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キャンプシュワブのゲート前で、市民たちの抗議行動が始まっておよそ3カ月。海上ではボーリング調査も終盤に差し掛かろうとしています。しかし、現場周辺は政府が立ち入り禁止エリアにしているため、報道陣も近づくことができません。私たちに見えない海の上では何が起きているのか。市民たちの捉えた映像を交えお伝えします。

おじいさん「県民の命守るためにこれは開けさせない!」

県警「威力業務妨害になるよ」

防衛局職員「道路交通法違反だ。現行犯だからしっかり対処してください!」

基地建設のための資材の搬入を止めようとする市民たち。彼らを排除するのは、沖縄県警や防衛局の職員ら。逮捕をほのめかしながら、市民の顔や行動をビデオで記録しています。

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辺野古区民女性「もう怒り心頭。もう頭の中パニック。怒って怒っておりますよ」「私たち罪を犯しているのかしら?」

こうした光景が繰り広げられているのは、陸上だけではありません。8月、政府は基地建設に向けたボーリング調査を開始しました。

島袋記者「たった8隻のカヌーを海上保安庁の船10隻以上が取り囲んでいます」

船長「どうなってるんですか?臨時制限水域は?これは停泊している船の外ならいいんですか?」

立ち入り禁止エリアの外でも報道陣の乗った船に立ちはだかる海上保安庁のゴムボート。こうした中、私たちに見えない海の上では、市民たちのカメラがこんなシーンを捉えていました。

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園山さん「基地建設をさせたくないという思いで行動すれば、ここまで暴力的に押さえつけられるのかと。あまりにも理不尽過ぎると思いました」

カヌーに乗った男性「逆にどう見てもうちなーんちゅの海保が多分胸の中でいろんな思いがあってだとは思うんだけど、逆に激しい言い方をしたりだとかね、対応が乱暴な人もいましたね」

報道カメラの前では見せない市民への激しい対応。こうした行為について、海上保安庁は、海上保安庁法第2条「海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする」という条文を根拠にあげています。

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赤嶺議員「安全な活動でないというのは、あそこでどんな基準でやってるんですか?」

海上保安本部 高橋次長「工事の安全確保です。現場に近づくが故に、安全を阻害する行為があるとかそういったものですね」

赤嶺議員「工事の安全は防衛局が所掌すべきことでしょ。あなた方は海の安全を守るわけでしょ!?」

現代社会における言論や表現の自由などの問題に詳しい専修大学の山田健太(やまだ・けんた)教授。海上保安庁の行為は、基地建設に反対する市民たちの「表現の自由」、そして報道機関の「取材・報道の自由」の侵害にあたるのではと指摘します。

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山田教授「海上で自分たちの意見をプラカードに掲げる。あるいはカヌーを漕いで行って、ここが大事な海という事を示すのは重要な意見表明だと思いますし、それは道路や公園で行う抗議活動と同じように可能な限り自由にされて然るべきだろうというふうに思ってます。辺野古の工事は大きな社会的関心事であるわけだし、そこで何が行われているかという事は、報道機関がつぶさに観察してそれを全国の人たちに伝えていく、非常に大きな意味があるわけですね。それをあえて覆い隠すようなことをしてしまうというのが、非常に大きな問題がある」

市民を押さえつけ、報道機関に見えないところで、より強硬な姿勢を露わにする政府。基地建設に反対する声は今、海の彼方へ封じ込められようとしています。

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園山さん「報道されことで県民からの批判が出ると思うから、海上保安庁は気にしていると思うんですけど、それでむしろ追い詰められてるんじゃないですか。(市民を)押さえるための理由がない。正当な理由がないから、最後は力づくで押さえるしかなくなってると思います」

沖縄防衛局は先月15日までに、ボーリング調査を予定している21カ所のうち、半分ほどの12カ所の調査を終えています。今後はこれまでよりも水深の深い部分での調査を予定しているため、ご覧いただいたような状況がより危険な沖の方で、しかも私たちからさらに見えにくいところで起きる懸念があります。

報道を含め、これまで以上に私たちが注視する必要がありますし、政府もそうしたことが可能な状況をつくるべきではないでしょうか。