感染者が増え続けているなか、出産を控えた妊婦は多くの悩みを抱えています。「もしも感染したら?」「病院での対応は?」考えれば考えるほど、不安は大きくなっていきます。そんな妊婦を支えたいと奮闘するお母さんたちがいました。

子ども連れでいけるドライブスポットや、おすすめの習いごと、ちょっとした愚痴まで子育て世代に向けた情報を発信しているフリーペーパー、「たいようのえくぼ」

県内の子育て情報を集めるのに苦労した経験からお母さんたちが13年前に立ち上げた雑誌で、取材に始まり記事の制作、撮影・編集まで自分たちで手掛けています。最新号では、これから出産する人に向けたコーナーを作ることにしました。

たいようのえくぼ 仲村優香 代表「私もコロナ禍の中で妊娠出産をしていろいろ不安だったなっていうことをオンラインの会議で話したときに、それなら1ページ読者に向けて届けてみてはどうか?などということでプロジェクトとして進めています」

去年8月、いわゆる第2波のさなか出産した仲村さん。3人目の出産とはいえ無事に出産ができるかという不安が大きかったといいます。

たいようのえくぼ 仲村優香 代表「妊婦でコロナにかかった胎児にどう影響があるのかとか。ニュースではこう言ってる、新聞ではこう言ってるって不安で」

コロナ禍のお母さんへ情報を発信

琉球大学医学部 産婦人科学教室 金城忠嗣 医局長「ここが手術室台です」「感染対策のためにビニールで覆っています」

妊婦がコロナに感染していた場合、病院では、普段通りのお産とはいきません。

金城美砂さん「大げさに言うと絶望感がすごかったっていうのがあって、もう、これからどうなるんだろう」

こう話すのは、3カ月前に2人目の子どもを出産した金城さん。帝王切開を予定していたその日の検査で、陽性だったことがわかりました。

金城美砂さん「入院当日に助産師さんに、実は、昨日から鼻の匂いがしないんですよっていう話をして、でも自分が鼻炎持ちだったので鼻炎の症状が悪化しただけなのかなと思ってたんですよ」

通っていた病院では感染が分かった妊婦の対応ができないため琉大病院を紹介され、その日のうちに手術・出産しました。

金城美砂さん「手術するお医者さんも一緒にやってくれる看護師さんも、皆さん防護服を着て、マスクとフェスシールド」「物々しい感じですね」「もう、1人目の帝王切開とまったく違う雰囲気で」

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琉球大学医学部 産婦人科学教室 金城 忠嗣 医局長「琉大病院では入院する人は全例新型コロナウイルスのスクリーニングをしますので、症状がなくてもあってもすべての人がコロナの検査を受けます」

琉球大学の金城医師によると、出産までの流れはこのようになります。PCR検査で陰性の場合、産婦人科病棟で感染対策をしながらのお産となります。しかし陽性であれば、コロナ病棟に入院です。

金城医師「37週以降で、いつお産になってもおかしくない状況でコロナが判明した場合は、うちの施設では帝王切開でお産ということにしています」

手術室動画「ここが頭で…こっちが足…」感染リスクを減らすためその日の他の手術が全て終了したあと、夕方から夜にかけて手術し、赤ちゃんはNICU(新生児集中治療室)へ。お母さんはコロナ病棟に戻り、赤ちゃんと会うことはできません。

金城先生「マスクで(看護師の)顔も見えないし、コロナの妊婦さんって結構ストレスフルだと思うんですよ。」「しかも、赤ちゃんが隣にいないから自分が産んだ感じもしないとか」

そんなお母さんたちを精神的にサポートするため、病院ではリモートで赤ちゃんの様子を伝えています。

金城美砂さん「ミルク飲んでいる姿だったりとか、起きてる姿とかを毎日見せてくれたので」「安心しました。」

生まれた赤ちゃんは複数回PCR検査を受け、陰性が確認されれば1週間~10日ほどで退院できます。金城さんも出産からおよそ1週間後、無事母子ともに退院、やっと家族全員、一緒に生活することができました。

金城医師「コロナにかかったからといって、赤ちゃんに感染するリスクってとっても低いらしいんですよ」「お母さんも元気であれば赤ちゃんに感染するということは、まずない」

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コロナ禍での出産は、なかなか外から見えづらいこと。「知らないことが怖い」という気持ちを少しでも和らげたいと、たいようのえくぼのメンバーは出産を終えた人や助産師などに聞き取り取材を行いコーナーを練っていきます。

プロジェクトリーダー 温山依里香さん「こんな状況だけれども逆に家族で団結して、ひとつの命に向き合えたとかポジティブな声も聞けたので私が励まされました」

助産師の橋本さんは、コロナ禍でお母さんたちの心境に前向きな変化がみられるようにもなってきたと話します。

助産師 橋本恵里子さん「母さんたちがどんどん本気になっていきました。自分自身が産むんだという、本気度が高まってきて不安が力になっていった」「妊娠中からも子育ては、始まっているんですよ。病院に行ったら産まされるわけではない。自分が産まなきゃいけないから」

そんなお母さんたちに、一緒に子育てをするお父さんたちはどう声をかけたらいいのでしょうか?

助産師 橋本恵里子さん「お父さんたちは、一緒にただ分かち合ってほしい」「うんち出てるかな?おしっこ出てるかな?って、本当にちっちゃなことで、お母さんたちは一喜一憂してるから」「ただいまって帰ったらきょうもお疲れ、って。どんなだった?って。その一言だけで救われる」「きょうこんなだったんだよって言ったら、そうなんだってわかってくれるだけで、とっても励みになる。それだけじゃない?」

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サブプロジェクトリーダー 宜保真理子さん「私が上の子出産したときは、新型インフルエンザがちょうど流行して、同じような状況だったので」「そういうの(情報)を身近な人から知るっていうのが一番安心していけると思うので、そういう紙面になれたらいいなと思っています」

コロナ禍の不安を、力にかえるメッセージ。新たな命を育てるお母さんお父さんをあたたかい光で照らします。

琉大病院の金城先生は「妊婦さんがコロナにかかると妊娠していない人に比べて、重症化したりする割合が高いのでそこは気をつけないといけない」「退院した後は保健師さんが回って情報共有する県の支援事業もある。それは知っていてほしい」

助産師の橋本さんは「不安になるのは当たり前。それも親になる過程。不安な気持ちをかかえている自分を責めずにそのまま認めて、周りにSOSを出してサポートをしてもらおう」とも。

こちらが発行されたばかりの「たいようのえくぼ」です。県内の銀行やコンビニなどで配布されています。15日からは公式サイトからも見ることができます。


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