こちらの革財布、なんの皮で出来ているかわかりますか?実はサメ皮なんです。財布のもとになっているサメ革もスタジオに持ってきてもらいました。魚の形になっているのが分かりますよね。

なぜ、サメ革にこだわって製品を作り続けるのか、若手職人のその想いとは。

サメ革にかける職人の思い 厄介「者」を役立つ「者」に

高級感あふれる力強い風合いの財布、サメの姿を型どったオープナーキーホルダーに、琉球松と革がマッチした上品なコースター。使われているサメ革の模様が1つ1つ異なる為、同じものは2つとない世界に1つだけの製品です。

立磨さん「独特な模様と風合いが出るのが1番の魅力かなって感じですね。(サメ皮は)模様が場所によっても違うし、個体によっても違うので、この模様だったら財布がいいな、とか、細かい模様だったから小物がいいな、とか、そういう風な、作っていく中での楽しみはありますね。」

サメ皮の魅力を語るのは南城市にある工房 「cafooca(カフーカ)」の革職人 「金城立磨 (りゅうま)」さん。革の模様を最大限に生かせる手作りにこだわって、商品を制作していきます。

サメ革にかける職人の思い 厄介「者」を役立つ「者」に

立磨さん「(サメは)陸の動物の牛とかとは違って、毛穴がないんですよ。なので、傷に強い。で水にも強い。耐久性はどの皮よりも1番あるんじゃないかなって思ってます。」

生まれも育ちも那覇市首里のりゅうまさん。高校卒業後は県内の工房に就職し、7年間務め、革職人としての腕を磨き、2019年に独立。自分の工房を持つという夢を叶えました。

立磨さん「誰かの為になるブランドを作りたいと思って、カフーが幸せ、フカがサメで、『幸せのサメ』ってことでカフーカにしましたね。」

駆除の対象として厄介者扱いされながら捨ててしまうのではなく、息吹を吹き込んで人の生活に役立つ新たなモノへと蘇らせてあげたいという想いも店名に込められています。

立磨さん「友人が漁師をやっているんですけど、『サメ皮で財布とか作ってくれないか?』って言われたのがキッカケで。」

サメ革にかける職人の思い 厄介「者」を役立つ「者」に

友人の一言をキッカケに、サメ皮をどうにか作品に活かすことが出来ないかと考えたりゅうまさんは、宮城県の気仙沼でサメの皮を使った製品があることを知り、サメを駆除することが多い沖縄でも生かせると、可能性を感じたと言います。

立磨さん「(駆除されたサメを)一言でいうと『勿体ない』。ヒレも捨てられているんだ。なんで肉も捨てられているんだろう。皮も絶対(再利用)出来るだろう。と思って。」

この日は、年に10回程度行われるサメの解体作業。サメ皮を入手するため、ここで駆除されたサメを自らの手で解体していきます。

立磨さん「3、40センチくらいの魚だったら全然捌いてたんですけど、そんな感覚で挑んだら全然違くて…(笑)最初は1頭三時間くらいかけて捌いて、めっちゃ大変だなと思って今では1頭、15分~20分くらいで捌けるようになりました。」

サメ革にかける職人の思い 厄介「者」を役立つ「者」に

周りの協力もあり、駆除された命をなるべく無駄にすることなく捌いていきます。捌いた皮は、腐敗や老化を防ぐ、鞣し(なめし)と呼ばれる加工を施す必要があり、内地の加工業者へと送られます。

立磨さん「革にもいろいろ種類があるんですよ。固くしたり、柔らかい加工とか、自分が望んでる革に出来るところを探して会いに行く。それも結構大変でしたね。」

約3か月間の加工期間を経て、厄介者だったサメの「皮」から製品作りに使用される「革」へと生まれ変わるのです。そこから革職人としての本領が発揮されます。長い時間をかけて納得のいくものを完成させていきます。

サメ革にかける職人の思い 厄介「者」を役立つ「者」に

豊田さん「凄く尊敬しますね。彼の行動力には。(今では)サメに関しては世界一だと思ってますね。(商品は)肌触りも全然、サメとは思えないものを作っているなと。」

立磨さん「(彼は) 一番、買ってますよ。(笑)」

厄介者を役立たせたいという想いはサメ皮加工だけにとどまりません。「サメ肉を料理に使う」というアイデアも生み出していました。

立磨さん「美味しい。全然臭みもなくて、ふわふわして美味しいです!」

りゅうまさんのサメに対する想いに影響された友人は。

サメ革にかける職人の思い 厄介「者」を役立つ「者」に

金城さん「自分の中でも(サメに対する)価値観も変わって、お客さんに出した時の反応も、『え、サメ…』ってなるんですけど、食べた後には美味しかったよって言ってくれるのが最近は多くなってきて、それも手応えとして感じていますね。」

立磨さん「今まで駆除されたものが誰かの為に、商品を購入したお客様が間接的に支援者になるっていうシステムを作りたかった。」

厄介者を商品にし、その売り上げを児童施設などに寄付する取り組みも行うカフーカ。こちらの「赤色」のサメ皮財布には、首里出身のりゅうまさんの想いが。

サメ革にかける職人の思い 厄介「者」を役立つ「者」に

立磨さん「首里城が燃えた時に、もう(寄付)やろうって決めて。ちょっとでも貢献しようと思って始めましたね。いままで駆除されて嫌われて捨てられていたものが、商品へと蘇って、その売り上げの一部を寄付する。今まで嫌われていたものが、誰かの為になっているっていう、ブランド。」

駆除されて処分されたサメを活用して誰かの為に役立てたい。カフーカのサメ革職人の熱い思いはとどまることなく新たなものを生み出すという挑戦が続きます。