県内各地には様々な民話や伝説が残っていますが、南風原町与那覇には少し不思議な言い伝えがあります。その名も「ウサンシー」謎に包まれた伝説と地域の人々の思いに迫ります!
与那覇公民館南風原町 8月16日 綱引きの掛け声
南風原町与那覇、毎年夏の時期に東西に分かれ綱引きが行われています。そんなにぎやかな地域に少し変わった言い伝えがあるって知っていましたか?
それは浦島太郎伝説「ウサンシー」!
那覇在住「聞いたことない」糸満出身「これは初めて聞く、分からない」あまり知られていないよう、与那覇に伝わる話はこうです。

むか~しむかし「ウサンシー」という若者がいました。浜で落とし物を拾ったお礼にと、美しいお姫さまに招かれた竜宮城で、時を忘れるほど厚いおもてなしをうけます。しばらくして故郷に戻ると、長~い年月が経っていて知り合いは一人もいません。寂しくなったウサンシーは丘に登り、乙姫に別れ際にもらった包みを開けました。すると急に歳をとってしまいましたとさ。
Q聞いたことは?南風原町在住「全然ない」「海ないのにね、海に囲われてないのに」「なんでだろう?」
たしかに与那覇は海から遠いように感じますよね?地元で生まれ育った人たちに聞くと、


南風原町与那覇出身 新垣敏さん「(昔は)耳を澄ますと与那原の与那久浜のさざ波の音が聞こえたそうです。それくらい海岸線が近かったということ」
南風原町与那覇自治会長 城間富久さん「現実に与那覇の山にウサンシーのお墓があります」
このあたりには、調査で土を掘ると貝殻や海の砂が出てくる「ナビラモー」という丘があったり、ウサンシーの屋敷跡だとされる場所があったり、伝説を裏付けるようなものがたくさん!もしかして浦島太郎って、実はウサンシー?信じるか信じないかは、あなた次第!
そんな地域の伝説を大切につなぎ、絆を深める機会にしようと、子どもも大人も一緒になって、およそ10年前から劇を披露しています。
歌三線 松田ここみさん「先生について行って頑張ります」歌三線 小橋川ひろとさん「とりま頑張る」


今回の主役は高校生と中学生コンビ。劇中のセリフはしまくとぅばだそうですが。
ウサンシー役 新垣七教さん「大変ですけど(言葉の)意味を考えたらすっと入ってくるので」
乙姫役 樋口清美礼さん「前回は七教お姉ちゃんがやっていたので、それを越えられるように乙姫になりきって頑張りたい」
日が落ちきって、いよいよ開演です!
ウサンシー「わんねー 南風原間切り 与那覇ムラ生まれ」


拾い物をしたウサンシーは姫と出会う
乙姫「恩義ある里ゆ 我身とぅ伴に ニライカナイうんちけーさびら」
姫の落とし物を拾ったウサンシーは、竜宮城でたくさんのおもてなしを受けます。
別れの品をもらって故郷へ帰るも長い年月が経っていて、ウサンシーも老いてしまった
「五穀豊穣にうむいくみてぃ 子孫繁栄しみてぃゆなふぁむら 綱引きぬゆかるひに 願てぃやまん」

最期はウサンシーは神様になり、村の繁栄を祈りました。
ウサンシー役 新垣七教さん「練習してきた成果、想いが一致して上手にできたので良かった」
乙姫役 樋口清美礼さん「私たちも力を合わせてこれからも伝統にしていけたらなと思います」


小さな子どもたちも刺激を受けたようです。
「友達が出ててかっこいいと思った」「いろんな人と仲良くなれました」「来年もまたやりたい」「めっちゃ楽しい」
城間区長「もっと積極的に地域(行事)に出ていただいて、また後輩にも継承できるように伝統として残していきたいなと考えています」
与那覇の浦島伝説「ウサンシー」ちょっと不思議なお話が地域の心を一つにする夏の風物詩となっています。
