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今度の日曜日の「慰霊の日」を前にシリーズでリポートをお伝えしています。きょうは、この時期恒例となった「お笑い米軍基地」笑えない深刻な

基地問題を、笑いに変えて芸人たちが伝えたい思いとは。

公演の様子「昔からゆし豆腐作るときは満潮の朝早くから、大浦湾の浜辺に行って海水を汲んできたわけ。どんなねー?」「埋立の土砂の影響かな。じゃりじゃりしますね」「だからよー」

毎年6月に演芸集団FECが行っている公演お笑い米軍基地。沖縄が抱える深刻な基地問題など普段は「笑えない」話をコントに仕立てて、笑ってしまおうという、人気の公演です。

慰霊の日リポート(2)お笑い米軍基地 芸人として 県民として2つの思い

演出や脚本を務めるのはまーちゃんこと小波津正光(こはつ・まさみつ)さん。基地問題をコントにしようと思ったきっかけは東京に出て沖縄を、外から見たときに感じた思いを、沖縄に住む人たちにも感じてほしいと考えたからでした。

小波津正光さん「僕らの舞台を見て初めて発見してほしい。沖縄で住んでることで沖縄に米軍基地があることの矛盾だったりおかしさというのを僕らの舞台を見てそうだったんだなと感じてほしいと思います」

稽古日公演の2日前、事務所では本番に向けた稽古が行われていました。2005年に始まり、今年で15回目を迎えたお笑い米軍基地。ここまで続くとは思わなかったと話します。

小波津正光さん「始めた当初からそうなんですけどお笑い米軍基地は続けることを目的としている舞台じゃなくて、これができなくなることが一番いいと思っていて。言ってみればこの舞台が続くということは沖縄にずっと米軍基地があっていろんな問題が起き続けてる。だからネタが途切れないってことじゃないですか」

毎年終えたいと思っていると話すこの舞台。しかし15年前から変わらない思いもありました。

慰霊の日リポート(2)お笑い米軍基地 芸人として 県民として2つの思い

小波津正光さん「始めたときからずっと同じ気持ちでやってるんですけど沖縄で起きている米軍基地の問題であったりいろんな事件事故について興味を持ってほしいという思いだけでやってる」

公演日迎えた公演初日。10本近くのコントが披露され終始笑いに包まれた公演。しかし最後のコントで、会場の空気は一変しました。学校で行われる平和教育の中で、戦争について歌った曲の歌詞から平和について考える授業の設定のコント。

母親を亡くしたことをきっかけに様々な問題に直面する生徒が周囲への憎しみや不満をぶつけを生きること、そして死ぬことを考えます。

慰霊の日リポート(2)お笑い米軍基地 芸人として 県民として2つの思い

小波津正光さん「怒りと憎しみというのが僕は人間が争いごとをなくせない、世の中の戦争がなくならない最大の原因だと思ってて。あの戦争が起きてた時の怒りや憎しみと現代の怒りや憎しみってどこかで共通しているところがある」

不満や憎しみが多い社会の中で生き続ける意味に向き合う生徒。

公演の様子「おかあが枕元に立っておれに言うわけよ「生きろ」って、「命ある限り生きろ」って、「生のある限り生きろ」って。でも生きたってしょうがない、生きてもつらいことだらけだし、何の意味があるば生きることに」

母親の言葉をきっかけに生き続けることを決めた生徒。先生役の小波津さんが観客にも問いかけます。

公演の様子・小波津正光さん「74年前の戦争を感じられない時代に生きています。でもあの戦争の時も、元号が令和になった今でも、私たちの母は同じことを伝えているのだと思います。命ある限り生きなさいと。この先どんなことがあろうとも生きろと」

観客「最後のメッセージが強いかなと」「平和に対してどうやって考えていった方がいいのかというのをFECのコントから私自身もすごく学ばせていただいてるなと」

この舞台に対して小波津さんは、芸人として、そして県民として二つの思いで臨んでいます。

小波津正光さん「芸人の立場としてはいつまでも続けられたらいいなと思うんですけど、でも今後はできなくなることを願いながらやる舞台なのかなと思いますね」