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八重山地区で「公民」の教科書の一本化にむけた話し合いは紛糾しています。8日午後から八重山地区の教育委員全員による協議が行われていますが、依然、話し合いは平行線のままです。

公民教科書の採択を巡って、八重山採択地区協議会が育鵬社版の教科書を選んだことを受け、石垣市と与那国町は答申通り採択し、竹富町は答申を否決して東京書籍版を採択しました。

そのため、地区で統一した教科書を決めるため8日午後2時から八重山地区の教育委員全員による臨時総会が開かれ、協議を開始しました。

与那国町・崎山用能教育長は「きょうの協議は法的根拠のある協議会なのか。拘束力のある協議会なのか。同一地区に協議会が2つも立つことはあり得ませんよね」と話したのに対し、仲本委員長は「これは協議会じゃなく、協会です」と話していました。

議論は4時間にも及んでいますが、会議の進め方で各委員の意見が噛合わず、話し合いは入り口で平行線のままです。

では現場にいる、中村記者に聞きます。今の状態はどうなっているのでしょうか。

中村記者「混乱を極めている石垣市の教科書選定。きょうこそ、話し合いに決着を付けてほしい、教科書を決めてほしいと、多くの住民も会場に詰め掛けましたが、話し合いは最初から揉めることになりました。というのも会議が始まる前、石垣市の玉津教育長がきょうの会議に県教育委員会が出席することに反発し、文部科学省に『やめさせるよう』直訴したということが明らかになったんです。結局、県教育委員会も審判役として話し合いに立ち会いました。そんなゴタゴタした中で始まった会議。石垣、竹富、与那国の教育委員長の主導で、教科書の一本化に向けて議論が行われましたが、改めて議論することに否定的な石垣市の玉津教育長などがことごとく反論し混乱しています」

協議会なのか、協会なのか、どっちに権限があるのかなど、システム自体、参加者も混乱しているのでは?

中村記者「話し合いでは参加者全員が意見を出し合いました。『すでに育鵬社という答申が出ているのでそれに従うべきだ』という玉津教育長たちですが、他の参加者からは、そこまで答申内容にこだわるならば『育鵬社』に決まった経緯をきちんと説明すべき、議事録を出すべきとの声も上がっていますが、議事録はないということで、さらに紛糾しています」

話し合いはあくまでも答申通り育鵬社の教科書で決めたいというメンバーと、もう一度採択をやり直してほしい、教職員の意見を取り入れてほしいというメンバーと平行線のようですね。ではここで現場の教師たちが各社の教科書をどう評価していたのか、改めて見てみます。

「公民」教科書ここが違う

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こちらが現場の教職員たちが各社の教科書を読み比べてまとめた報告書。公民の教科書についても7社について、内容や量、文字の大きさを始め、写真やイラストにまで、事細かにコメントしています。

中でも八重山地区の教師たちが重きをおいているのが、沖縄戦と八重山との関連事項についてどう記載されているか。評価が高かった東京書籍や帝国書院の教科書では次のように書かれています。

東京書籍の教科書について「平和主義の単元に『沖縄と基地』を取り上げ、写真では住宅地に隣接する普天間基地がとてもわかりやすく映されており、返還計画が大幅に遅れていることが記載されている」

帝国書院の教科書について「『空から見た嘉手納基地』で広大な広さが分かる写真である。また、文として『問われる日米安保のあり方』で様々な議論があることを述べている」

一方、物議を醸した育鵬社の教科書では14項目にわたって問題点を指摘。戦争やアメリカ軍基地についても次のようにコメントされていました。

育鵬社の教科書について「沖縄の米軍基地に関する記述が全くない。小さな写真のみ」「軍事力に頼らない平和への努力や、憲法9条が果たしてきた役割がほとんど記述されていない」「自衛隊による軍事抑止力を強調し、憲法9条を改正する方向へ誘導するような内容で、あたかも徴兵制が当然のような内容で述べられている」

中村さん、沖縄の子どもたちに直接関わる問題で、ここまで解釈の違う教科書ですから、意見統一は難しいのでは。

中村記者「話し合いはすでに4時間を超えていますが、平行線をたどっています。何も進展はみられません」

中村さん、また動きがありましたら、伝えてください、八重山から中継でした。