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今年5月、県民栄誉賞を受賞した安室奈美恵さん。そこで贈られたのは伝統工芸品「金細工(カンゼーク)」。一体どんなものなのでしょうか?

Qプラスリポート 金細工 父の背中追う87歳

今年5月歌手の安室奈美恵さんに県民栄誉賞が贈られました。表彰状とともに記念品として贈られたのは沖縄の工芸品「金細工」による房指輪とジーファー。それぞれどんなもので、どんな歴史があるのでしょうか?

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那覇市首里崎山にある「金細工(かんぜーく)またよし」。7代目の又吉健次郎さんが金づちでたたくリズミカルな音が城下町に響きわたります。

16世紀、琉球王府のお抱え職人だった金細工師たち彼らが制作した金細工は王族の装飾品をはじめ、宮廷の人々の日用品となりました。

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今回安室さんに贈られた2つの金細工。「ジーファー」はかんざしのことで、女性の後ろ姿を表した形から分身といわれ、お守りとして身につけられました。

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「房指輪」は琉球王国時代に婚礼指輪として使われ、7つの飾りは沖縄の文化や風土、祀りごとをを表しています。

しかし、500年ほど続いた金細工の歴史は一度沖縄戦で途切れてしまいます。その伝統を復活させたのが先代で父親の誠睦さんでした。

又吉さんは40歳までラジオ局でディレクターとして活躍していましたが、父親が体調を崩したことで、自らも金細工師になることを決意します。

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又吉健次郎さん「父も歳だし、じゃあ終わらせていいかということを考えた時に、やっぱり僕がやらないと終わるだろう」

又吉さんの工房にある道具はすべて父親から引き継いだものです。

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又吉さん「やっぱり親父もここから始まった。そして僕も始まった。匁秤(もんめばかり)でこうして量るのが大好き」

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まずこちら、代々伝わる匁秤で銀の重さを決めていきます。そして銀を溶かしたらひたすらに打ち、形を生み出します。

健次郎さんは金細工に独自性はいらないと言います。ひたすら追い求めるのは「伝統の形」です

又吉さん「自分の個性は全部抜きにして、ひたすら同じリズムで同じ角度で。自然に親父に近い物ができる」

金細工を作り始めて40年以上経った今でも「父の域に達していない」と語り、日々、父親が残した道具と向き合い、技を極めます

又吉さん「親父の道具を使って、親父の金道具使って、金槌で。ひょっとして親父と対話しているんじゃないかな。ふと最近気が付いてね。ダメな場合は親父がたぶんダメと言っているんじゃないかな。そうするとまた打ち直そうかと」

又吉さんのジーファーと房指輪は引退を間近に控えた安室さんへ贈られました。

又吉さん「僕があげたジーファーと房指輪は、琉球の女性が身につけたもの歴史の形だと思う。彼女の手元にずっと残してほしい」

歴史を作った安室さんに思いをはせつつ、又吉さんはきょうもたたき続けます。

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