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東村高江でヘリパッド建設に反対し、座り込みを行った住民に通行妨害の禁止を命じた裁判の控訴審で25日、福岡高等裁判所那覇支部は住民側の控訴を棄却し、1審の判決を支持しました。

この裁判は高江の住民が国から通行妨害で訴えられたものです。1審で那覇地裁は住民の伊佐真次さんがトラックの前に立ったり座り込みをしたりなどの行動が「表現の自由の範疇を超えている」として通行妨害の禁止を命じました。

伊佐さんは判決を不服として控訴し、国の裁判の目的は住民運動の萎縮であり、訴えそのものが不当だと主張していました。

福岡高裁那覇支部の今泉秀和裁判長は「伊佐さんの行動は表現行為としての抗議・説得活動にとどまらず、意図的に妨害するもので、国が受忍すべき限度を超えている」として伊佐さんの控訴を棄却し、1審の判決と同様、伊佐さんに通行妨害の禁止を命じました。

高江の住民は「もう解放してほしい、信じられない」「本当にひどい話」そして「とくに当事者である伊佐さんはかなりきついと思いますけど」と話します。伊佐真次さんは「私たちがどういう気持ちで活動をしているか踏み込まない判決」と話しています。

沖縄防衛局は「国の主張について裁判所の理解が得られた結果」とコメントしています。住民側は上告について弁護団と検討して判断したいとしています。

取材にあたった石橋記者です。争点の1つは、伊佐さんの行動が表現の自由なのか、妨害行為なのかだったと思います。その点については?

石橋記者「今回の判決は、伊佐さんの控訴を棄却し、1審判決を支持するということで、住民の主張は認められなかったということです。弁護団は『表現の自由を狭くとらえたもので、今後の住民活動への影響も大きい』としています」

控訴審では、住民側が今回の裁判を表現の自由を委縮させる効果を狙ったもので、訴訟自体が不当だと主張していましたが、その点はどのように判断されたんでしょうか?

石橋記者「『表現活動としての抗議・監視活動は、通路としての使用を物理的に妨害するようなものでなければ行えないものではなく、限定された活動を禁止しても、表現活動全般に対する委縮効果が生じるとはいえない』としています。つまり『表現活動なら、ほかにも方法はあるだろう。座り込みを禁止しても、委縮させることには繋がらない』というわけです」

こうした判決が出ることで反対運動をすると国に訴えられてしまうという懸念がありますが…。

石橋記者「今回の判決を受けて、住民側の弁護団は会見で次のように話しています」

横田達弁護士「表現活動ということで、本来ある程度のものを許容されないと国に対して何も言えなくなるので、きちっとこの辺までは大丈夫とかこういったものはおかしいとかこういったものがおかしいとか言うべきだと」

このように、弁護団も国が表現活動を委縮させることへの懸念を強く示していました。