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5月1日、ワシントンDCで開かれた日米の外務・防衛閣僚会議、2プラス2では、ミサイル防衛の強化や自衛隊の役割拡大が鮮明に打ち出されました。

一方、県や名護市が位置の修正を求めている普天間基地の移設については『去年の日米合意の通りに進める』としただけで、日米同盟の強化という政府の一番の目的の前にかき消された形となりました。

今回の外務・防衛閣僚による安全保障会議で、アメリカ側の最大の目的は、アメリカ軍が介入後、混迷を深めているイラク情勢や北朝鮮の核問題を前に日米同盟の強化を強く謳い、アメリカの今後の防衛戦略に日本の全面的な同意を取り付けることでした。

会議後の共同発表で久間防衛大臣は「日米両国によるミサイル防衛能力の強化に加えて、情報共有等、運用面での協力強化を図っていくことで意見が一致したことを強調したい」と述べ、ゲーツ米国防長官は「2006年の日米合意通りに在日アメリカ軍再編を進めていくことを再確認した」と述べました。

また、共同発表にはヨーロッパを中心に26カ国が加盟するNATO、北大西洋条約機構と日米同盟が補完的に協力していくことが初めて盛り込まれました。

一方、辺野古へのヘリ基地建設で、県や名護市が位置の修正を求めていることについては会議で一切触れず、替わりに「目標の2014年までに辺野古に基地を完成させることが海兵隊のグアム移転や嘉手納基地より南の基地の返還につながる」と、いわゆるパッケージ論を改めて確認しただけです。

今回、沖縄のことはほとんどと話し合われなかったことも問題ですが初めて聞く、日本とアメリカ、NATOとの協力体制というのはどういうものなんでしょうか?

岸本記者「このNATOというのは旧ソ連の共産主義に対抗するために作られた西側の軍事同盟なんですが、このNATOと日米が積極的に協力していくと、つまり、アメリカはヨーロッパはNATOで、アジアでは日本と連携して世界に睨みを利かせようというわけです。これについて琉球大学の我部教授の指摘です」

我部教授「このアジアにおいて、NATOのような多国間安保をアメリカはしないということをブッシュ政権は考えていると思います。逆に言えば、日本に対する期待も強いと。(日本)一国でヨーロッパの国々のような貢献をしてほしいという意味なんでしょう」

つまり今後は、NATOと日・米のトライアングルでアメリカの軍事的な網をはりたいということなんですね。だから日本に非常に多くを期待しているということなんですよね。

ますます日本の自衛隊は完全にアメリカ軍の指揮下に入って一緒にアジアに睨みをきかせるというイメージなんでしょうか?

岸本記者「安倍総理は、自衛隊が海外で活動しやすいように憲法の集団的自衛権を見直したいという考えで、ミサイル防衛についても、アメリカに向かっているミサイルを日本のイージス艦が打ち落とすことについても検討するべきだと発言しています。そして今回の2プラス2でもミサイル防衛での連携の強化が約束されました」

アメリカに向かうミサイルを打ち落とすのでは専守防衛という日本の国防の基本的な考えから完全に逸脱してるんじゃないですか?

岸本記者「その通りです。また、アジアの国々も日本に侵略された記憶を忘れていませんし、国内でさえ自衛隊の海外展開には慎重論もまだまだ多いです。そんな議論が尽くされていない状態で、日本がアメリカの世界戦略の中に組み込まれ、沖縄では新しい基地建設に向けた動きが着々と進んでいると。こうした動きに名護市長はこうコメントしています」

名護市・島袋市長「今回、(修正が)話し合われなかったというのは非常に残念に思います。地元の意向を踏まえながら、日米間で協議して頂きたいと思っている訳でありまして」

でも、今のように位置の修正や3年以内の閉鎖を唱えているだけでは沖縄の声はいつまでたっても届かないのではないんでしょうか?

岸本記者「今、その懸念通りに進んでます。だから沖縄の声をしっかりと伝えるためには、政府が示す今の滑走路の位置には同意しないけれど、その場所での事前調査は認めるなど、外側から見て非常に分かりにくいところがありますから、基地を背負う地元として、何を認めて、何を許さないのかをもっと態度を鮮明にする必要があると思います」