この時期は本来なら各地でハーリー鉦が鳴い響いているはずなんですが、コロナの長期化で今年も「ハーリー」が軒並み中止となっています。何か物足りない感じがしますよね。先行きが見通せない今だからこそ、伝統行事を次の世代に受け継ごうとする思いが強くなっているようです。

糸満ハーレー行事委員会 与那嶺和直さん「もう中学校から45年ぐらいこの行事にね一昨年までは御願(うがん)バーレーのかじ取りもしてましたから、一番初めはもう一番エークもしたり、いろんな競技をしたもんだから、これが途切れることは本当に残念です。もうそれしか言えません」

長く糸満ハーレーの運営に携わってきた与那嶺和直さんは、中止を決断した苦しい心境を語ります。毎年旧暦の5月4日に行われてきた「糸満ハーレー」は、コロナの感染拡大を防ぐために去年に引き続きことしも開催しないことが決まりました。普段ならゴールデンウィークごろから連取が始まって徐々に盛り上がりを見せるはずの糸満漁港は、閑散としていました。

さらに、那覇市の三大祭のひとつに数えられる「那覇ハーリー」も2年連続の中止となっています。

ハーリーの伝統を未来につなげる

仲本興平さん「うちの父も祖父も、ひいおじいちゃんも、先祖代々のってたような感じです。僕が小さいころもゴールデンウィークといえばハーリーでした」

白熱した競漕の舞台となるはずだった場所を見つめるのは、仲本興平(なかもとこうへい)さん。泊地区の代表として、30年ちかく御願(うがん)バーリー・本バーリーに出場し続けてきました。仲本さんは、新型コロナに伝統行事を奪われ、大きなショックを受けていました。

仲本興平さん「率直に残念です。私個人もそうなんですけど、おそらくハーリー、祭り自体を期待していた人も多いと思いますので、先行きが不透明な今だからこそ、伝統を次の世代につないでいかないといけません」

那覇ハーリー会館 照屋昇憲さん「那覇市民県民の方、また、海外、県外の方にですね、ぜひ爬龍船というものはどんなものか見ていただきたいなと思って」

ハーリーの伝統を未来につなげる

「那覇ハーリー会館」では、これまでの歴史を振り返る写真や、競技で使われた衣装などが展示されています。特に目を引くのが、長さ14.5メートル、幅2.12メートル重さ2.5トンの「爬龍船」です。

「こちらの那覇ハーリー会館には、実際に那覇ハーリーの競技の中で使用される爬龍船も展示されていて、このように乗り込むこともできるんです」

船の中では記念写真をとることも可能です。こうした展示を見ることのできる「那覇ハーリー会館」が開いているのは、去年は4月から1か月のみでしたが、ことしの1月から開館日を火・水・木の毎週3回と大幅に増やしました。そこには、コロナ禍の中でも多くの人にハーリー文化に触れてほしいという会館の願いがあります。

那覇ハーリー会館 照屋昇憲さん「沖縄県のふるい600年伝統のある爬龍船をですね、文化というのは、こんなのがあるんだよとみてもらって興味を持ってもらって、また大人になっても(爬龍船に)乗っていただきたいという希望があります」

ハーリーは豊漁や航海の安全を祈願するものでもあります。糸満では先人たちから受け継いできたハーレーの歴史を途絶えさせまいと、ハーレー鉦を打ちならしたり、御願したりする神事が例年通り行われる予定です。

那覇ハーリー会館 照屋昇憲さん「来年こそは、2年分のパワーをぜひいかして、とてもより良い、爬龍船競漕ができたらなと、那覇祭りができたらなと期待してください」

ハーリーの伝統を未来につなげる

仲本興平さん「(ハーリーは)僕の中では生きがいです。ハーリーをなくしては、おそらく生きてはいけないんじゃないかなと思うぐらい、まつりに対する思いというのは、だれにも負けないぐらい持っているつもりです。それを自分たちの子供とか、あるいはこれから生まれてくるであろう孫とか、次の世代にしっかりとバトンを受け継ぎたいなと思っています」

コロナ禍で2年連続で開催することができなかった伝統行事。来年こそはという関係者の熱い思いをハーリー鉦にのせ、未来という大海原を目指し、漕いでいきます。