ここからは「IMAGINEおきなわ」です。高校卒業後、県外で就職したある青年が母校で特別授業の講師を務めました。はたして、そのわけとは?
沖縄市にある県立美里工業高校、この日、設備工業科1年を対象に特別授業が開かれました。登壇したのは、おととし、この学校を卒業した平良咲都(たいら・さくと)さん。平良さんが、生徒に指導するのは「配管」です。その腕前は、なんと全国3位のなのです!

東京都江東区にある、給排水設備などを手掛けるこの会社。平良さんは、高校卒業後この会社で配管技能者として働いています。
入社して日々の仕事をこなしていた平良さんに、ある日、会社から「ある大会」への出場を打診されました。
平良さん「最初は正直、自信がなかったんですけれど」

それは「技能五輪全国大会」でした。この大会は、原則23歳以下の技能者が、さまざまな職業技能を競い合うもので、自動車整備・建築大工・美容・日本料理など職種は「41」あります。平良さんは去年、35人がエントリーした配管部門に初出場し、見事、銅賞を獲得しました!
平良さん「銅賞がとれてうれしかったです」

しかし、この大会で平良さんと同じ職種で全国1位を獲得したのは、1年上で2回目の挑戦だった松本斗我(まつもと・とわ)さんでした。頂点に輝いた松本さんは、平良さんの大会にかける思いを間近で見ている一人でした。
松本さん「(平良さんの)練習風景もずっと見ていたので、すごく努力家でがむしゃらに練習していたのでメダルが取れたのでよかったと思います」

この会社では若手技能者の育成の一環として、大会に向けた特別プログラムを実施しています。
西村社長「弊社の技能力を継続的に維持する一環としての取り組み、それと配管技能者を目指す若い方たちが志望先として弊社を選んでくれるひとつのきっかけになればと」

全国大会で入賞を果たしたことで、母校での特別授業を担当することになった平良さん、その意気込みは?
平良さん「このような経験は1回もないので少し緊張しますけど楽しみです」
そして、母校で授業する日を迎えました!
平良さん授業「技術面はもちろんですが、精神面はかなり変化したと感じています。集中して作業に取り組めるようになりました」
講話で就職してからの「心境の変化」や「仕事への向き合い」について後輩に語る平良さん、生徒は東京での生活や仕事の内容について先輩に質問をぶつけます。

生徒「県外に出ることに不安はありましたか」
平良さん「最初のうちは県外に出ることに対して不安はあったけれど、県外に住んでみて、だいたい半年くらいで慣れていくので心配しなくても大丈夫だと思います」
生徒「仕事でやりがいを感じることは何ですか?」
平良さん「一人で上司に『やっておいて』って言われた内容を一人でこなせて褒めてもらえたときがやりがいを感じます」

講話も終わり、場所を移動していよいよ実技指導!配管設備を作り上げます。生徒にはあらかじめ組み上げられたパーツを支給し、平良さんはゼロからのスタートします。
生徒も、それぞれのペースで作業を進めますが、平良さんは、それを上回るスピードで、どんどん形を作り上げると、作業開始からおよそ30分で完成させました。
作業をみていた生徒は。
生徒「すごいです本当に、寸法も全て合っていて、自分のものと比べただけでパッと見てわかります。そこで実力の差がわかって頑張らなきゃと自分も思ったりするところがありました」

ここからは平良さんが、完成間近の生徒にアドバイスを送ります。
平良さん「あとはこの口がこっちを向くように締めてみて!そうそうOK!いいんじゃない!」
生徒「初めて知ったこともあるし、細かいところもちゃんと出来ていて、力もあったと感じました。(作業が)上手くて今後自分もそれをやっていけたらと思います」
この生徒は作業時のミスで寸法の合わない作品となりました、平良さんが対処法をアドバイスして再挑戦です。
平良さん「こっちも切ろう(のこぎり)」

生徒「どんなに間違えても、すぐどこをどうしたら直せるみたいなことをすぐ思いついたのがありがたいなと思いました」「自分の親が設備工業関係の仕事をしていて、親の仕事を継ぎたいなと前々から思っていたので、今日の授業の経験が生きるといいなと思っています」
今回、授業を企画した友利先生は、平良さんから学んだ生徒たちに期待を込めます。
友利先生「やはり年齢が近い卒業生ですね、その方を呼んで、講話、もしくは技術指導などをやってもらって、生徒たちにとって進路活動に生かせればいいかなと思って企画しました」

平良さん「ほっとしています。年が近い分考えていることも一緒だった。楽しかったですね。五輪に出たからこういう機会も貰えたし、自分が作っているのを見てすごいな!とか思ってくれてうれしかった。(伝えたかったこと)ものづくりの楽しさを伝えきれていたうれしいです」

県外で就職し、そこで培った技能を伝えた平良さん。その姿を、追いかけて将来「技能五輪出場」をめざす生徒が現れるかもしれません。
平良さんの技能五輪への出場は今回が最後ということで、今後は後輩たちの技術指導にあたるそうです。先生としての活躍はしばらく続きそうですね。ここまでIMAGINEおきなわでした。