最近よく聞く言葉に「フェイクニュース」「ファクトチェック」という言葉があります。

これは「フェイクニュース」がネットなどを中心に拡散される「嘘のニュース」のことを言い「ファクトチェック」は、そのニュースが果たして本当のことなのか「ファクト」「事実」を検証しようという動きです。

これらの言葉がなぜ飛び交うのか。そこには気軽に情報を得られるネット社会に潜む危険がありました。

おととい開催された「フェイクニュース」をテーマに沖縄タイムスと琉球新報の現役記者が意見を交わしたトークイベント。

なぜ広まる”フェイクニュース” 安易な”発信”に潜む危険

フェイクニュースとは虚の情報によって作り出された記事のことで中には、誹謗中傷で相手を傷つける。いわゆるヘイトを目的としたものも存在します。

沖縄タイムスと琉球新報はそれぞれ去年から今年にかけて、フェイクニュースや、ネット上などで流れる情報の真偽を確かめるファクトチェックに関する連載を行い先日、それらをまとめた本が出版されました。

この取り組みを行うきっかけとなったのは去年行われた、ある選挙でした。

琉球新報池田哲平記者「去年1月の名護市長選挙だったんですね。ネット上に様々な偽の情報だったり誤った情報が流れている中で、それをもとに投票をしている人がたくさんいるという現状があるということから、ネット上の情報にも取り上げていかないといけないということで」

沖縄タイムス與那覇里子記者「投票行動に影響を与えるというのは日本の民主主義が崩壊する可能性があるのでそういうところに影響のある面に関しては取り組んでいかないといけないなと思って」

選挙にも影響を与え始めたというフェイクニュース。最近は、個人攻撃に発展するなど社会問題化しています。その背景には、インターネットやSNSの普及がありました。

なぜ広まる”フェイクニュース” 安易な”発信”に潜む危険

琉球新報安富智希記者「やはりネットになってより手軽に、しかも拡散力がかなり高くなってどこにいてもそのようなデマの発信源になって拡散できる。ネット以前の口コミとちょっと威力が変わってきたなというのがSNSが出て以降のデマ情報の危険度の高さや向上につながっていると思う」

SNSが持つ拡散力の強さによって広まっていくフェイクニュース。嘘がなぜ広がるのか。そこには単純な作業を怠っていることも原因につながっていると話します。

沖縄タイムス石川亮太記者「SNSから流れてくるニュースを大手メディアなどと同等に扱う、真実性を持って受け止める方が多いのかなという印象もあってですね。実際に冷静に考えればそういったメディアが流してるかと確認することで、それが真実なのかとかですね、そういったところがわかってくるというか、きっかけになるのかなというのはあるんですけど、証拠をとらないこと、安易な作業もせずに真実だと思い込んでいることがヘイトやフェイクを増幅させている状況があると感じる」

情報の中身や発信源などへの確認作業。これは情報の受け手のみならず、情報を発信する側にも求められるものですが、過去には大手メディアがこれを怠ったことによって起きたフェイクが事実として伝えられた事態も起きていました。

2017年に県内で起きた事故をめぐり産経新聞は、アメリカ海兵隊員が日本人を救出した後に事故にあったと伝えた上で、地元2紙が海兵隊員の勇敢な行動を報じていないとして強い論調で批判したのです。

なぜ広まる”フェイクニュース” 安易な”発信”に潜む危険

ところが、その後、海兵隊員が救出したという事実は確認できず、取材が不十分であったとして記事を削除。2紙を批判したことについても謝罪する事態になりました。

大手メディアも発信してしまったフェイクニュース。

フリージャーナリストの安田浩一さんは以前QABに出演した際、メディアや有名人などによる発信が、ネットユーザーに対してフェイクニュースの材料となったと指摘しました。

なぜ広まる”フェイクニュース” 安易な”発信”に潜む危険

フリージャーナリストの安田浩一さん「無名のネットユーザーによる無責任な書き込み、もちろんこういったものはたくさんあるわけです。しかしそこに材料や栄養を与えているのは常に公的な立場にある人の言説なんですね。例えば沖縄は基地で飯を食っている。経済は基地に依存している。普天間はもともと誰も住んでいない田んぼだった。沖縄で新基地建設に反対している人々に日当が出ている。沖縄の人々は他国に侵略されることを望んでいる。これは荒唐無稽ないわば戯れ言に近いんだけど、しかしこれを言ったのは無名のネットユーザーじゃありませんからね。すべて著名人であったり、政治家であったり、そして一部のメディアであるわけです。つまり公の立場にある人によってフェイクニュースが作られていくという回路があると思う」

ネットの発達により情報に対して便利な面がある一方で無責任な書き込みによって弊害が生まれています。ネットに発信されている情報は、嘘か本当か・・・

ネットとの向き合い方を考えるとともに、発信する一人ひとりの責任が求められる時代になっています。

沖縄タイムス與那覇里子記者「ネットの世界が全然別世界なわけはなくて、今生きている私たちの誰かが発信をしていて誰かが作っているんですよ。本当はこうなんじゃないとか誰かを陥れるために使ってほしくないなと思います」

金城キャスター「さて、今週は新聞週間でもあるそうですがフェイクニュース。そしてファクトチェック。どのように考えますか?」

黒島さん「沖縄タイムスがフェイクニュースに向き合うようになったのは、選挙期間中に広がるデマや嘘の情報が、選挙の結果に影響しているのではないかという危機感を抱いたことがきっかけです」

金城キャスター「危機感ですか?」

黒島さん「はい。嘘の情報をもとに、投票されてしまうと、票にたくした民意とは何だったのか?ということになりきちんと政治に反映されなくなってしまうからです。ただ、選挙期間中の嘘やデマの情報というのは、これまでもありました。口コミや相手候補を誹謗中傷するビラなどを目にした人も多いと思います。しかしインターネットが台頭し、とくにスマートフォンの普及によってこうした嘘の情報を、個人で発信することが可能になり、同時にビラや口コミとは、比べものにならないほど、急速に大勢に広がるようになったことが現在のフェイクニュースの問題の背景にあります」

中村キャスター「そうですね。では、スマホで情報を得るというのが普通になった今、特に若者たちが嘘のニュースに惑わされない。騙されないためにはどのような対応が必要でしょうか」

黒島さん「はい。ここで注意しなければいけないのはSNSで発信された情報を広めた多くの人は、はやく逃げて欲しい、情報を早く届けないと、と思った”善意による情報発信”の人たちが多かったことがのちに分かりました。ですから、情報を発信する上での私たちへの教訓というのは、SNSでの情報をうのみにしないこと、ということではないでしょうか。そして、新聞やテレビなど既存メディアで情報が嘘か本当か、確認することを習慣づけることが大切だと思います」

中村キャスター「基本ですけれども、大変なことが起きている!というこきこそ流れている情報に”疑問を持つこと”そして、その情報を拡散する前に”立ち止まり確認する”ことが大切です」