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沖縄は、サンゴ礁からヤンバルの山々まで世界的にも貴重な自然環境を誇っていますが、それだけにどう環境を保全するのか、特に開発と環境保護とのバランスをどうとるのかという問題は避けて通れない課題です。

大規模な開発が進む泡瀬干潟を例に、それぞれの立場の県民の声を交え、候補者のスタンスを伺いました。

泡瀬干潟を守る連絡会・小橋川共男共同代表「干潟域が広いということはそれだけずっと遠くまで行けるということ。それだけいろんな面でいろんな生き物たちと出会える世界でもある」

プライド泡瀬・當眞勲会長「このままほったらかしとったら、これはもう死んじゃうよ。生活用水がどんどん流れてきて、臭いしてみたらわかるけど、手をくわえないとダメ」

東部海浜開発事業は県と国が総事業費489億円をかけて、沖合いに津堅島とほぼ同じ面積にあたる187ヘクタールの人工島を埋め立て、リゾートホテルやレクリエーション施設を建設するもの。計画は、バブル期の20年前に持ち上がり、海上工事は、4年前にスタートしました。

埋め立て事業に反対する小橋川共男さんです。

小橋川共男共同代表「人間が中心になって、すべての物事を判断する。その物事の判断をお金という判断でもって全部決めていくことが、果たしてこれからもずっと続いていいのかどうか」

写真家として、長年、自然と人間とのかかわりをテーマに作品を撮ってきました。

小橋川共男共同代表「何でも立派な箱物を作ったり、何か施設を作れば、それがすごいんじゃなくて、むしろこのすばらしい自然そのものが、ここにあるというそれがすごいと思う。それを大事にしたいと思う」「(新知事に望むこと−)県としてはこの埋立てには参加しません(と言ってほしい)。県が参加しなければ、国もこれ以上やる一つの道理がたたなくなる」

20年間、開発計画の推進を求めてきた當眞勲さん。昔の美しい海岸を取り戻すには、むしろ人間が手を差し伸べて、環境を再生させるべきだと主張します。

當當眞勲会長「保全をしていくためには、そこに目配り、気配りをして、自然をどういう風に活かしていくかというようなことをより積極的にやっていくというのが人間の知恵」

人工島のコンセプトの一つは、海外からの観光客も受け入れる「国際交流リゾート拠点」です。

當眞勲会長「そこで長期滞在をしていただいて、ともに生活をしていこう。それからスポーツを中心としたものもつくれるだろう」「(新知事に望むこと−)どう保全していこうということを、適切に考えていく人。『ただ反対じゃありませんよ』と、どういう風に保全していくか」

今回の知事選には、革新系がおす糸数慶子さん、琉球独立党の屋良朝助さん、そして保守系が押す仲井真弘多さんが立候補し、事実上、糸数さんと仲井真さんの一騎打ちとなっています。

糸数候補「生活に必要なためのものは開発しましょう。でもそうではない、本当はそこの人たちは求めてない、必要でないのに予算があるから、開発をしていくというのはとても無駄なことです」

仲井真候補「何をやるにしても、環境との調和とか、共生部分をどう確保するかいつも頭の痛いところというか、知恵の出しどころですよね」

糸数候補「埋立てについては反対しています。あれはバブルのころの計画がなされたもの。例えば希少種がいっぱい生息しています。むしろそれを大事にしていくことこそが、私は沖縄の島を自然遺産にしていく、登録していくために大事なことだと思っています」

仲井真候補「希少種が見つかっていますね。だからこれをどういう風に保護して、なお開発も合わせやっていくか。特に沖縄市周辺というのは経済的に少し元気がない。これは僕はあの賛成だと思いますし、いつまでもですね、議論を続けているものでもないと思います」

取材にあたった実近記者です。どの候補も、貴重な自然は守っていかなくてはいけないという立場は一緒なんですよね。

実近記者「糸数さんは最終的には、琉球列島の世界自然遺産への登録を目指していて、仲井真さんは100年先を見据えた全島緑化事業をスタートさせたいと主張しています。

しかし、泡瀬の開発は今まさに進行中で、候補者の意見は真っ向から対立しています。この計画に対して、新しい知事に決定権はありませんが、知事選はいわば、計画に対する県民世論を判断する一つの材料にはなるかと思われます」

どんな沖縄を今後に残していきたいか?じっくり考えて一票を投じたいところです。