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Qプラスリポートです。子どもの貧困が問題視されていますが、県内でも深刻な地域があります。子どもの4人に1人が就学援助を受けている「沖縄市」。先月から民間の団体が支援に乗り出しました。秋山記者です。

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こどもフードバンクスタッフ「おはようございます。はじめまして。」

こどもフードバンク砂川和美さん「そしたらこれを登録していただいて」「お母さんのお名前とお子さんの名前と何人いるかと」

先月、沖縄市で活動が始まった「こどもフードバンク」。家庭や企業などから集めた賞味期限内の食糧を困っている子育て家庭へ配布しようというものです。

比嘉さん(仮名)「私は3人(子どもがいます)」「(Q.大変なのは?)一番食費ですかね~」「(Q.この活動は?)とっても助かります月一回でもあれば」

この活動を始めたのは、以前、沖縄市で弁当店を営んでいた砂川さん夫妻。当時から困っている家庭へお弁当を無償で提供していましたが、ある日地域のボランティア活動をする中で「一日一食しか食べていない子がいる」という話を聞いたといいます。

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砂川和美さん「私も子ども達とかかわる活動をしている中で、まさか1食しか食べられない子が年々増えていることは知らなかった。ご飯が食べられないお腹がすいたということは、子どもにとって本当に言いたくても言えない状況なので、以前よりもっと子どもたちが追い込まれているのではないかなと思ったんです。」

目の当たりにした現実、何とか手を差し伸べられないか。そんな時、沖縄市のある取り組みを知りました。

沖縄市社会福祉協議会 上原健次課長「使えるものが大部分ですのでどうぞ。」

沖縄市ではお中元とお歳暮の時期に1人一品運動として食料寄付を募っていて、年間1トンもの食料が集まります。しかし保管場所が少なく、また宅配もできないことから、市民に還元されるのはわずかだったといいます。

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上原健次課長「今後子どもフードバンクと連携が取れるのであれば、いろんな形で支援を考えることができる。」

自治体が生活に困窮した子どものいる家庭に対して給食費や学用品台を補助する「就学援助」。中でもこの沖縄市では受給率が高く、その数は26.8%、小中学生の4人に1人が援助を受けていることになります。

砂川さんが、先月初めて食材を届けた金城さん(仮名)一家。数年前に離婚し、4人の男の子を母親一人で育てています。

子ども達「食べていい?」「食べていい?」「いい?」『いただきまーす』

子どもたち「(Q.お母さんのご飯何が好き?)肉」

育ちざかりの男の子たち、金城さんはなるべく食べたいものをお腹いっぱい食べさせてあげたいと話します。

金城さん(仮名)「家計的にはギリギリかな。やっぱりためておかないと、と言うのもある。(Q.今一番の不安は?)まだ小さいからいいけど、(Q.これから進学とか?)お金がかかるから。」

16.3%と過去最悪を記録した日本の子どもの貧困率。県民所得が低く、母や父、いずれかのひとり親世帯の多い沖縄ではその数はさらに高いと言われています。

沖縄市にある美さと児童園。児童相談所を経て、ここで生活をする子ども達の多くに虐待という背景があります。

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宮城園長「虐待は身体的ネグレクトなどありますが、家庭でちゃんと面倒を見ていない放任の子ども達が多い。充分(子どもに)対応できていない。学習等にも充分対応できない。家庭の中の経済的な問題は大きいような気がします。」

育児放棄につながる大きな原因の一つである経済的な問題。基本的な生活習慣が身に付いていない子も多く、共同生活の中で訓練していきます。

私たちが取材したこの日、黙々とお菓子作りをしている中学生がいました。

中学3年生「(Q.こっちに来てどのくらいですか?)まだ半年くらいです。(Q.お菓子作るの好き?)好きです。(Q.将来そういう仕事につきたいとか?)前はそうだったんですけど、今は福祉の仕事に就きたいです。お母さんが介護の仕事をしていたんですよ。その話聞いていたら楽しそうだなって思うようになって。」

お腹いっぱいご飯を食べる。将来の夢に向かって勉強する。全ての子ども達が安心して暮らせるためにどう子どもの貧困に手を差し伸べる事ができるのか、一刻も早い対応が求められています。

子どもフードバンクでは、現在、沖縄市の社会福祉協議会を窓口に食料の寄付を募っています。県は、今年度、子どもの貧困の実態調査に乗り出すとしていますが、なかなか「見えにくい」問題だけにどんな形で支援をしていくのかも同時に考える必要があります。