嘉手納基地周辺の住民が、米軍機の飛行差し止めなどを求めていた第3次嘉手納爆音訴訟で、那覇地裁沖縄支部は国に約300億円の損害賠償の支払いを命じました。一方、住民側が求めていた飛行差し止めについては訴えを退けました。

この裁判では嘉手納基地周辺の住民2万2000人あまりが、国に対し、米軍機の夜間早朝の飛行差し止めと損害賠償を求めていました。

判決で那覇地裁沖縄支部の藤倉徹也裁判長は「受忍すべき限度を超える損害が生じている」として、国に301億9862万円の損害賠償の支払いを命じました。しかし飛行の差し止めについては、騒音を生じさせているのは米国で、日本の法支配は及ばないとする「第3者行為論」を理由に訴えを退けました。

原告の一人は「本当に裁判所は生活を守る人権を守る私の暮らしを守る、これが生きてないって感じがします」と話しました。

一方、約302億円という賠償額は自衛隊や米軍基地の騒音を巡る訴訟で過去最高ということで、判決を受けて沖縄防衛局は「国の主張について、裁判所の十分な理解が得られなった」とコメントしていました。

第3次嘉手納爆音訴訟 約302億円の支払い命じる

スタジオには新田記者に入ってもらいました。

新田記者「今回の第3次訴訟の特徴は、2万2000人の住民が原告になっているということです。全国の基地騒音訴訟でも最多です」

いかに多くの住民に被害を及ぼしているかが伺えますね。では、判決のポイントは何だったのでしょうか?

新田記者「まず注目していただきたいのは、こちら、損害賠償額の増加です。判決では、賠償対象の範囲が一部広がったほか、うるささ指数75以上の地域に対する損害賠償額が軒並み増額され、ほぼ倍増しています。増加の背景について弁護団はこう説明しています」

弁護団「過去最高の賠償月額を認めている。このことは、米軍機騒音による健康被害の発生を一部認定したものと一定評価できる」

続いてのポイントは何ですか?

新田記者「これまで認められなかった健康被害が一部認められたということです。判決文のなかで、裁判所は睡眠妨害は深刻であると認定した上で、高血圧症発生などのリスクが、うるささ指数の上昇と共にも増加していると、その関連を認定しています」

そうした健康被害の認定が賠償額の増加につながったということですね。

新田記者「そして、最後に飛行の差し止め請求についてです。これについては従来通り、最高裁判例を踏襲し、アメリカ軍の行為については日本の支配が及ばないとする『第三者行為論』で訴えが棄却されました。この点について原告団はこう話しています」

第3次嘉手納爆音訴訟 約302億円の支払い命じる

新川秀清原告団団長「判決で私たちが30年以上かけて願っていることは、爆音の差し止めであります。その事が認められなかったことは、35年の運動のなかで一番重く主張していることだったが、残念の一言です」

新田記者「前回の第二次爆音訴訟の控訴審判決で裁判所は、飛行差し止めという司法的救済の道が閉ざされている以上、より一層強い意味で、国には政治的な責務がある、としていました。今回も、飛行差し止めは認められませんでしたが、判決では、長年にわたって日米両政府の被害防止対策が進んでいないことは、『違法な被害が漫然と放置されていると評価されてもやむを得ない』と厳しく指摘しています」

裁判での救済は難しいけれども、国の責任が大きく問われているというメッセージですね。

新田記者「は弁護団は控訴する方針です」