まだまだ終わりがみえない新型コロナ。これから来年に向けてどう過ごせばいいのでしょうか。この1年、大きな負担を強いられた医療現場で起きていた出来事から考えます。

椎木創一医師「得体の知れないものに対する、対応の仕方の難しさ」「集中治療室が一気に埋まってしまうような形から始まりました」

緊迫した医療の現場の様子を語るのは県立中部病院、感染症内科の椎木創一医師。これまで経験したことのない感染症との闘いが始まったのは、およそ10カ月前。

玉城知事「本日沖縄県における最初の新型コロナウイルス感染症の患者が確認されました」(2月14日)

県内で最初の新型コロナ感染者が確認されたのは2月14日。ダイヤモンドプリンセス号の乗客を乗せた60代のタクシー運転手でした。

4月に入ると感染は加速。本島北部や離島にも広がり1カ月で130人あまりの感染が確認されました。20日には知事が県独自の緊急事態宣言を発出。当時の状況を振り返って、椎木医師は。

2020年を振り返る コロナ×医療

椎木先生「手探りで診療を行っているという状態でした」「しかももちろん治療薬やワクチンもなく、目の前でどんどん具合が悪くなるという患者さんの対応が一番心を砕いたところです」

重症者への医療体制を確保するため民間ホテルでの軽症者の受け入れも始まりました。しかし、急激に患者が増えた結果、医療機関ではマスクや防護服が不足する事態に陥り、再利用して使うこともあったといいます。

椎木先生「感染対策をやる人にとってみれば、正直今まで一度も考えたこともないことをやらなければならなくなった」「当時モノがないことが医療従事者の診療に向かう気持ちは、不安を増幅したのは事実」

『5月14日 県の緊急事態宣言解除』「現在午前10時過ぎの国際通りの様子ですが、ご覧のようにほとんどの店舗ではシャッターが閉じたままとなっています」

感染状況が落ち着き、社会活動が再開した5月、6月。しばらくは感染者0が続いていましたが、7月、コロナとの闘いが再び始まります。

県外からの旅行者が見られるようになってきた7月、69日ぶりの感染者が。(東京からの旅行者20代女性)7月中旬ごろから感染は拡大し夜の繁華街や職場、病院でもクラスターが発生しました。

第1波をはるかに上回る勢いだった第2波。過去最多となる156人の感染が確認されました。一時、病床利用率が146.6%となり(8月3日)入院できずに自宅で待機を余儀なくされる人が200人を超えることもありました。

2020年を振り返る コロナ×医療

椎木先生「第2波は、治療の方法とか感染対策の方法がわかった頃ではあったんですが」「軽症の方から重症の方まで非常に多くの方が病院来られたということで。数そのものの対応に非常に苦慮しました」「特に若い方を中心にした人の集まり方から発生するクラスターが大きな火種になっていると思います」

ひっ迫した医療体制を強化するため全国各地から応援看護師が派遣されました。(8月26日)苦しそうな患者の看護にあたるのは、広島から応援に駆け付けた看護師、大江玲さんです。

応援看護師 大江玲さん「(当初)現場は混乱している状態だった。病院の看護師が1人と介護士が1人、多くて2人の中で23人を看ている状況で、普通は夜勤の次の日は休みになるが、休みが取れずに夜勤明けに日勤という状態がしばらく続いていた」

大江さんは今後も見据え、外部からの支援を受け入れやすい環境づくりが大切だと訴えていました。

椎木先生「これが職務とはいえ、やはり感染に対する恐怖は常日頃の医療の現場とは違う雰囲気がありましたが、地域の方々からの応援、サポートは私たちの支えになりました」

またしばらく感染状況は落ち着いたものの、感染者がゼロとなる日はありませんでした。また、こんなニュースも。

10月8日「新型コロナに一度感染して治った人が再び感染する再感染のケースが県内で初めて確認されました」県内で初めての事例となった「再感染」。最近では、感染した98%の人が、半年間、感染を防ぐ「抗体」を持っているという調査結果も発表されるなか、一度感染した人が再び感染する可能性はあるのでしょうか?

椎木先生「一般的な感染症の常識からみたら当然かかりにくくなるだろう」「ただ、どのくらいの時間を守ってもらえるかというのは、半年という数字もありましたが、これはおそらく個人差があるものだと思います」

椎木医師によるとコロナの流行期間がすでに1年近くになることから2度目、3度目の感染もおかしくない状況だといいます。

11月20日玉城知事「まぎれもなく第3波だと思っています」11月26日、3カ月ぶりに70人を超える感染者が報告されました。県の専門家会議は、医療現場がひっ迫すれば、「3度目の緊急事態宣言」も視野に検討する考えを示していて気が抜けない状況となっています。

椎木先生「実はそのひっ迫が、今大きく2種類、同時に動いていて」「冬はいろんな他の病気で患者が増える。ただこちら側の病床が今度は足りない」「コロナウイルスの患者さんの病床のコントロールも難しいんですが、一般の患者さんの方にも今非常に大きな影響がでています」

2020年を振り返る コロナ×医療

これからの年末年始、人の移動が増えると感染のリスクも高まります。私たちはどのように過ごせばよいのでしょうか?

椎木先生「自分が咳をするときが一番人にうつしやすいというイメージを持ちやすいんですが、実は、飛沫といわれるものは私が喋ってるだけで飛ぶというのはよくわかってきていて、その中に非常にたくさんのウイルスがいます」「なので、家の中であっても人と会うときにはお互いにマスクをする」

新型コロナによって人と接する喜びや、さまざまな楽しみを奪われたこの1年。まだ終わりは見えないものの、椎木医師はコロナウイルスについてよく知ることができた1年だったといいます。

椎木先生「(コロナで)失ったものも非常に大きかったという印象を皆さんお持ちだったと思います」「第1波のときと決定的に違うのはリスクをゼロではないけど、かなり減らせるという方法わかってきました」「それをぜひ実践して、人との繋がりを持ちながらも広がらない社会。感染を抑えられる社会に向かっていく。この一年学んだこと皆さんも体験したことを、来年に向けて実施していきたいと思います」

椎木医師は「換気もとても重要だけれども、その前にやはりマスクと手洗いを徹底し、その上で換気をしてほしい」と話していました。第1波、第2波で高齢者や、基礎疾患をもつ人、肥満の人などが重症しやすいことが分かってきました。

来年も流行の波は繰り返すと予想されています。ワクチンや治療薬が出るまでは、第1波、第2波で学んだことを実践し感染者のヤマをどんどん小さくしていくことが大切です。