きょうからこの1年をシリーズで振り帰るシリーズ2019。1回目はあすで土砂投入から1年となる辺野古の新基地建設の1年を振り返ります。

新基地建設の埋め立て工事が進められている現場ではきょうも土砂が海に投入され、美しい辺野古の海が日に日に失われていく現実が垣間見えました。

きょうゲート前ではトラックの出入りは確認されませんでした。

ゲート前インタビュー「いつまでかかるかわからないけどを(工事を)やっている。絶対に許せないですね」

ゲート前インタビュー「私たちの辺野古新基地はもういらない、やめてくれという思いがなぜ聞いてもらえないのかと、そういうことに怒り、憤りを感じながら反対の声をあげ続けてきた1年だった」「とにかく諦めることなく私たちはここで頑張りたいと思います」

あすはゲート前や海上で大規模な抗議集会が予定されています。

新基地建設の埋め立て工事が進められている現場

辺野古の海に土砂が投入された「あの日」から1年。ヘリリポート(島袋夏子)「土砂を積んだトラックが護岸に近づいてきました」

地上リポ(沼尻和樹)「多くの県民の反対の声をよそに(何のためらいもなく土砂が落とされています)辺野古新基地建設に向けた埋め立て工事が始まりました」

去年の12月14日、国は辺野古の海に土砂を投入し、埋め立て工事に着手しました。県と国の攻防が続いたこの1年。土砂投入の翌月、安倍総理が初めて「軟弱地盤」に言及。

安倍総理「一般的で施工実績が豊富な方法により地盤改良工事を行うことにより、護岸や埋め立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であることが確認されたと聞いております」

埋め立て予定海域の大浦湾側にはマヨネーズ状とも呼ばれる軟弱地盤が広がっています。

岩屋防衛大臣(当時)「難なく工事ができるとは考えておりません」

国は、地盤の改良工事を予定していて、大型の作業船を使って砂を押し固めてつくる砂杭7万7000本を海底に打ち込みます。しかし、この方法にはある問題が…

日本大学理工学部・鎌尾彰司准教授(地盤工学)「我が国が持っている地盤改良船では海面から70mまでしか届きません。ここの地盤は海面から90mあるので最後の20mは届かない」

一番深い所まで届かないこと杭を造るための砂利をどうやってまかなうのか…、多くの課題が横たわっています。

沖縄防衛局 西村拓次長「忌憚なきご意見をいただければかと存じます」国は専門家を集めた有識者会議を経て、地盤改良をするため、県に設計変更を出す方針です。

「県民投票」「反対」が圧倒的という結果に

多くの県民の関心を集めたのが埋め立ての賛否を問う「県民投票」「反対」が圧倒的という結果に。全県実施までの紆余曲折。

宜野湾市・松川市長「県民投票条例そのものにまだ疑義がある」

「賛成」と「反対」。選択肢が2つだけだと多様な民意が反映されないと、当初、5つの市が不参加を表明。有権者の3割が投票できなくなる恐れがありました。

石垣市・中山市長「県民投票は実施する」沖縄市・桑江市長「速やかに執行するように執行機関には指示をいたします」宜野湾市・松川市長「県民投票に取り組むことと致しました」

結局、「どちらでもない」という選択肢を加えることですべての市町村での投票が実現。結果は、投票した人の7割が埋め立てに「反対」。「辺野古」県民投票の会・元山仁士郎代表「(政府には)この沖縄の人たちのウムイ(思い)民意を重く受け止めていただきたい」

示された県民の思い…しかし。安倍総理「危険な状況を置き去りにするわけではないわけでありまして」国は沖縄の民意に耳を傾けませんでした。

県民投票の翌月、国は2カ所目の区域でも土砂投入を開始。そして、4月、国は県の埋め立て承認撤回を取り消しました。再び法廷闘争へ。

石井国交大臣(当時)「沖縄県による埋め立て承認の撤回処分を取り消すとの裁決を行いました」

撤回取り消しで工事を強行する国。玉城知事「これ以上沖縄に新たな基地は造らないという方向性で基地を整理縮小を政府は真摯に実現していくべきだというふうに考えます」

新基地建設の阻止を諦めない玉城知事。平行線をたどり、埋まらない溝。承認撤回を回復させるため県は国を相手に2つの裁判を起こしましたが…。

玉城知事(敗訴した時の会見)「このような内容の判決となったことは誠に残念であります」辺野古を巡る県と国の裁判、県はこれまで勝訴したことはなく厳しい状況に立たされています。

辺野古の海に土砂が投入されて1年、最初に土砂投入が始まった区域は海より土の割合が多くなっています。一体、どれだけの土砂が注ぎ込まれたのでしょうか?進捗状況を専門家に分析してもらいました。

土木技師・北上田毅さん「(去年)12月から土砂の投入が始まって、焦ったんですけど1年たって今の現状を見ると…工事が遅れているというよりは、もうまったく遅々として進んでいないとしか言いようがないと思いますね」

進捗状況を専門家に分析してもらいました。

土木技師の北上田毅(きたうえだ・つよし)さんは、埋め立ては進んでいないと指摘します。というのも… 11月末までに、2つの埋め立て区域ではあわせて20万立法メートルの土砂が投入されましたが、埋め立て土砂の総量は2062万立法メートル、進捗率にすると、たった「1%」程度なんです。今のペースだと、埋め立てるだけでも「100年」という途方もない時間がかかる計算です。

記者「基地の実現度をどう考えるか?」土木技師・北上田毅さん「100年かかるということは、もう、要するに、(基地は)できないというのとイコールですね。政府の関係者も我々も誰も生きていないわけですから。このままでは実現しない、今のペースでは、工事の実現、基地の実現、完成は見通せなくなったとしか言いようがないと思いますね」

河野防衛大臣(10日の会見)「今後の見通しについて確たることを申し上げるのは困難でございます」

軟弱地盤の改良工事を「難工事」と言う国は埋め立てが終わるまでの期間や費用を示せていません。

日が暮れて、基地のライトが闇夜を照らすキャンプシュワブのゲート前。沿道での呼びかけ「大浦湾を守りましょう」ろうそくを手に、行き交う車に新基地建設の反対を訴える「ピースキャンドル」新基地建設予定地近くの「瀬嵩」に住む渡具知武清(とぐち・たけきよ)さん一家が2004年に始めました。

渡具知武清さん「こんなに(長く)なるとは思ってなかったから、もうすぐにでも終わるんだろうなと、(基地を)造らないでそのまま自然を残してくれるんだろうなと思ったんだけど…」

毎週土曜日の夕方、ゲート前で続けられてきたピースキャンドル。たくさんの人が集まった時、集まらなかった時、天気の良い日も悪い日も武清さんは大浦湾を守ろうと呼びかけ続けてきました。この活動も先月、16年目を迎えました。

渡具知武清さん「何とかして沖縄の気持ちを表そうとして、表そうと思って、こういうことをずっとつづけなきゃなんないってことで今に至っているんですけどね…」

海の埋め立てが始まったあの日は大きな衝撃を受けた1日だったと言います。

渡具知武清さん「残念というか、なんか、自分が情けないなという気持ちでしたね。ダンプがね毎日のように何百台と入っていって埋め立てていくっちゅう様を見ているとやっぱり、もう、歯がゆくて…」「これからずっと、諦めないでやる」「子どもたちに平和な未来を託したい」という思いを灯し続ける武清さんにとってその思いをさらに強くした1年でもありました。

私にとって刺さるような言葉を何度も言われてきて、時には落ち込んだりやめようかなって思った時もあるんだけども、私たちがやっていることは間違いではないんだよって、ピースキャンドルは悪いことじゃないよって、そう励ましてくれたおかげで、この16年間頑張ってこれたんじゃないかなって(思う)

娘・和紀さん(高校3年)「私たちの未来を守るため、子どもたちの未来に基地を造らせないという思いで、そのために行動しているっていう姿がとってもかっこよくて。「何のためにやってるの?意味ないじゃん」とか、私にとって刺さるような言葉を何度も言われてきて、時には落ち込んだりやめようかなって思った時もあるんだけども、私たちがやっていることは間違いではないんだよって、ピースキャンドルは悪いことじゃないよって、そう励ましてくれたおかげで、この16年間頑張ってこれたんじゃないかなって(思う)」

ここに立たなくてもいい日が1日でも早く来ることを願って渡具知さん一家は辺野古新基地建設の反対を訴え続けます。

県民投票や埋め立て承認撤回の取り消し、そして、法廷闘争など県と国が対立を激化させた1年だったように感じます。特に、土砂の埋め立てだけに100年かかるというのにはびっくりさせられました。なぜ、こんな計算になったのか?

記者「今、埋め立てが進んでいる2つの場所、最初に始まった区域の方は海面からある程度の高さまで埋め立てるのに14万立法メートルの土砂を必要とします。また、2カ所目の区域では107万立法メートル。」「小さい方の区域では14万に対して7割、大きい方の区域では107万にたいして1割の土砂が11月末までに投入されました。そうすると、11カ月、つまり、およそ1年間であわせて20万立法メートルほど土砂が投入されたことになります。」

「この区域には全部で319万立法メートルの土砂が入るということだが、これは何なのか?」

記者「所要の高さまで埋め立てた後、そこからさらに数メートル高く盛り上げるために土砂が使われます。それが319万立法メートルなんです。最終的に埋め立てに使われる土砂の量は2062万立法メートルなので、この1年で投入された量が20万立法メートルということを考慮すると埋め立てだけで100年かかってしまうということなんです。」「これに加えて軟弱地盤の改良工事をはじめ、様々な工事があることを考えるとさらに時間が必要になりそうなんです。」

これは工事が遅れていると言わざるを得ないのではないか?

記者「そうですね。6年前に国が埋め立て承認を県から得る時に2019年2月で普天間基地を運用停止にするという約束していたはずですが、結局、今年、運用停止は実現しませんでした。国が埋め立てにこんなに時間がかかるとわかっていたのならそもそも約束を守るつもりはなかったと批判されても仕方のないことだと思います。国は工期の遅れを指摘されても、「工事の状況をその都度見直しながらやっているので、遅れているかどうかはわからない」と回答するだけできちんと説明しようという姿勢が見えてこないのが現状です」

辺野古の新基地建設、今後はどうなるのか?

記者「国は技術検討会を経た後で地盤改良に着手する方針です。そのためには、設計変更を国に申請する必要があります。この時期がいつになるのか、明確にはわかっていませんが、ここで、県と国の攻防が待ち受けていて、玉城知事は認めない構えを見せています。いずれにせよ、辺野古を巡る県と国の動きは来年も目を離すことができない1年になりそうです」