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県民生活を脅かす迷惑行為を防ぐための「迷惑防止条例」が改正され、客引き行為が禁止されて1ヶ月。華やかな歓楽街のイメージとは裏腹の、執拗な客引き行為など、物騒な雰囲気もあった歓楽街は条例改正でどう変わったのでしょうか。

キャッチの男性「やっぱり厳しいですね。厳しくなってる。誰が私服(警官)かわからないと思うんですよ。本当に分からないカッコしてるから。最近も知り合いが何名か捕まってるんで。クビになった人も結構いると思いますよ。お店から、厳しいから、これくらいの給料も払えないからってなって」

久田記者「那覇市松山です。ここは一月前までなら客引き、いわゆるキャッチが路上にはみ出すほど大勢立っていましたが、今はそれほど目立ちません」

実際にしばらく付近を歩いてみましたが、声を掛けてくる人はゼロ。

条例の改正前は、週末ともなれば200人近いキャッチが道にあふれ、異様な雰囲気をかもし出してた松山。付近の住民や普段ここを通るほとんどの人たちにとっては、避けて通りたい場所でした。

地域の人「声かけられたり、肩組まれたり」「『お嬢ちゃん』って呼び止められた」「本当に引っ張っている。道も歩けない状態」

条例を改正したそもそもの理由は「県民生活の保護」。これまではキャッチどうしの競争で、歩行者を取り囲んで店に客を呼び寄せたり、道にたむろして車の通行を妨げたりといった迷惑行為が常態化し、地域住民は手をこまねいていました。

那覇中学校青少協・東恩納寛治会長「(子供たちに)多少のいたずらをしたり、声かけをしたり、朝から嫌な思いをしながら学校に登校してくるということが何件かあったわけです」

しかし、条例の改正後はキャッチの数が激減。これまでの物騒な雰囲気が変わってきているという声が多く聞かれます。歓楽街に大きな変化をもたらした条例の改正。条例は具体的にどう変わったのでしょうか。

改正のポイントは、禁止される行為が「客待ち」にまで広がったこと。今までは、客引きをして店の中まで連れて行ったところまで確認しないと検挙することができませんでした。改正後は、客引きをした時点での検挙が可能になったほか、松山のほか近隣一帯の広いエリアを客待ち禁止エリアとし、客引きをしようと立っているだけでも、警察による中止命令が出るようになったのです。罰金も以前より高額になっています。

県警本部・玉那覇 章 生活安全部長「9月1日以降の改正で、客引き行為で13件13名、禁止区域における客引きを前提とした客待ち行為で2件2名に対して、中止命令を発してます。経営者の中には、以前はひどかった、今の状態が非常に望ましいと、これでお客さんも足を運ぶだろうという意見もあります。」

このほか、県警は条例改正後に松山を訪れた人たちに緊急アンケートを実施。その結果、96%もの人が改正後の取締りに効果があったと回答しています。実際、改正前の今年8月までは、取り締まり要請や苦情が17件寄せられていたのが、改正後は1件もないといい、条例改正の威力は絶大です。

一方、客を取り囲むなど、悪質なキャッチだけを摘発するべきだと漏らす経営者もいました。キャッチと利用者を接触させ、店の料金やイメージを伝えたいというのがその理由です。

しかし、目に見えてキャッチの数が減っていく松山を訪れる人の反応は様々です。

利用客「初めて来た時は(キャッチが)いて助かりました。だけど2回目とか来ると、うざったい」「歩きやすいし、自分で選べる。引き込まれることもない」

那覇中学校青少協・東恩納寛治会長「環境づくりが、松山の歓楽街と連携を取れれば一番うれしいことではあるし、それにともなって子どもたちの成長が育めればありがたいなと」

琉石通り会・町田宗彦会長「昔のイメージが取り戻されたような感じですね。昔は『那覇の奥座敷』だと大変評判良かった。再びそういうイメージに変わってきたんじゃないかと」

利用客とキャッチだけではなく、松山の地域全体に変化をもたらしつつある改正迷惑防止条例。松山は、夜の姿だけではなく、登下校にも安心して通れる新しい街に生まれ変わるべく、新たな一歩を踏み出しました。