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中学生が同級生に激しい暴力をふるう「いじめ暴行動画」がネット上に流出し、波紋を広げています。なぜこのような事態にまで発展したのか、きょうはその問題点に迫ります。

狩俣教育長「無抵抗の生徒を一方的に殴り、動画をLINEに送信する重大ないじめ、重大な人権侵害。教育長として痛恨の極みであり」

先週、沖縄市教育委員会が緊急に開いた記者会見。そこでは学校現場が抱える深刻な暴力の問題が浮き彫りになりました。中学生が同級生の男子生徒に対し、殴る蹴るなどの激しい暴力を加える生々しい様子がとらえられています。

ネット上に流出して初めて、公にされた暴力事件。学校側は。

いじめ暴行動画について考える

狩俣教育長「教育委員と学校は問題把握から本事案は重大な事案で”いじめ”であると共通理解し対応してきた」

しかし学校側の説明からは当初、事件を大きくしたくないと判断していたことや対応が後手に回っていたことが伺えます。

狩俣教育長「加害者の母親から謝罪も有り、加害者も動画を削除した。これ以上大きくする必要はないと判断した。その後動画がネット上に拡散していることを受けて、警察の支援が必要との判断に至ったものと理解」

さらに今週、9カ月前にも、同じ学校の生徒が同様の暴力事件に巻き込まれていたこともわかりました。

宮城指導部長「昨年5月11日(中抜き)当該中学校2年生1名に県内中部の中学校に通う2年生1人が暴力をふるう。LINEで動画を投稿した」

次々に発覚する中学生の暴力事件、そしてその映像がネットに流出するという異常な状況。今回の問題は私たちにどんな課題を突き付けているのか、考えます。

取材した新田記者です。今回の事件からは、様々な問題が見えてきますね。

いじめ暴行動画について考える

新田「はい、こちらに問題点を大きく3つに分けて整理しました。1点目が、中学生を取り巻く悪質な暴力行為の実態、そして暴力動画を撮影してネット上に拡散するとういう行為。さらに学校側の対応の難しさなどです。」

今回は動画が出回ったことで生々しい、激しい暴力の実態を目にすることになりましたね。

新田「過去には、力加減を知らない中学生が、同級生を殴り、死なせてしまったという事件も起きています。絶対に暴力は許されないのだと伝えていかなければならないと思います」

新田「これについて琉球大学の山口剛史准教授はネットに情報を流出させる怖さを考えていない、「幼さ」について指摘しました」

山口准教授「(ネットの)危険性や影響を分かってやったかというと分かってないだろうし。本人たちの生活圏の問題として行われていることが簡単に社会全体に拡散しやすいという危険性を子ども達が予見できていたかというと甘かったのではないかと」

殴られている人の痛みがわからないまま生徒たちが大人になったらどうなってしまうのか、本当に心配だと思いました。ネットにプライバシーが流出されることがいかに怖いことなのかもきちんと指導しなくてはならないですよね。

新田「3つ目は、学校側の対応があげられます。きのうの会見では対応が遅れたと認めています」

いじめ暴行動画について考える

宮城城指導部長「重大事案になりうるという予見が不足していた。危機意識・危機管理の考え方が不十分だったせいで、その後、対応が遅れてしまった」

新田「学校や教育委員会の対応は「認識の甘さ」、「対応の遅さ」について指摘できます。去年5月の事件では被害にあった生徒はおよそ8カ月も不登校になっていたということです。様々な課題が複雑に絡みあう事件ですが、大人ももう一回原点に戻って「暴力が許されないということ」や「人の痛みに向き合う大切さ」などを考え子どもたちに繰り返し教えていかなければいけないと思いました」