実施については、県内で初めてのこととなります。

県によると調査場所や規模感は未定で来年度の実施に向け調整を進めており、県幹部は「まずは実態把握を行いたい」としています。

市民と県が一体となって、PFASによる汚染問題の解決に向けて動きはじめた一方で、「基地内への立ち入り調査」や「基準値の設定」へ向けては国による早急な対応が望まれます。