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Qリポートは先週日曜日、沖縄の「肝高の阿麻和利」の舞台に影響を受けた、福島県南会津の子どもたちが作り上げた舞台を紹介します。その舞台には、震災復興への誓いと願いが込められていました。

先週日曜日、嘉手納町で上演された舞台「息吹~南山義民喜四郎伝」。出演した役者は全員、福島県の子ども達です。

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東日本大震災から、間もなく1年を迎えようとした先月、福島県南会津の高校生・斉藤いずみさんが沖縄で舞台の記者会見を開き、切実な故郷の今を伝えました。

斉藤いずみさん「震災から1年が経つ今でも仮設住宅での生活を余儀なくされている人や原発事故による風評被害もまだ続いています。まだ災害は続いているんだと感じている」

東日本大震災によって、福島県でも1605人の方が亡くなりました(行方不明 214人)。さらに原発事故も重なった福島では現在、9万8221人が、県外へ避難しています(3月28日現在)。

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湯山礼実さんも、福島から沖縄へ、母と二人で避難してきました。今回、沖縄へ避難した福島の子どもにも舞台に参加してもらいたいと募集があり、ただ一人、礼実さんが参加しました。

湯山礼実さん「私も一回ここ(首に)にしこりができて、甲状腺ガンになるかもしれないというのがあって。やばい、このままでは本当に死んじゃうかもしれないと思って沖縄に・・・」

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母・礼子さん「病院に行く度にしこりが大きくなるので、まったく知らない土地でも、やっぱり子どもの命を救えるのは親しかいないと思って、少しでも原子力から離れたところで」

震災では、礼実さんの祖父や叔母も亡くなり、母・礼子さんも足に大怪我を負いました。さらにその後、体調が悪くなる娘を見て、去年7月に沖縄への移住を決意したのです。

震災を境に、福島と沖縄、それぞれの地で生きること選択したいずみさんと礼実さん。遠く離れていても絆を結びたい。今回はその思いも込めた公演でした。

斉藤いずみさん「地震がなかったら出会えなかったと思うんですよ。だからそういう出会いをご縁を大切にする良い機会だなと思います」

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『この地で生まれ、この地で過ごし、この地で果てる。それが我らのささやかな望みじゃ、家族を守り、仲間を信じ、この故郷で栄える』

舞台「息吹」は、今から290年前、会津地方で実際にあった一揆を題材にしています。

苦しむ故郷の人々のために、死を覚悟した上で幕府に直訴し、斬首された6人の農民。後に「南山義民」と呼ばれる地元の英雄の物語を、南会津の小中高校生らが描いています。

物語のクライマックスでは、主人公の喜四郎が今の福島への思いと復興への誓いが。

『いつでも、どんな時でも、この福島に新しき風を吹かせてくれよう。さあ前を向いて歩くのじゃ。今、何をなすべきか、魂の声を聴け、天の声を聴け、我らが道は我らの意思で切り拓くのじゃ!』

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観客「若い子たちのこの元気な姿。最高でした。感動でした。涙ポロポロで」「感動しましたね。こちらまで元気になった感じで」

「息吹」実行委員会・下村一裕さん「今こそ、本当に未来を見て、それはもしかして無駄な努力かもしれない、悲しい結果があるかもしれない。だけど、動かなければ、明るい未来も待っていない。何かが伝わってくれれば良いかなと」

母・礼子さん「やっぱり立ち向かっていかなきゃしょうがないんだなって気持ち。あとこんなに会津の子達も皆、光っているんだなっていうので涙が出ました」

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礼実さん「いずみちゃんとかとやるのも最後だから、こういうをもやるのも最初だから、すごい楽しくはりきってできました」

斉藤いずみさん「自分達が立ち上がるべきだと思っています。こんな時だから、座っているんじゃなくて、立って行動しないと何も始まらないという、そういう思いが込められていると思います」

子ども達が真っ直ぐで、その思いが舞台に出ている地元の子ども達の声は力強いですね。

震災、原発によって故郷を離れることを決断した人がいる一方で、離れられないという人や地元を再び元気にしたいと残る人がいるわけです。決して平坦ではない復興への道のりだと思いますが、沖縄に住む私たちがどうやったら被災地の子ども達の未来を支援できるのか、様々な支援の形を考えたいものです。