※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

政府と県の「約束」が生きていれば、普天間基地の運用は2018年2月まで。残り1年を切っていますがアメリカ軍自身が「幻想」だと否定しているとされ、先行きは見通せません。

こうしたなか、去年アメリカ軍ヘリの部品が落ちているのが見つかった緑ヶ丘保育園では、安全な空を取り戻そうと立ち上がった父母たちの闘いが今も続いています。

アメリカ軍ヘリの部品が園舎の屋根で見つかった、宜野湾市・緑ヶ丘保育園の母親たち。今月13日、東京にいました。

知念有希子副会長「オスプレイの部品が落ちて、きょうまた飛んでるんですよ。それでもまだ精査中ですかね」

事故から2か月あまり。アメリカ軍は、軍のヘリの部品であることは認めながら、飛行中に落下させた疑いは否定しています。なぜ、どこから落ちて来たのか、事故の原因が明らかにならないまま、上空を飛び続けるヘリ。母親たちは、事故前と何も変わらない状況を変えたいと、外務省・防衛省など、政府に直接要請したのです。

宮城智子会長「米軍に(回答を)求めていく、訴えていくということは、いつもいつも聞かされるんですけども、求めて求めて求めて、返ってきたことってありますか?答えとか」

防衛官僚「米側が調査中ということでございまして…」

知念有希子副会長「あなたたちが本気になってアメリカ軍と話し合いでもなんでもしてもらえば、こうやって母親たちが上京して異常な現実を訴えるということは、絶対にないはずなのに」

どんなに迫っても、回答らしい回答をしなかった政府。「何か分かるのではないか」母親たちの淡い期待は裏切られました。

一方、母親たちが要請を宛てた安倍総理は、この日、官邸で沖縄からの別の来客に対応しました。当選の報告に訪れた、渡具知武豊名護市長です。

渡具知武豊名護市長「(Q.総理とはどのような会話交わされた?)総理も同じく、今回の選挙戦の結果について、よく頑張りましたねと、いうことで、ねぎらいの言葉がございました」

安倍総理 2月2日・衆院予算委答弁「振り返ってみれば、様々なプランを考えても、日米間の調整が難航したり、移設先となる本土の理解が得られないなど様々な事情で、なかなか目に見える成果が出なかったのが事実でございます」

名護市長選の直前、基地負担の軽減が進まない理由に、「本土の理解が得られない」ことをあげていた安倍総理。この日は、普天間基地問題の行方を左右する名護市長当選の「お祝い」の面談に時間を割き、「移設先の地元の理解」を自ら演出しました。

緑ヶ丘保育園の母親たちが、安倍総理に宛てた要請書を課長クラスの官僚に託したのとはあまりにも対照的でした。

翌日、海外メディア向けに会見を開いた母親たちに、再び厳しい現実が待っていました。

園の上空を飛行しないでほしいという願いを聞いてほしい。シンプルな思いとは裏腹に、新基地建設への意見なども求められたのです。

知念有希子副会長「私たちはただ上空の飛行禁止を求めているだけで、何も難しいことをお願いはしていません。これを名護に行ってほしいとか、グアムのこととか、そういうことではない、それだけは訴えたいです」

知念有希子副会長「辺野古がどうのこのとか、そういう部分ではないですよ、っていうふうに、最後はそれで止めて(会見は)終わりました。やっぱり難しいな、って」

与那城千恵美さん「どういう風に今後伝えていったらいいのか、どこに訴えていったらいいのか、すごいみんな虚しくなって…」

先週土曜日。政府要請の結果を報告した父母会の集まりには、熱心に耳を傾ける保護者の姿がありました。

大城美乃さん「ここで起こったことがどんどん次から次へと起こっている状況もあるので、そういうのをなんとか止めたい」

保護者の1人、大城美乃さんは、沖国大ヘリ墜落事故も経験しています。あの事故からことしで14年。子どもにも同じ災難が降りかかるとは、想像もしていませんでした。

大城美乃さん「当事者だった自分が、自分の子どもがそうなってしまった、ってなったときに、大人が守ってあげないといけないなっていうのをすごく感じたし、これ以上あってはいけないなというのをすごく痛感してますね」

政府が約束した「5年以内の運用停止」まで残り1年。命を守るために、声をあげる必要性を感じています。

大城美乃さん「1日でも早く、きょうにでも停止してほしいくらい。保育園の子どもたちだけを守りたいとかそういうのではなくて、他の沖縄の子どもたちだったり生活する皆さんにとって、危険な毎日であるのであれば、安心して過ごしたいという主張をしてもいいのかな。しないといけないのかなっていう」